1. 国立女子 英知高和保育学園
ここは国立女子 英知高和保育学園。
学園の名には違わぬ、
幼くして才覚を見せる子供たちが集う場所だ。
少女らはここをでてすぐに中等部へ進学するものや、プロの音楽家になる者もいる。
誰しもが華の道をこれから歩み、 そこから滑り落ちないよう切磋琢磨に明け暮れる。
そんな英知学園では近年問題になっている事があった。
それは過度な競争の激化だ。
ここに通う少女たちはみな秀才。
1を教えれば10を覚え、自ら新たな1を見つけてはまたみずから10を作る。
企業がその才能に目をつけるのも遅くはない。
それはとても良いことのようにも見えて、悪い影響も出ていた。
十数年前に南アフリカの銀行がある一人の少女を日本円にして年棒1億で雇い入れた。その結果アフリカ全土の金融情勢は安定の兆候を見せ、少女の手腕でインフラ整備を整えた近隣諸国は近年稀にみるバブルの状態にあるという。
彼女は女神と称されその美貌とともに有名雑誌セクシャルで世界でもっとも尊敬される偉人に15歳で選ばれた。
それから彼女の出身校である英知高和保育学園が取りだたされるようになる。
ここに通う少女らはそれと同等、それ以上の結果を求められて企業からのオファーを受けるようになっていったのだ。
その結果が今の激しい競争化。
彼女たちは、毎年用意されるメガバンク、投資銀行、日本銀行、偉大な先輩と同じ金融業界へのオファーをかけて最終階位 年長組で熾烈な争いを繰り広げていた。
この物語は、
そんな野心に燃えた、
人生に燃えた、
国立女子 英知高和保育学園 年長組最後一年を綴る物語。