第四話
先に異変に気が付いたのは、傭兵のリーダーである鬼塚だった。
彼は、新達との揉め事のあと、早々にテントに入り、そこで酒を煽り、眠りについていた。
しかし、突如発生した妖気の高まりが、自分たちの居る野営場の直上から感じられたことから、慌てて起き上がり、テントの外に出た。
野営場の側面は、崖になっており、その側面は到底登ったり下りたりすることの出来ない程の急斜面になっている。
だからこそ、鬼塚も野営場の崖側には、あまり気を回していなかったのである。しかし、それが仇となり、敵の接近を許してしまった。
「ちっ、妖気の数が半端ねぇな。どうやって、下ってきているのかは分からねぇが、一人一人の妖気のデカさが洒落にならねぇ。」
鬼塚が慌てた様子で、テントから出てきた様子に気が付いた見張り役の傭兵が、鬼塚に近づいてくるのを視界の端に捕え、大声でどなり散らす。
「バカ野郎、上から来るぞ!さっさと、他の連中を起こしてずらかる準備をしろ!」
どなられた傭兵は、すぐさま野営場の全員を叩き起こしにはいり、移動の準備を始めた。
叩き起こされた奴隷商人たちは、傭兵に言われるがままにテントから飛び出し、奴隷が入っている荷台付きの馬車に乗り込んだ。
その様子を見ていた新は、何か大変な事が起きていると思い、隣に眠っている夏羽と遥を起こした。
外の慌しい様子に気が付いた他の奴隷たちも起き始めたため、遥が状況を確認するために馬車に飛び乗ってきた奴隷商人に尋ねた。
「盗賊が近づいて来ているらしい。相手の数が多すぎるから逃げるんだよ。」
それを聞いた奴隷達に緊張が走る。
今までも何度か盗賊に襲われたことがあったが、いつも傭兵達が撃退するか返り討ちにしてきた。
しかし、今回は敵が近づいてきただけで、早々に逃げるという手段をとっているところをみると、相当にヤバイ状況らしいということが分かる。
「新君、どうしよう。」
「大丈夫だ。今のところ視界に敵は居ないから上手くいけば逃げ切れる。」
「へっ、そんなわけねぇだろぅ。」
逃走の準備が整ったのか、馬車の傍まで来た鬼塚が、新の発言を否定する。
「敵さんは、頭上から近づいて来ている。おそらく崖の上で、俺達が寝静まるのを待っていたんだろうさ。」
そう言っている内に、全員の準備が整ったのを確認して鬼塚は、出発の号令を出す。
「敵がすぐそばまで近づいて来ている!死にたくなかったら、目一杯とばせぇ!」
次の瞬間には、全員が馬のような魔物に鞭を入れた。
出発する直前、新は側面にある崖の上を見上げていた。
しかし、その崖はあまりにも高く、雲を突き抜けて存在していた。
自分の知る限りの情報で、人間界には決して存在しない規模の崖であることは、明白であった。
「こんな崖からどうやって下りてきている?」そう思うのも新が人間界の常識に照らし合わせて考えているからであって、空を移動する手段は、魔界には存在していた。
数こそ少ないが、身体に翼を持つ魔族は確かに存在している。
しかし、そういった種族と出会うこと自体が稀で、魔族である鬼塚ですら、出会ったことが無い位なのだ。
そんなことを思案していた時、猛烈な速度で移動する奴隷商人達の頭上に幾つもの影が見え始めた。
「来たぞ!頭上からの攻撃に注意しろ!」
鬼塚の声が響き渡った瞬間、一団に向けて、幾つもの攻撃が降り注いできた。
その攻撃は、標的にを大きく逸れて地面や側面の崖に次々に着弾していき、着弾した瞬間に、大きな爆音と爆風が、辺りを飲み込んでいく。
止めどなく続く攻撃の影響で、空中に舞った砂埃が視界を悪くしていく。
「あっぶねぇ、あんなの当たったら一たまりもねぇよ。」
奴隷商人の一人がそんなことを呟き、自分たちに着弾せず、攻撃が逸れたことに安心しきっていたが、その安心も長くは続かなかった。
「止まれぇ!!!」
鬼塚の声が再び響き渡ったが、既に遅かった。
次の瞬間、ドガンッ!ドンッ!グシャッ!という攻撃による着弾音とは明らかに違う、衝突音が前方から聞こえてきた。
奴隷達が閉じ込められた馬車は、一団の後方を走っていたため、鬼塚の制止で急制動を掛けたことにより、前方から聞こえた衝突に巻き込まれずに済んだ。しかし、土埃が晴れてくるにつれて、前方で何が起きたかを理解する。
「やべぇな、逃げ道を塞がれた。」
そこには、先程まで自分たちの前方を走行していたはずの馬車が、土砂と衝突して地面に横転している光景が広がっていた。
何人かの奴隷商人は、馬車の下敷きになってピクリとも動かず、また何人かは呻き声をあげながら地面を這いずっている。
衝突事故に遭わされたのは、奴隷商人が乗る馬車のみで、傭兵が乗っていた馬は、ギリギリで回避したようで、傭兵達は、上空を見上げながら次第に鬼塚の回りに集まり、互いの背中を守りあう形で丸い陣を敷いていた。
鬼塚達が上空を警戒している様子を見た新もつられて上空に視線を向けて、傭兵達が見ているものを視界に捉えた。
「バカな、飛翔種だと?」
奴隷達の馬車を操っていた商人も上空を見上げ、傭兵達が警戒する相手を視界に捉えて、そんな言葉を口から漏らしていた。驚愕とも思える声で商人が発した「飛翔種」という言葉に新は、どうやら相手の盗賊は、飛翔種と呼ばれている妖怪であるらしいと考え、更にその相手は、妖怪の中でもかなり稀か厄介な相手なんだろうと当たりを付けていた。
「リーダー、こいつ等ってまさか…」
「チッ!間違いねえ、構成員が飛翔種の盗賊団、【羽李魔嗚】だ。実在しているとは思わなかったぜ。」
一団に緊張した空気が張りつめている中、傭兵達と睨み合いをしていた盗賊たちの中から、一際大きな体をした男が、高度を下げて大地に降り立った。
「抵抗は、無駄だと分かっているだろ?」
脈絡のない言葉が、たった一言発せられた。しかし、その一言で十分伝わっていた。
圧倒的不利な状況下において、生存率を引き上げるため、鬼塚は頭の中で策を練っていたが、目の前の相手と自分とでは、力に差がありすぎる。まともに戦っても勝機はないし、交渉に乗ってくれるような相手でも無さそうである。
「へっ、抵抗しなかったら、見逃してくれるのか?」
「・・・楽に殺してやる。逆に抵抗したら苦しむだけだ。」
「そりゃぁ、そうだろうなっ!」
その会話を皮切りに、鬼塚は相対していた男へと突っ込み、それと同時に傭兵団と盗賊団との戦闘が開始された。
戦闘の開始を見ていた奴隷商人は、この場を離れるべく馬車の方向転換を行おうとしていた。その時、空を飛翔していた盗賊団の一人が、逃走しようとしている馬車に向けて左手を突き出した。左手に武器を持っている訳ではない。しかし、その左手に何か得体のしれないエネルギーが集まりだし、バスケットボール位に膨らんだエネルギーは、男の左手から馬車目がけて突如として弾となって放たれた。
馬車の方向転換が終わり、馬に鞭を入れるため、右手を振り上げていた瞬間、奴隷商人に盗賊団の男が放った弾が着弾し、それと同時に、凄まじい爆発を起こして奴隷達を積んでいた荷馬車が横転した。
爆風のせいで、砂埃が舞い上がり、新の回りは再び視界が悪くなっていた。馬車の荷台は、盗賊が放った弾の爆風と横転した時の衝撃で破損し、奴隷達が入っていた牢屋もその時に壊れたため、いつでも牢屋から逃げられるようになった。
「みんな、大丈夫?」
横転した牢屋の中で、かろうじて怪我を負わなかった新は、回りで倒れている者たちに声を掛けた。
しかし、爆風を間近で受けたものはその質問に答えることは出来ずに絶命しており、他にも爆風と横転の衝撃のせいで、怪我を負っている者が何人もいた。
「うぅ、新君」
「夏羽しっかり、怪我はないか?」
「大丈夫たよ。少しクラクラするけど、怪我はないよ。」
「よかった。」
「二人とも怪我は無いみたいね。」
牢屋の中で運よく無傷で済んでいた新と夏羽に遥は声を掛け、二人に近づいてきた。
「遥姉様、頭から血が!」
「私は大丈夫よ、それより二人とも、よく聞いて。このままだと私たちは、あいつ等に殺されるわ。」
「そんな、私たちは奴隷だから捕まるだけじゃないの?」
「盗賊は、奴隷商の真似事なんてしないわ。あいつ等の目的は、金品や珍しい魔道具を奪うことよ、その他はただ殺すだけ。その証拠に、私たちが乗っていた馬車もなんの躊躇も無く攻撃されて、何人かは死んだわ。」
そう言われて夏羽は周りを見回してみると、既に死んでいる仲間と、命はあっても深い傷を負い、動けないものがほとんどだ。
「だから二人とも、ここから逃げるわよ。さっきの攻撃で牢屋は壊れたからここから逃げ出せる。」
「逃げ切れるの?」
夏羽の不安な表情を見て、遥は何て答えるべきか悩んでいた。正直なところ、牢屋から出たとたんに見つかるのは間違いないだろう。しかし、座して死を待っているよりも外へ逃げた方が、よっぽど生還の確率は上がるだろうと思い、二人を連れて逃げる覚悟をしたのだ。だから嘘でも不安を取り除こうと決心した。
「大丈夫よ。あなた達二人は、何があっても私が守るわ。」
そう言って、遥は二人の手を握って牢屋から出て走り始めた。
しかし、その直後、今までで一番大きな爆発音が響き渡り、その後、物凄い爆風が辺りに舞っていた砂埃を一掃した。
「いったい何が?…あ」
遥は、先ほど盗賊団の一人が放った弾の爆風で舞い上がった砂埃を煙幕の代わりにして、この場から逃げようとしていたが、牢屋から出た直後発生した爆風によって、煙幕が剥ぎ取られ、自分たちの姿が晒されてしまったのだ。
「…つまらん、この程度で傭兵なんかを生業にしているのか。」
それは、鬼塚達傭兵団に向けて発した言葉だったのだろう。しかし、それに返事するものは、誰も居なかった。
周囲は、既に静まり返っており、地面には、奴隷商人と傭兵団が屍となって倒れこんでいる。
どの死体も酷いもので、殆ど原型を留めておらず、文字通りの肉塊に変わり果てている。
そんな惨状を目にしてしまったせいか、夏羽は足を震わせながら、膝を着いてしまった。
「夏羽!?駄目よ、しっかり立って!」
「ご、ごめんなさい。・・・あ、足に力が入らない」
既に、砂埃で出来た煙幕も消えていたため、三人の姿は盗賊団には丸見えの状態になっていた。そんな三人を一瞥した盗賊団のリーダーは、直ぐに視線を外し、三人に背を向けて歩き始めた。
「始末しておけ。」
部下の横を通り過ぎると同時に声を掛けると、「わかりました。」と一泊おいて返事が返ってきた。
命令された男は、団長を見送った後、奴隷達に視線を向けて歩きはじめた。
「悪いな、幾ら女子供でも目撃者は殺すのが俺たちの掟なんだ。それに俺たちは、奴隷は扱わねぇのさ」
「悪いな」とは言うものの、全く悪びれた様子もなく男は、三人を見下ろしていた。
すると、男は左手を動けなくなった奴隷達がいる牢屋の方へと向けたその時、男の左手から何かが放たれ直後、爆発と共に馬車が完全に破壊された。
「まぁ、何だ・・・直ぐにお仲間の所に連れて行ってやるよ。」
無慈悲にも動けなくなった奴隷達がいる牢屋を破壊した男は、帯刀していた刀をゆっくりと引き抜き、刀の峰で肩をトントンし始めた。
「ぉ・・・お願いします。どうか、どうか子供たちだけは助けてください。お願いです!」
遥は、跪き男の腰に掴みかかると、二人を助けてくれるように懇願するが、男はうっとおしい物を見るような目で三人を見下ろしている。
そんな目を向けられてなお、遥は男に泣いて懇願を続けていた。
そんな遥が男に懇願をしながら、昔のことを思い出していた。
思い出すのは、自分の弟のこと。数年前、奴隷商に捕まる際、自分を庇って殺された弟、最後に弟が自分に残した言葉は「お姉ちゃんは、生きて」だった。自分よりも10歳以上年下で、生まれてから5年も経っていない弟が、自分に対して言う言葉がそれだった。
本来なら、自分が弟を命を懸けて守らなければならないはずなのに。
本来なら、生きなけれてばならないのは弟のはずなのに。
なんで、自分は弟を殺した奴隷商に歯向かいもせず、ただ言いなりになっていたのか。
そんな自分が許せなかった。
だから、遥は新や夏羽に自分の弟の姿を重ねて今まで何かと気遣ってきたのかもしれない。
夏羽は、血は繋がっていなかったが、本当の娘のように育ててくれた両親を目の前で殺されて、捕まってきた時には、ずっと泣き続けていた。
そんな夏羽を可哀想と思い、いつも一緒に居て支えて守ってきた。
新は、衰弱しきった状態で捕まって、その日のうちに死にかけたが、翌日には、死の淵から蘇ることができた。しかし、感情を失い、記憶も虫食いのように穴だらけになり、自分が誰かさえも思い出すことが出来なかった。
そんな新を可哀想と思い、何かと面倒をみて優しくしてきた。
だけど違った、本当に可哀想なのは、自分だった。
自分は、夏羽や新を見て、自分より可哀想だと思うことで、壊れそうな自分の心を必死に守ってきたのだ。
夏羽は、自分なんかよりずっと強かった。両親を殺した相手に反発する勇気を持っていた。
自分は、弟の敵をとることよりも自分の保身しか考えていなかった。
新は、自分なんかよりずっと優しかった。感情を失っていても、夏羽や他の奴隷達を常に気にかけ、夏羽だけでなく他の奴隷にも食事を分けたり、傭兵が絡んできても己が矢面に立ち、いつも相手を引かせていた。自分は何もせず、黙していただけだった。
二人は、こんな自分を姉と呼び、いつも一緒に居てくれた。
そう、一緒に居て支えてもらっていたのも、優しくされていたのも自分の方だった。
この二人が居なければ、自分は、とっくの昔に心を病んで焼けを起こして死んでいただろう。
守られていたのは自分の方だった。だから、今度こそ、この二人は何が何でも自分が守らなければならないのだ。
しかし、遥の決意も、二人を助けて欲しいという些細な願いすら、目の前の男には届きはしなかった。
刀を逆手に持ち替えて、ゆっくりと腕を振り上げ
「鬱陶しい。」
たった一言、口にした瞬間、遥の胸に刀を突き立てた。
「姉様――‼いやぁぁぁぁぁっ!!」
夏羽の絶叫が響き渡る中、遥は糸の切れた人形の様に崩れ落ちた。
「うるせえなぁ、これだから餓鬼は嫌いなんだ。さっさと終わらせてやるよ・・・」
ふと下を見ると先程、胸を突かれたはずの遥が、地面を這いずりながら二人の元へと近づいて行っていた。
「夏羽、・・・新・・・」
「姉様!ここです!ここに居ます。」
「・・・・僕もここに居ます。」
遥は、自分の元へ近づいてきた二人の手を取って抱き寄せた。
「ごめんね、守れなくって。」
か細くなった声で、精一杯絞り出す。
悔しい、自分にはたった二人の子供を守ってあげることさえできない。
「どうか、どうか生きて。お願いします、どうか、この子達を殺さないで。」
背後から迫る確実なる死を前に、死の直前まで、自分はただ祈ることしか出来ない。
「夏羽、新…あなた達はまだ小さくて、何も分からないかもしれないけれど、…この世界には、こんな酷い理不尽だけじゃなく、とても美しく幸せな物だって、沢山あるの…だから、アナタ達は、これから先、もっと生き続けなきゃ駄目なの、こんな理不尽に負けない位強くなって、せめて自分の道を自分で決められるようになるまで、だからっ!…」
斬っ!!
そんな音がするように、男は手持ちの刀で遥の背中を思いっきり叩き切った。
「・・・もういいだろ?仲良く死ねよ。」
男はそう言うと、左足で踏み込み、遥の右わき腹を蹴り飛ばした。
二人に覆いかぶさるように、守っていた遥は、男の斬撃と蹴りによって、二人から引き剥がされてしまった。
意識が落ちる中、遥はただ願う事しか出来なかった。
『―――だから、どうか――神様―――初めて彼方に祈ります。―――この子たちを助けて。―――世界が本当に理不尽だけなものじゃ無いって、―――この子達に証明してください。』
「姉様っ‼姉様っ‼」
「夏羽、駄目だ前に出るな。」
新は飛び出そうとしている夏羽の手を掴んで、自分の背中に隠すように男と相対していた。
「へぇ、お前人間の餓鬼か、何で魔界に居るんだ?」
「・・・。」
新は答えない。
相手との実力差なんて、考えるまでもなく歴然であり、殺されることは必然。
だが、どうにか夏羽だけでも助けられないか、そればかり考えていた。
目の前で、遥を殺されて動揺している夏羽をどうにかして捕まえているが、こちらの声は、もはや夏羽には届いていない。
「まずは、人間の餓鬼、お前から・・・いや、どうせなら二人まとめてぶった切るか。」
刀をゆらりと右に掲げ、ピタッと動きを止める。
半眼にした目で二人を視界に入れる。
狙うは首筋から脇腹までの袈裟切り。
丁度二人が重なる所で、足を止める。
「残念だが、世界は理不尽ばっかりだぜ。」
言葉と同時に男は、踏み込んだ。
剣閃は一瞬にして、首元から入り、脇腹を抜けて地面すれすれで、ピッタリと止まっていた。
一泊置いて、身体がズルズルと斜めに崩れ、ドサリと地面に落ちた。
切断面は、まるで抵抗が無かったのかのように綺麗に切られている。
瞬間、切断部分から噴水のように血が噴き出たと思ったら、それも一瞬のことで、新は両方の切断部分から、勢いを失ったようにドクドクと流れている血液を茫然と眺めていた。
そう、切られたのは新達ではなく、刀を振り下ろしたはずの盗賊の男の方だった。
「間に合ったようだな。」
深みのある、そして優しい声が、新の耳に入ってきた。
「遅くなってすまない、熾輝、迎えに来たぞ。」
迎えに来たと言った男は、間違いなく新に向かって、【シキ】と呼んだ。
「あなたは、『おっと、』」
「あなたは誰だ」と言おうとした新の言葉を遮り、男は背を向けた。
「悪いが話は後回しだ。まずは、可愛い甥っ子をこんな目に合わせた連中を始末しないとな。」
剣先を盗賊団に向けた矢先、男の身体からは、激流のようなエネルギーが噴き出した。
「・・・さぁ、必死で逃げてみろ。」
男の子は目撃する。これから起こる一方的な殺人劇。
理不尽を超える超理不尽の圧倒的力を。