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鍛鉄の英雄  作者: 紅井竜人(旧:小学3年生の僕)
這い寄る過去編
210/295

俺の生徒に手を出すな!

入間は目の前で起きている現実を受け入れる事が出来なかった。

何故なら今に至るまで自分たちの勝利は揺るぎないものだと信じていたから…


「バカな、ありえない」


数の上で圧倒的に有利だったハズの自分たちが追い詰められている。それもたった3人を相手に既に半数以上が倒された。


「皆さん!何をしているのですか!早く彼らを排除なさい!」


味方に守られている入間だが、ジリジリと肉壁の厚みが削られている事に危機感を感じていた。肉壁の向こう側では人が宙を舞い、かと思えば自由落下していく姿が目に映り、時折銃声のような発砲音や刃物で人を切っていると判るような斬撃音が耳に届いてくる。


「これは、…ヤバイ」


数で勝ると余裕を感じていた当初とは打って変わって入間は気付いてしまった。

そもそもの質が違い過ぎると。コチラは悪魔に頼りきった魔術師に毛が生えた程度、対してアチラは子供とはいえど達人に育てられた能力者と高位の式神2基が傍についている。

現状、どう考えても敗北を味わうのは入間サイドである。


―(こうなれば、致し方ないですね…)


敗北を悟ってから見切りを付けるまでが早かった。あるいわこうした見切りの速さこそが彼が今まで生き延びて来た理由なのかもしれない。

入間は、あらかじめ忍ばせていた悪魔に合図を送るようにコツコツと、地面を2度続けて蹴ると足元の影が僅かに揺らいだ。


逃走の準備を整えると、懐から3つのスクロールを取り出した。


「組織からのペナルティは怖いですが、私も覚悟を決めましょう。…真部さん、あなた自慢のキメラ、使わせてもらいますよ」


トプンッ、と足元が沈んだタイミングに合わせて、入間はスクロールを宙に投げた。スクロールには予め施していた魔術が発動し、不規則な動きで3方向へ飛んでいく。…が、いずれも病院に吸い込まれるように飛んで行ってしまった。


足元から腰の高さまで沈んだところで肉壁の隙間から熾輝と目が合い、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。


―(今は、その顔を見れただけでも良しとしましょう)


仲間を見捨て、今を生き抜くことを選んだ入間は一人、異相空間からの脱出を成功させた。そして…


「――やられた。まさか逃げるなんて」


正門に押し寄せていた敵を倒したのは良いものの、熾輝は黒幕に逃げられた事に憤りを感じていた。


「追跡は不可能だ」

「それよりも奴が放った物が気になります」

「…さっきからイヤな気配を感じる」

「では、急ぎ可憐殿と合流を――」


防衛線を突破されたことに焦りを感じて、早急に対処すべきと具申する双刃であったが、それを熾輝は「大丈夫だと思う」と何やら確信めいた言葉を漏らし、彼女の小首を傾げさせた―――。



◇   ◇   ◇



追い詰められ行き場を無くした可憐と朱里は、ジリジリと迫る3つの影と向かい合っていた。


「…貴女は逃げなさい。ここは私が何とかする」

「何とかって…あんなのをどうにか出来るのですか?」

「舐めないでよね。私はこう見えても天才なんだから」


朱里の声音に余裕がないことは直ぐに判った。それというのも目の前に迫ってきている異形が原因だろう。戦う力がない可憐にも判るほどに異形たちは強いのだ。その暴力的なオーラが物語っている。


「行って!」


車椅子に乗せられたままの朱里は魔術を行使した。起動したのは彼女の得意とする結界術。

敵を閉じ込め動きを封じる。これで可憐が逃げるだけの時間が稼げる。そう思っていた…


『Garyryryyy』

「なッ――!?」


一撃だった…否、一撃と言う攻撃にもなっておらず、ただ押しただけの行動で彼女の得意とする魔術が破壊された。それ程の力を有しているのかと問われれば、どうやらそうでは無いようだ。


「魔力を喰った?」


俗に魔力喰グラムイーターと呼ばれる怪異が存在する。その名の通り魔力を喰らう…しかし、目の前の異形がソレなのかとは、朱里にはどうしても思えなかった。

見た目こそ気持ちが悪いのだが、よく見れば何種類もの生物が合成された…まるでキメラだ。複数の妖怪らしき肉の塊、核となっているのは人と思しき物体。おそらくは人間を主軸として構成されたキメラ。それが目の前に居る異形の正体だ。


『GYAGYAGYAッ!』

「マズイッ――」


困惑する2人に向かって1基のキメラが駆け出した。急ぎ魔術を展開しようにも近づいて来たのはグラムイーターの能力を備えた個体だ。生粋の魔術師である朱里との相性は最悪と言わざるを得ない。


このままでは2人まとめてキメラの餌食になってしまう。と思ったそのときだった、ヒュッと風を切るように飛んできた1本の矢がキメラの目に突き刺さった。


『Ⅾyururuuuッ――!!』

「いったい、なに――?」


痛みにもがくことによってキメラの動きが止まった。突然の事に困惑していた朱里だったが、2人とキメラたちの間に割り込み、彼女たちを守るように3つの影が立ち塞がった。


「う、そ…なんで貴方たちが…」


在り得ないものを見ているかのように朱里の目が見開かれた。なぜならあの日、朱里は彼女たちと決別をしていたから…。彼女たちにとっては仕事として朱里と一緒に居たに過ぎず、雇い主の意に反した行動をとり解雇されたハズ…所詮はお金で繋がっていただけの関係だ。なのに…


「決まっているでしょう。可愛い妹のピンチをお姉ちゃん達が見過ごせると思う?」

「そうそう、朱里ちゃんはもう、ボクたちの妹なんだから」

「あなたには、まだまだ女の子として教え足りない事がいっぱいあるわ」


言葉が出ない。それ程に彼女たちの言葉が今の朱里には嬉しかったのだ。

切っ掛けは不誠実にも復讐などと言う邪な願いから始まり、自分を支援するために組織が用意した外部の人間。だけど、彼女たちとの暮らしの中で、時たま嬉しい気持ちを感じていた。もしかしたら姉妹というのは、こういうものかもしれないと……


「「「だから絶対に助ける!」」」

「ッ―――!!?」


こんなどうしようもない自分を助けに来てくれた。その事が嬉しくて、胸が苦しくなり、涙が溢れ出てきた。しかし…


『んっん~、人間とは理解できませんねぇ』


それをぶち壊すように声を上げる者が居た。その気配にその場の誰もが困惑し、いったいどこから聞こえてくるのかと周囲を見渡す。


『ここですよ。ここ…そう、あなたたちの目の前』

「しゃ、喋った――!?」


視線の先に居るのは3体のキメラ…しかし、それらから意思があるかのような視線が向けられている。


『『『驚きましたか?このような獣がまさか喋るなんて思ってもみなかったでしょう?』』』

「まさか、悪魔――?」

『『『ご名答です』』』


3体のキメラは揃って同じ言葉を発している。おそらくキメラの身体を乗っ取っているということは容易に想像できる。そして、3体がそろって同じ言葉を発しているという事は、1体の悪魔が3体を支配下に置いているのだろう。


『『『それにしたって何故人間は、やれ絆だのやれ愛だのという物に縛られるのか理解に苦しみます』』』

「ッ、なんだよコイツ、突然出てきていきなり!」

『『『だってそうでしょう?自分を犠牲にして他を助けようだなんて愚かしくて、ついつい笑いが込み上げてしまいますよ。んふふふ…』』』


朱里を助けようとする真理子たちの行いを悪魔は下らないと一蹴した挙句にせせら笑う。


「バカにして!お前なんかボクたちがやっつけてやる!」

『『『ほほ~ぅ、出来ると思っているのですか?』』』

「なに!」

『『『どうやら、私との力の差を理解していないご様子…しかし、他のお二方は違うようですね?』』』


言って、悪魔が向けた視線の先には、朱里を守るようにして立ち塞がる真理子と尚子…しかし、2人の膝がワナワナと震えている。


『『『んふふふ~、怖がらなくていいのですよ?私の役目は、そこの少女を主の元へ連れ帰る事なので、あなた達は邪魔さえしなければ見逃して差し上げます』』』


悪魔の囁きとはよく言ったものだ。だが、それを受け入れるような人達なら最初からここには来ない。


「お断りよ。私たちの妹に手出しさせないわ」

「たとえ敵わなくても、この子たちだけには手出しさせないわ」


力の差は戦わなくても理解している。しかし、例え勝てなくても守りたい何かが彼女たちにはあるのだ。心は負けないと言わんばかりに真理子と尚子、そして陽子が立ち塞がり、手に持ったボーガンを構える。


『『『んふふふ~、脆弱ですね。魔力は弱く、かといってオーラを扱えるわけではない。唯一の武器はそのボーガン……貴女たち、ただの肉壁ですか?』』』


彼女たちの本領は相手の隙を突いて標的を無力化する暗殺だ。それは力を持たない本人たちが導き出した戦う手段。故に直接の戦闘ともなれば、非力としか言いようがない。


「二度は言わないわ!悪魔なんかにこの子は渡さない――」

『『『愚かですねぇ』』』


ボーガンの引き金に力を込めようとした直後、先ほどまで十分に間合いを取って、離れた場所に居たハズの悪魔が一瞬で目の前に現れた。そして、唯一の武器を気色の悪い腕で掴み取り、そのまま取り上げてしまった。


「はやッ――!?」


もはや真理子の動体視力では、到底とらえきれない程の高速の動き。武器を取り上げられたと認識した時には、既に悪魔の腕が命を握りつぶそうと迫っていた。


『『『死になさい』』』


無慈悲なる力が真理子の頭蓋を掴み取り、豆腐でも握り潰すかのような軽い勢いで悪魔は、腕に力を入れた。ハズだった…


「アカンよ。そないりきんだら彼女が死んでまうやないか」

『『『……何者です?』』』


キメラの剛腕を受け止めていたのは、ひょろっとした優男。お世辞にも鍛えているような精悍な顔つきではなく、どちらかといえば疲れ切ったサラリーマンと言ったほうがしっくりする。しかしながら、人間を遥に超えたパワーをもったキメラの攻撃をこの男は片腕で受け止めていた。


「ただのしがない教師やッ!」

『『『ッ――!!?』』』


男が力を注いだ瞬間、まるでトラックに激突されたかのように悪魔が吹き飛んだ。


「女性には優しくしぃや?」

「ぁ、――」

「アンタ!何でこんな所に居るのよ!?」


吹き飛んだ悪魔に向かい、不敵な笑みを浮かべる男。それを間近で見せられた真理子は頬を染めて何かを言葉に出そうとした瞬間、驚いたように朱里が叫んだ。


「やぁ城ケ崎くん。久しぶりやな」


ヤッホーとでも言っているかのように右手をヒラヒラと振る男のなんとノリが軽い事か…


「お知り合いですか?」

「木戸零士…学園の元担任」


『元』とつけたのは、自らの意思で学園を離れたが故だろう。


「色々と言ってやりたい事はあるけど、まぁ今はアレをどないかしないとなぁ」


零士は相変わらず飄々としたノリで、吹き飛ばした悪魔の方に視線を向ける。


『『『んふふふ、アナタなかなか強いですねぇ。ですが、私には勝てませんよ?』』』

「やってみなわからん思うけど、…ちなみにこのまま退いてくれたりは、せえへんかな?」

「「「えッ――!?」」」


まるでサラリーマンが得意先に対してへりくだるかの様な態度で休戦の提案を申し向ける。これには真理子たちも言葉にならないのか、思わず驚いてしまう。


『『『んふっ!んふふふ!勝てないと悟り、命乞いですか!いいでしょうとも、私とて無用な戦闘は避けたいところ、そこの少女を渡せば大人しく引き上げましょ――』』』

「舐めたことぬかすなアホ」

『『『…はい?』』』


凍り付いたと思う程に空気が変わった。先ほどまでの飄々とした態度は何処へ行ったのか、眼鏡をクイッと下にずらして睨みを効かせる。


「どこの世界に生徒を見捨てる先生がおるっちゅうねん」

『『『…やはり理解不能です。自らの命を犠牲に生徒を助けようと言うのですか?』』』

「なんやろうな、僕も危険な仕事が嫌やから教師になったのに、まさか命を張る事になるとは思いもせえへんかったわ」

『『『人間とは難儀なものですねぇ』』』

「ホンマやで。……でもまぁ、仕事やからな。先生らしい事を言わせてもらおうか?」


何を?とは問わず、悪魔はただただ呆れを孕んだ溜息を吐きつつ、『どうぞ』と促す。


「僕の生徒に手ぇ出すなッ!」

『『『んふふふ~!それがアナタの最後の言葉ですか!なんとも陳腐です!』』』


言って、悪魔は襲い掛かった。しかも先程の様に1体だけの身体を使ってではなく、一気に3体でだ。


「上等じゃボケェ」


ドスの効いた声で悪魔を威嚇しつつネクタイに手を伸ばし、ゆっくりとした動作でソレを緩めると魔法式を展開し始める。その様子に警戒したのか悪魔は一定の間合いを取り、零士の動作を観察し始める。

そのことから目の前の悪魔は戦い馴れをしており、尚且つ、慎重なタイプと零士は評価を下した。


「城ケ崎くん、お友達を守ってやり」

「ッ、い、言われなくてもそうするわよ!」


気を抜いていた訳ではない。しかし、急に話かけられた事から朱里はドモってしまった。そんな彼女の様子を横目に零士はクスリと笑みを浮かべる。


「頼むで天才児」

「…あ、アンタはどうするのよ?」

「お?なんや、心配してくれはるの?」

「んなッ、バッカじゃないの!心配なんかしてないし!」

「さいですか…でもまぁ、教え子の前で格好悪いところは見せられへん」

「え――?」


零士の言葉に一瞬ドキッとした。朱里は復讐を遂げるために学園を去った。にも関わらず、零士は彼女を自分の生徒だと言ったのだ。


「それって、どういう――」

「とりあえずは、あの憎たらしい悪魔には、ぶぶ漬けでもご馳走したろうか」


朱里の言葉を最後まで聞く前に、悪魔が動き出したため零士も動いた。後ろでは「ちょっと!」と文句を言う教え子の声が聞こえたが構わず進む。遅れて展開された結界をみて、ちゃんと仕事だけはしてくれている事に教師として褒めてやりたいところだが、今は戦闘に集中する事にした。


『『『別れの挨拶は、すみましたか?』』』

「なんや、待っててくれてたんか?優しいなぁ」


待っていた訳ではなく、零士の出方を窺っていたと言ったほうが正しいだろうが、ここで答え合わせをしても詮無いことだ。


『『『あまり我慢できる性質たちではないのでね。…行かせてもらいますよ』』』


急速に迫る3体のキメラが三方向から交差した矢先、零士の身体がいとも簡単に引き裂かれた。


「いやああぁあッ――!」


思わず声を上げる真理子は、目眩を起こして倒れそうになる。


『『『…妙ですね。全く手応えが無い』』』

「そりゃそうやろ。キミが攻撃したのは幻やもん」


零士の声が響いた途端、引き裂かれたハズの死体が霧散した。

代わりに辺り一帯に霧が立ち込める。


『『『これは…』』』

蜃気楼ミラージュ、これが僕の魔術や」


霧の中から出てきた零士…しかし、その姿に悪魔は怪訝な表情を浮かべる。

なぜなら、霧の中から出てきた零士は、1人ではなく、7人に増えていたからだ。


『『『なるほど、分身を見せる幻ですか。差し詰め臆病者が逃げ隠れして隙を突いての攻撃といったところ……非力な人間の小技が私に通じるとでも?』』』

「お生憎、嘘とハッタリと小技の応酬が僕の戦い方や」

『『『そうですかッ』』』


ヤレヤレと呆れを含んだ溜息を漏らした次の瞬間、1体のキメラが大きく深呼吸…否、魔力を喰らい始めた。


『『『コチラは、魔力グラムイーの能力があるのですよ!こんな小細工、直ぐに終わらせてッ…終わらせて……終わ……』』』


終わらない!

キメラが有する魔力喰らいの能力を発現させているにも関わらず、一考に術が破れる気配が無い。それどころか、まともに魔力を吸い込めていない。


「やれやれ、まさか自分の能力を把握できていないんか?」

『『『…どういう事です?』』』

「グラムイーターちゅうても、直接魔力を喰らう必要がある。キミが今食べてるのは、ただの空気や。少しばかり湿気を含んだな」


霧のせいで零士の姿を見失うも、辺りをキョロキョロと見回す悪魔に対して、御高説を垂れる。

零士が発動させた蜃気楼ミラージュの効果は幻影を見せる事が出来る。しかし、幻影1つ1つが魔力で出来ている訳ではなく、魔術によって空気を屈折させた結果、幻影が投影されるというもの。

つまり、大元である術式を循環する魔力を喰らわない限り、この術式を破る事は出来ないのだ。


しかし、この魔術を行使している零士の技巧は、悪魔の眼を完璧に欺いている。おそるべき魔力操作技術によって、術式はおろか零士本人の探知すら出来ないのだ。


『おのれぇ、せこい真似を…しかし、直接的な攻撃を仕掛けてこないのは、私を恐れてのことでしょう。いくらアナタが分身体を作り出そうと、1つ1つ消していけば、本体へと辿り着くハズ!』


悪魔の眼に映っている幻影れいじは全部で7体、つまりそのどれかに零士が潜んでいるということ。


『コチラは3体、アナタは7体!な~に、一人頭のノルマがニィ点サン人!時間にして1秒弱!それだけで簡単に始末してみせましょう!』


弾かれたように悪魔が別々の方向へと飛び出した。跳んだ先には零士の幻影、その幻を1人、2人、3人、4、5、6人とあった言う間に屠っていく。


『おやおや、反撃する暇もありませんか!最後の1人が本体とは、運が良いのか悪いのか判りませんねえぇッ!』

「ッ――!!?」


悪魔の予告どおり、時間にして1秒弱、その僅かな時で全ての幻影を屠り、遂に残った本体へと伸びだ拳が、抵抗・・もなく貫かれた。


『な、に――?』


そう、なんの抵抗……つまりは、手応えが無かったのだ。


「分身が7つだからて、なにもその中に本体が居るとは限らへんよ」

『しまッ―――!!?』

「そんでもって、攻撃時と攻撃が終わった時ってのは、もっとも隙が多いものや」


ヒタリ…と2体のキメラに、そっと手が触れる感触がした。もちろん触れた者の正体は、ずっと隙を窺っていた零士本人だ。


「散れッ――!!」

『『ぐあぁあッ――!!!』』


魔術発動のキーワードを唱えた瞬間、キメラの身体に亀裂が走り、肉が裂けた。しかし、キメラの頑強な肉体を完全に切断できた訳ではない。が、これは動けない程の大きな深手を負わせたと言って間違いない事から無力化できたと言えよう。


「やっぱ固いなぁ。一応、つなぎ目を狙ったつもりやったんやけど」


零士は、この短い時間の中、キメラを観察し弱点を見極めていた。そして見つけたのが身体の至る所に走っている手術痕のようなつなぎ目だ。

合成獣キメラと言えど、肉体が完璧に同化できている訳ではなく、外科的手術によって肉と肉を縫合している箇所が多数見受けられたのだ。


『んぐぐぐぐぅ~ッ!』

「……ね、勝負ありや」

『なんですってえぇええ?』

「僕のミラージュを見破れん時点でキミに勝ち目はない」


それは慈悲なのか、それとも人間等の生命いのちがつかわれたキメラをこれ以上痛めつけたくないという想いから出た言葉だったのか、零士は悪魔にこれ以上の戦闘を辞める様に促したのち、威圧を収めた。


『ワタシを見逃すと言うのですか?』

「二度と悪さをせえへんと誓うなら命までは取らん」


零士はあくまでも教師としてココにいる。教え子の手前、例え相手が悪魔であろうとも殺される場面を見せたくは無いのだろう。


『…判りました誓いましょう――』


僅かに思考した悪魔であったが、やけにあっさりと零士の提案を受け入れた。かに思えた…


『なんて言うと思ったら大間違いですよ!そもそも悪魔は契約によって縛られているのです!その契約が不履行となれば魂が消滅します!』

「難儀な雇用関係やなぁ…まぁ、キミも僕も変わらんて事か」

『んふふふ!そうやって余裕ぶっていても良いのですか?』

「実際、優勢なのはコチラやからなぁ」

『なら、これを見てもそう言えますか?』


言って、悪魔の肉体がメキョメキョと不可解な動きを見せた。すると肉体を押しのけて人間の身体らしきものが出てきた…それも子供のものだと思われる。思われると言ったのは、その外見からでは判別は難しい程に歪んでいたからだ。なにせ悪魔が見せて来たのは、自身が支配しているキメラの肉体の一部を無理やりせり出したものだから…


「なんのマネや?」


ドスの効いた声で問いかける零士に対し、劣勢であるハズの悪魔がニタニタと笑みを浮かべる。


『人間と言うのは情に脆い生き物ですからねぇ。自身が傷つくよりも他人が傷つくのを酷く嫌がる。…あなたもその類でしょう?』


零士は悪魔に聞こえないくらい小さく舌打ちをする。


『んふふふ!良い反応ですよ!そのまま大人しくしておいて下さいね。さもないとこの人間を殺してしまいますよ?』

「………」


見ず知らずの人間、それに人質としてどれ程の効力があるのかは定かではないが、すくなくとも零士は、何も出来ずに悪魔を睨み付ける。対して悪魔は零士の威圧をどこ吹く風かと自身が支配し、重症を負ったハズの2体のキメラを引き寄せると…


「ヒッ――!?」

「アイツ共食いしてるよ!」

「いったい何がしたいの?」


グチャグチャという租借音そしゃくおんをたてながら悪魔は2体のキメラを取り込み始めた。そして真理子たちの疑問は直ぐに明かされた。


『んふふふ!力が漲ってきましたよおぉおッ!』


悪魔は残り2体のキメラを捕食する事で、自身の強化を図ったのだ。次第に肉体も変貌を遂げ2倍程に巨大化した。

内包する力も増し、先ほどとは打って変わって凶悪なオーラを纏っている。


『さぁ、続きといきましょう。とは言ってもアナタは手を出せますか?』

「外道が…」

『んふふふ!勝負ありです!』


吐き捨てる零士に対し力を得た悪魔が襲い掛かる。そのスピードは先程とは比べ物にならず、一瞬んで零士へと肉薄した。


零士もただ呆然と立ち尽くす訳ではなく、ミラージュによって7つの分身体を映し出すが…


『無駄です!』


死角になって見えなかったが、キメラの背には新たに4本の腕が生えており、一瞬で分身体を屠る。そして遂に悪魔は零士を捉えた。


「ガハッ――!」

『んふふふ!良い感触です!もはや間違いなくアナタの腹を打ち抜きましたよおぉお!』


悪魔の一撃により吹き飛ばされた零士は、屋上の柵に激突して転落を免れた。


「先生ッ――!」

『教え子が心配していますよ?はやくお立ちなさい。でないとトドメをさしてしましますよ?』


うな垂れる零士に向かって悪魔は歩を進める。だが、零士に立ち上がる気配がない。


『おやおや、もしかして戦意を喪失してしまいましたか?まぁ仕方がありませんね。パワーアップした私が強すぎるのがいけない――』

「違うな…間違っているぞ悪魔よ!」

『ッ――!?』


愉悦に浸る悪魔だったが、その悦を切って捨てる声が響き渡った。しかし、その声を聴いて悪魔は眉をしかめる。

なぜなら声の正体は他でもない零士のものだったからだ。だが零士は今も悪魔の目の前でうな垂れており、立ち上がる素振りはおろか、声を発しているようには見えない。


『どんな手品ですかコレは…』


奇妙としか言いようがない感情が込み上げる。それもそのハズ、声がした方を振り向けば、そこには分身体と思われる7人の零士がいたからだ。


「フハハハハッ!情けないぞ俺!そんな低級悪魔に傷を負わされるとは!」

「まったくだ。我ながら情けない」

「これはもう、いっその事ボクが主人格になるしかないですね」

「そういってやるな。俺だって頑張っているんだ」

「修行不足でござる」

「いやいや結構強いよ!この悪魔!」

「………マジ卍」


7人の零士は、それぞれが人格を持っているかの如く喋り始める。しかも、それぞれからは魔力やオーラを感じ取れる。それも膨大な力だ。


「勝手に出てきて、好き放題いうなや。人が折角、隙を見せてイテコマシたろう思ぉとったのに」


先ほどまでうな垂れていた零士が何事もなかったかのように立ち上がり、何やら深いため息を吐いている。


『これもアナタの魔術――』

「何を言うか!貴様ッ、完全に油断していたではないか!」

『…しかし、どうやって私の攻撃を防いだの――』

「攻撃の瞬間、オーラに切り替えて防いだが、ミラージュを維持するために俺が引き継いでやったんだぞ!感謝こそされ、文句を言われる筋合いは無い!」

『………』


わざと?と思いたくなるタイミングで俺様キャラの零士が悪魔の言葉を遮る。…が、悪魔の疑問は彼が全て説明してくれたので、これ以上は何も言わなかった。

しかし、未だ状況が飲み込めないのは悪魔だけではない。この一連の流れを傍観していた朱里や真理子たちも何が起きているのか理解できていないのだ。しかも、7人の零士たちと…おそらく本物であろう零士とのやりとりをみて、なおさらだ。


「油断していたのは認めるけど、せやかてピンチとちゃうからな?コイツ倒すのに5パターンは考えていたんや」

『ほう――』

「ほう、だが俺は20パターン思い浮かんでいるぞ。やはり、俺こそが木戸零士であるべきだ」

『アナタたち、何を勝手――』

「勝手ぬかすな!だいたい、お前ら維持するのに僕がどれだけ疲れるか判ってるんか?しかも7人全員出てくる必要ある?」

『………』


もはや、メインであるハズの悪魔は、7人の零士に完全に喰われたと言って過言ではない。

実際に朱里や真理子たちも悪魔そっちのけで零士たちに意識を向けている始末だ。しかし…


「フッ、必要ならあっただろう。目立つ行動をとる事によって悪魔の意識を傾けさせた…なぁ、サイレントキラー俺!」

「…マジ卍」

『グハッ――!?』


先ほどから数年前の流行語ばかりを口にする卍零士が返事をした途端、悪魔は血を吐いて膝を着いた。

見れば、悪魔の身体の一部がくり抜かれ、卍零士の傍らにはキメラの身体…正確には人間の様に見える肉塊が寝かされていた。


「気になって本気を出せなかったのだろう?」

「…余計なお世話や」

「フッ、素直じゃないな。…しかし、残念ながらこの肉塊は既に人としての機能を失っている。そればかりか魂も無い殻の入れ物だ」


俺様零士の言葉に「そうか」と覇気のない声で答える。そんな彼の心中は穏やかではない。


「おい俺!そんな気の抜けたコーラの様な状態で戦いに望むな!やはりココはピンチを救った礼として、私自らが悪魔の相手をしてやる!ありがたく身体を貸せ!」

「冗談きついねん。…けどまぁ、借りは即返すのがウチの家訓やさかい。今回だけは良いとこ譲ったるわ」


言って、オリジナル零士はくうに手をかざした。…そして具現化される『お面』…それを零士は被り…


変身ペルソナッ!」


能力を発動させた―――。


『グッ、くそッ、油断した。まさか、あの一瞬で肉を抉られるとは……?』


グジュグジュと音を立てながらキメラの肉体が治癒し始め、ダメージを回復させる悪魔の目の前で、零士だった男は、別の誰かに変わった。


『なんのマネです?』


別の誰か…というよりは、外見がガラリと変わり、先ほどまでの疲れ切ったサラリーマン風なヨレヨレのスーツを着た男は、頭にフルフェイス型のマスクを被り、黒一色に統一された外套を羽織り、これまた黒いマントをなびかせている。


「フハハハハハッ!我が名はマスターゼロッ!虚無を統べる者!」


バサッ!バサッ!とYの字に両腕を広げた事によりマントが翻される!


『理解できませんねぇ。コスプレというやつですか?』

たわけえぇえッ!悪魔如きに至高の存在である俺を理解しようなど百億光年早い!」


バサッ!と再び翻し、今度は身を隠すかの如くマントで身体を包み込む。


『…いい加減、時間を掛ける訳にはいかないので、一気に終わらせますよ?』


傷も癒え、万全の状態になった悪魔に、もはや油断は無いと言わんばかりの力が迸る。今度こそ本気で零士を屠るつもりらしい。


「羽虫が粋がるな。俺を前にしてその態度、万死に値するぞ!」

『随分と強気ですが、魔術が疎かになっていますよ?先程の…蜃気楼ミラージュでしたっけ?もはやまともに機能していないでしょう?』


回りを見渡せば、悪魔の言ったとおり蜃気楼の効果で作り出されていた分身体は散り散りになり、霧も薄れ始めていた。


『厄介だったのはアナタの魔術で、実のところ本体であるアナタは貧弱なのでしょう?だから姑息な手段で私を翻弄した。…違いますか?』

「………」

『おや、図星ですか!』


沈黙する零士を見て、自分の勘が確信に変わったと悟った悪魔は、下半身が膨張する程の力を蓄え、地面が砕ける程の踏み込みで急襲した。


「頭が高いッ!」

『グギャッ――!!!?』


あと一歩のところで突然悪魔が顔面から地面に激突した。

一瞬、何が起きたのか悪魔自身も理解できていなかった。唯一判る事と言えば、零士は指一本動かしていない…が、自分を転倒させたのは、他ならぬ零士であると確信している。


『いったい何をッ――!!?』


悪魔は立ち上がろうと膝を立てようとする。しかし、立ち上がれない。そればかりか、今も額を地べたに擦り付け、膝を着き、両腕を大地にしっかりと張り付かせている。…いわゆる土下座だ。


「フハハハハッ!実に良い眺めだ。」

『グッ!』


零士は土下座状態の悪魔の頭部を踏みつけると誇らしげに…というより邪悪な笑い声を上げる。


『バカなッ、この私が人間如きの能力に抗えない!?』

「ほぅ、羽虫にしては知恵が回ると見える。だが、はたして俺の能力の正体が貴様程度に看破できるか?」

『……おそらく【言霊】ですね?アナタの言葉を聞いた瞬間、私は地に頭を擦り付けグエッ――!?』

「ハズレだ愚か者」


ヤレヤレと首を振りながら、ものすごく自然な動作で頭を蹴り上げる。…が次の瞬間、蹴り上げられた頭が思いっきり地面に激突し、再び土下座の姿勢になる。

しかも、蹴り上げた方の足にはオーラが集中していて、悪魔の頭が吹き飛ばない絶妙な力加減が成されていた。


『グヌヌッ、…この威力、…アナタ、貧弱を装っていたのですか?』

「フッ、違うな。あの阿呆レイジは、常に相手を出し抜くために、嘘が身に沁み込んでいる。故に貧弱であると誰もが錯覚する。だが俺は違う!そんな面倒な真似をせずとも十分に強いッ!」

『ど、どういう――』

「これ以上、貴様に答えてやるつもりは、ミジンコ程度も無いわ!」

『グギャッ――!!?』


まさに暴君!疑問が浮かぶような会話をしておいて、真っ先に切って捨て、再び蹴り上げる!そして……


「冥土の土産だ。俺達について教えてやる」


答えるつもりが無いと言っておきながら答える!まさに暴君!


「木戸零士の魂が八つ裂きにされた事により生まれた人格…それが俺たち!」


俺様…もとい、暴君零士が纏うオーラが魔力へと切り替わり、再びミラージュが起動する。


「人格ごとに才能はもちろん、趣味、思考、得意、不得意といった様々な能力が変化する!」


ミラージュによって形成される零士の分身体が7人分現れる。


「そして、人格は具現化したスクを被る事によって切り替わる!」


見本?のように蜃気楼ミラージュによって形成された分身体にマスクが被せられる。


「ちなみに、俺の能力は【支配者エンペラー】!1人に対し1回、絶対遵守の命令を下す事が出来る!」


あ、能力も言っちゃうの?と外野の誰もが思う。

しかも、そんなに強力な能力を土下座をさせるために何故使った!?と心の中でブーイングが起きる。

だが、暴君零士の能力で、悪魔の動きは完全に封じられたと言える。なにしろ今も現在進行形で土下座を慣行しているのだから。


『んふ、んふふふ…なるほど、なるほど…なんとなく判りました。アナタの能力も、そして…弱点も!』


言って、悪魔の身体から肉塊が飛び出した。


『やはりッ!能力を受けている肉体を捨てて分離すれば、自由に動ける!そして……』


元々、複数の個体を合成させた生物がキメラ…であるならば、素体を切り離してしまえば、能力の枷から解き放たれると予想し、見事に的中した。


『んふふふ!絶対遵守の命令とやらは耳が無くても効力があるのですか!?』


切り離した肉塊には、一瞬で手足と口が形成された。しかも、敢えて聴覚機能を排した状態でだ。


「愚か者ッ!」


完全に暴君の能力を封じたと確信し、その喉笛に噛み付こうと襲い掛かった。


『無駄でぐぇッ――!!?』


しかし、予想の斜め上から襲い掛かる衝撃によって、逆に悪魔の喉笛に光剣が突き立てられた。

何が起きたと困惑する悪魔の後方…先程、見本?のために作り出した分身体の1人の目の前に構築されていた魔法式を見て、我が目を疑った。


『な゛、に゛…?』

「フハハハハハハッ!」


驚愕を浮かべる悪魔を余所に降り注ぐ邪悪な暴君の爆笑ッ!


「この俺を捧腹絶倒ほうふくぜっとうさせるとは!……まさか、貴様の真の能力とは【爆笑】か?」


ハッ!?と、真剣な顔で問いかける暴君に対し、「そんな訳ない」と誰もが突っ込む。


『バカ゛な゛…分゛身゛体゛が、な゛ぜ、攻゛撃゛を……』

「簡単な事だ。コイツ等は、全員が式神として顕現しているからだ」

『な゛に゛?』

「最初にあの阿呆レイジが言ったであろう『嘘とハッタリと小技の応酬』が俺たちの戦い方だと」


前線で戦っているのは、身体に入り込んでいる1人と見せかけて、その実、いつでも何処からでも攻撃が出来る準備を7人が整えていた。


「なぜ、俺ほどの強さを持ちながらそんな事をする必要があったのか…という顔をしているな?よかろう答えてやる。そもそも俺は、能力と頭脳以外は、8人の中で最弱に位置する!」


まるで魔王が最後に語る『ぐははは!我を倒したからと言って調子に乗るなよ?我は魔王の中でも最弱の存在だ。貴様を倒すために第二、第三の魔王が現れるだろう』みたいなノリだ。


「正直、貴様を蹴り上げたときが俺の全力!…かもしれんぞ?」


もはや悪魔には、目の前の暴君が口にする全ての言葉が疑わしく、何が嘘で何が真実なのかが判断できなくなっていた。


「そして、一番の理由、それは…貴様の魂を完全に消滅させるためだ」


おちょくるような物言いから一転、バサッバサッとマントを広げ魔力を漲らせた。


「キメラを殺すのは容易い!しかし、肉体を滅ぼしたところで元凶である貴様を逃がす訳にはいかないからな!」

『なるほど、しかし魂に作用する術式を易々と構築できますか――?』

「フッ、既に準備は整っている!」

『なんですって!?』


ズビシッ!と、まるで光の巨人に変身でもする勢いのポージングをした暴君!否、見て欲しいのは、ポーズではなく、頭上の夜空!


そこには、キラキラと輝く北斗七星……に見立てた魔法式が構築されていた。


『バカな、そんな予兆アナタからは何も感じなかったぞ!』

「フハハハハ!だから貴様は愚か者なのだ!なんのために他の俺を顕現させたと思っている!」

『まさかッ――!!?』

「そのまさかだ!俺が貴様の相手をしている隙に、俺たちが術式を完成させたという事だ!」


既に構築された術式は、いつでも発射できる状態となっている。あとは、暴君が命じるがままに…


「さぁ、断罪の時だ!俺の生徒だけに留まらず、可憐な乙女を手に掛けようとした蛮行は、万死に値する!よって、この俺が審判を下す!」

『グッ――!』


光剣によって地面に縫い付けられている悪魔は、必死に逃げようとする。しかし、キメラの肉体をもってしてもその楔を外す事が出来ない。


「七つの星に裁かれよ!」


……七星剣グランシャリオッ――!!


『お、おのれッおのれええぇええッ―――!!!』


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