聖徳太子(プリンス)
吾輩はプリンスである。名前はまだ無いとは言いません。厩戸です。ほんっと両親の名付けセンスには虫唾が走るね。厩戸ってとこで生まれたから、そのまんま厩戸にしただなんて。しかも母の実家だったらしく、持ち主の蘇我馬子の叔父さんにちなんでネーミングされたそうな。私だってもっとカッコいい名前が良かったよ。なぁにが厩戸だ。私ほど名前にコンプレックスを持っている人なんて、そうそういないだろうな。
そんな事よりも、私の大好きなお爺ちゃんが仏教というものご執着中なんだよ。んでね、私もお爺ちゃんの影響で仏教大好きなわけで。私の血縁の蘇我の連中も仏教に絶賛ご執着中という有り様でありまして……もうね、アイ・ラヴ・仏教! を掲げたシャツとか作成したい気分なわけなんだ。
おっと、また話が逸れてしまった。さっきから仏教仏教叫んではいるものの、それを好まない輩もいるのもまた事実。時代の最先端を行けない保守的な人間なんてカムバックさ!
それでね、私たちが愛してやまない仏教を快く思わない奴らがギャーギャー喚き散らすわで大変な事になっちゃったんですわ。
とりあえずね、私の血縁の蘇我と、仏教断・絶! の物部さんの所が国の中枢を担っていたわけさ。当然、正反対の思想を持ってる我らが蘇我と物部さんは対立しちゃうわけ。私は嫌だったよ。物部さんとこの人も良い人が多かったからね。
まぁ、こんな感じで緊張状態にあった国なんだけどね、ある時、インフルエンザ的な病気が大流行! 物部さんの所はここぞとばかりに言うわけです。「ほれ見ろ! どこの馬の骨とも分からん宗教なぞ持ち込むから、国の神様がお怒りになってしまわれたじゃないか」とね。そんで、寺を焼くわ仏像を投げ散らかすわの大暴挙ですよ。
私はカッチーンと来ましたよ。みんな大好き仏教を侮辱するのは良い。どこの馬とも分からんだと? 私はここにいますが! 厩戸はここにいますが! こう見えて、将来を約束された身分の私をどこの馬とも分からないのか! 橘豊日皇子と穴穂部間人皇女の息子だぞ! お爺ちゃんは欽明天皇なんだぞ! お爺ちゃんは天皇として30年以上働いたすごい人なんだぞ!
とにかく怒った私は周りの反対を押し切ってまで大人たちに混ざって戦に出かけたんだ。
ところがどっこい! 蓋を開けてみれば蘇我軍劣勢ですよ。私はよく回る頭を存分に使って考えましたよ。集中する為に木彫りの四天王像を掘ってたら結構上手くできたわけ。
私はファッションにはすんごく気を使うタイプの人間だったから、女の子にはそりゃあモテモテでしたよ。この時も私のファッションセンスを生かして最先端ファッションで戦場を駆けました。この上手く惚れた四天王像を頭に括り付けてね。
「蘇我軍が勝った暁には四天王と厩戸の為の寺を築きましょう!」ってね。
私は将来を約束された身。この戦に勝利すれば私の将来は確固たる地位を築くでしょう。みんなが私の為に戦いましたよ。私と共に戦い勝利したとなれば、それはもう、一家の語り口。父さんはな、あの厩戸様と戦で共闘して勝利したんだぞ! って自慢できるじゃないですか! 私のおかげで、蘇我軍は大勝利ですよ。
蘇我VS物部の戦いは私のおかげで蘇我が勝利し、国のみんな全員が仏教最高! と叫べるようになったわけです。
まぁ、後味の悪いこともありましたね。叔父さんの穴穂部皇子が物部さんの方で戦ってたんだけど、物部さんとこが形勢不利になるとこっち側に来たいって言い出したんですよ。母が説得したらしいですがね。この人ね、女の子を犯そうとして、それを守った人を殺したりかなりの危険人物だったわけですよ。それでも叔父さんは私の母の弟ですし。
敵側の人間で、我らが蘇我一族を出し抜こうとしたりした人ですけど、私、幼い頃からこの人と遊んでもらったりしてたわけでありまして、そう、その……馬子の叔父さんは「処刑だ! 処刑だ!」って叫んでたんですけどね、私もこう見えてナイーブな人間ですよ。所縁のある人が処刑されるのはちょっと……母もなんとか助ける事は出来ないのか? と懇願していましたし。しかし、罪人であるのは疑いようは無い人なので、馬子の叔父さんに、「穴穂部皇子は流刑で良いんじゃね?」って軽い感じで言ってみたけど、「流刑でも良いのだが、穴穂部皇子は必ず流刑地でも女を犯し、謀略を持って蘇我に損害を与える可能性のある人物だ」と言われて何も言えませんでしたよ。結局、叔父さんは処刑されちゃったんだけどね。
しかし、私、厩戸はめげませんよぉ! だって、これからやりたいこといっぱいあるしぃ。あんなことやこんなことやりたいじゃあないですか。
ふむ。なんというか。シリアス要素入っちゃった。やっぱコメディって難しいな。
聖徳太子編に入る前に欽明天皇の事を書こうと思ったのですが、謎が多すぎて調べるのに挫折しちゃいました。
聖徳太子編はまだ続きますよー。勢いだけで書いてるのでちとあれですが。
実験的な要素も多いのでそこらへんはごめんなさい。
色々脚色も多いですが、これはこれで神仏戦争が起こったきっかけくらいは勉強になったかもしれませんねwww