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磐井くん

「はぁ……早く地元に帰りたいとよ」

「しかし、磐井くん。そなたも父君より、この都で勉学に励めと申されているでしょう」

「なにほざいとうと? 近江くん。今の都はここでも、将来は俺の地元が都になる予定なんよ。ほれ、今のうちに俺に媚び売った方がよかばい」

「いやいや、磐井くんはそう思ってても世間はそう変わるものじゃないから。ささ、未来の朝廷様。飯が冷えないうちに食べてしまいましょう」

「腹が減っては戦は出来ぬ! そんな言葉もあるけんね。なにより飯ば食わんといけんばい。たまには良い事を言う近江くんの事、これでも結構好いとうとよ」

「とんだ冗談を。僕にそんな趣味はありませんから」

「ほらほら、そんな事言わんと俺にぶっちゅーしてもいいんよ」

「辞めろ! 気色悪い」

「冗談が通じんねぇ。そんなんじゃ女ば寄って来んばい」


 この様な会話が毎日のように続いていたが、親友とも言うべき存在の二人。この二人にも別れの時がやってきた。

「じゃ、俺は地元ば帰るけん、近江くんも元気でやるんよ。近江君。そんな顔ばしとったら女ば寄って来んよ。ほれ、別れのぶっちゅーしちゃるけん」

「辞めい! そんな趣味は散々無いと言っているだろ! まぁ、その……今生の別れじゃ無いんだ。またナンパして遊ぼうぜ!」

 磐井は近江に背中を向け、片手を挙げて「はいはい」と言ったように手を振って馬に跨った。


 磐井と近江が都で別れてから数年後の話。


「――との情報を得てございます。どうなさいますか? 磐井様」

新羅しらぎ任那みまなを占領したとね! 新羅もようやるばい」

「都の彼奴らは百済くだら、任那と友好関係を築いております故、任那からのヘルプ要請が都へと届いておるようです」

「そんな事、俺たちには関係無いっちゃけど、わざわざ報告に来とるって事はなんかあったと?」

「ご察しの通りで御座います。なんと申せばよろしいのでしょうか……新羅からこんな物が一方的に送られて来とうと……おほん。来ているのですが……」

 この従者が持って来たのは春画などの類である。春画とは要するにエ〇漫画や〇ロビデオ的な……


閑話休題


「ぬああああああああああああ! もう無理ばい。どれだけ俺の精気をむしり取る気か! 俺の右手も限界に近いんよ! どうすればいいと? これどうすればいいと?」

「と、申されましても、ぐは……だ、ダメです。足元が……」

 磐井と従者の顔は誰が見てもやつれているように見えた。きっと、春画をまわし読みしていたのだろう。他の男たちも同様にやつれている。

「ええい! 新羅はなんの為にこんなネガティブオプション的な事を俺たちにしようと?」

 余談ではあるが、こんな男たちを微笑ましく、まるで聖女のような笑みを浮かべて微笑んでいる女たちの懐の深さがうかがえるのであった。


 場所は変わり、都でのお話。

「なんと! 磐井の国が新羅から大量の賄賂を貰っていると? けしからん! けしからんぞ! 磐井はきっと新羅と徒党を組んで朕の都を陥落させようと企てているはず! 誰か磐井を討伐せし者はおらぬか!」

「その件に関しては物部麁鹿火もののべのあらかひ殿が適任かと」

 こうして、満場一致で都の磐井討伐軍が編成されたのであった。この討伐軍に近江も参加させられた。親友との再開の場が敵同士である。なんと皮肉な事であろうか。昨日の友は今日の敵とはよく言ったものだ。


 都の討伐軍が編成されてすぐに行軍が始まった。先方隊の隊長として近江は磐井の国へと突入していた。

「磐井くん! 磐井くんはどこだ!」

「お、その声は近江くんじゃないか。そんな武装などしてどうしたとね?」

「おお、磐井くん。そんな所にいましたか。磐井くん。馬鹿な事は辞めてくれ!」

「あ、ああ。自分でも馬鹿な事しよるのは分かっとうとよ。でも、近江くんも男なら分かると思うばってん」

「ああ! 分かるさ! 男なら一度決めた事を曲げたらいけない! しかし、このままでは君は死んでしまうぞ! 磐井くん!」

「同じ釜の飯を食うてきたけん分かってくれると思うとったよ。でも、もう辞められないんよ」

「く……後には引けないと言うのか! 僕は……君の事を思って」

「いや、俺そんな趣味無いけん。用事が切羽詰まっとるけんが、俺はもう行く。元気でやるんよ。近江くん」

「い、磐井くん! 待ってくれ! 話を……」

 都で別れた時と同じように、磐井は近江に背中を向け、片手を挙げて「はいはい」と言ったように手を振って馬に跨った。しかし、その背中には哀愁が漂っているのであった。


 都からの軍勢は磐井の国へと押しせまる。逃げ惑う人々を無視して、物部麁鹿火は叫ぶ。

「筑紫君磐井はどこにおるのだ! 探せ! 探せえええええい!」


 探せど探せど見つからない磐井。近江は若干ではあるが安堵の顔を見せたようにも見える。

「磐井くん。どうか御無事で……」





 場所はとある山中。

 突然襲ってきた都の軍勢からどうにか逃れた磐井がそこにいた。

「都の奴らなに考えとうと? 俺たちなんもしてないけんね。なんか腹立って来た。俺は将来この国を百万以上の人々が住まう都にしてやるばってん、今に見てろよ」

 磐井は都軍から逃れながらもお気に入りの一冊は死守していた。

「男ならやっぱこればい! うおおおおおおおおおおおおお!」

 山中を劈くような雄叫びとともに磐井は、いや、筑紫君磐井は誰にも看取られる事なく絶命した。


 絶頂の最中であった。


 知ってる人は知ってる感じの磐井の乱とか磐井の反乱とかって言う本当にあったのか無かったのかも分からないお話です。日本書紀ではわりと詳しく書いてあるようですが、古事記では詳しくは書いてありません。

 こんな事はどうでもいい。これ、コメディか? いつも思う。 作者のギャグセンスの無さ……うぅぅぅぅぅぅぅ。

 新羅の賄賂はエ〇本とかじゃなくて、鉄とかそんな感じのものだったっらしいです。

※この作品はかなり脚色されてますのでテストには使えませんよ! てか、磐井の乱とかテストに出ないよな。

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