卑弥呼さま(卑弥呼様よりもその弟がメインになってしまった)
「もうね。私嫌だわ。政治ってなんなのよ。マジ意味わかんないし」
「いや、しかし卑弥呼様。あなたが政治を……」
「うるちゃい! 弟の分際でお姉ちゃんに楯突く気? てゆーか様とかつけないでよね。堅苦しいの嫌いなのよ。私は。ホントめんどくさいからあんたが政治とかやっててよ」
いやいやいや。国を治めてるのはアンタだから馬鹿姉が! 私の苦労を知って欲しいわ!
「そう申されてましても、卑弥呼様」
「様はつけない!」
この出不精女が。馬鹿姉が一応。本当に一応な! 国を治める立場の人間のくせに……
「てゆーかお父様がいけないのよ。黄泉の国から逃げ帰って左目を洗ったら私が生まれた? マジで意味わかんないんだけど」
「卑弥……姉さんは左目とかだから良いですよ。私なんか鼻ですから! 鼻ですよ? 脂ぎって角栓まみれの鼻とか、鼻くそとかこびり付いてそうな。そんな鼻とか言い出すんですから!」
と、言うのも、にわかに信じがたい話では御座いますが父上曰く、母上を取り戻しに黄泉の国へ行ったら逆に追い返されたそうなのですよ。脳みそお花畑な父親を持つと大変で御座います。馬鹿姉のお世話の方が大変ですが……と言いますか、私、母上に会いたいのです。嗚呼、母上。貴女は今何処にいるのですか……
「てか、父様に海の方任されてるんじゃないの? どうして至高なる私の……なんだっけ……たかあまがはら? だったかしら。ここは私が任されてるのよ。まさか乗っ取りに来たわけじゃないでしょうね?」
「私はただ、海の高波とか魚とか苦手なもので、海の支配権を破棄したいと思いまして……」
本当に私には海は無理です。だって泳げないんだもの。テヘ
「ふぅん。まぁ好きにすれば良いわ。私に迷惑は掛けないでよね! 分かってる?」
「もちろんで御座います。では、私はこれにて」
ヒャッホーイ! これで陸地に居座れるわけですね! 心が躍ります。ここは口調を変えましょう。私だって姉さんと同じ血を引いてるんだ。堅苦しいのは嫌いなのさ! さぁさぁ! 自由を満喫するぜ!
「お! あんな所に真新しい犬の糞があるじゃないか……フフフフフ。奥義! う〇こ爆弾!」
私は、いや、口調を変えなければ。俺は夢だった最高の遊びをこれから実行致し……実行するぜ! この真新しい犬の糞に爆竹をセェェェェェッと! 導火線に着火!
「もうワクワクが止まりません。否! 止まらないぜ!」
さぁ、既に導火線は爆竹付近に……そして、弾けるような音と共に散乱される犬の糞糞糞! くっさ! めっさくっさ!
「キャー! これは何の音ですの? え、この飛来してくる数々の茶色い物体は……臭い! 臭い臭い臭い! 誰ですの? こんな事を……く……犯人捜しの前に体を清めなければ……この神聖なる高天原を汚すなんて、とんだ蛮族が入り込んだようですわね。卑弥呼様に報告しなくては」
ぬふっふふ。やばいです。これ面白すぎます。否、面白すぎるぜ!
「さて、お次は……あれはッ! 綺麗に咲いた花々に、十分に実った野菜ではないか!」
これも私の……否、夢が実現出来そうだ。名づけて……
「フライングガーデニングアターック! 爽快だ! 爽快すぎます。否! 爽快すぎるぜ!」
「――と言う次第で御座います。卑弥呼様」
「え、マジで? 普段は大人しいと思ってたのにあの弟……怖すぎるだろ。女官よ。私はこれから例の秘密基地に籠る。自体が収束するまでは決して出ないからな!」
私は姉さまの行動を知った。いささかやりすぎた感も否めないのですが、姉さまはああ見えて太陽を司る身。まずい。非常事態だ。どうしよう。いや、本当にどうしよう……そうだ! 私に名案が浮かんだ瞬間です。
「マジで弟が怖いんだけど。一生引き籠ってやる。引き籠りは私の専売特許さね! 世界に昼が来ない? そんなもん知らん!」
姉様を秘密基地から引き出す為の妙案が浮かびました。それは――秘密基地の前で大宴会を開くこと。基本的に楽しいことが好きな姉様は絶対に出てくるハズ……!
「さぁ皆の者! 歌え! 踊れ! 馬鹿騒ぎをしようではないか!」
もうハチャメチャな宴会が姉様の秘密基地の前で行われる。さぁ、出てくるが良い姉様。
「むむむ……なんだか外が騒がしいの。ちと様子でも見てみるか――おおおおおおおおお! これは楽しそうだ! 私も……私も参加したあああああああい!」
私の目論見通り、姉様は秘密基地より出て参りました。
「今だ! 皆の者! 卑弥呼様を秘密基地より引っ張り出せえええええい!」
という事で、無事姉様を秘密基地より奪回しましたが、私はと言うと、悪戯が過ぎたようでして……あとは御想像にお任せ致します。てか、ホント、悪戯はやりすぎるものじゃないですよ。私は今でもとある田舎に幽閉中でございます。
以上!
このお話はご存知、卑弥呼様のお話。卑弥呼=天照大神説を採用しています。弟君はスサノオさんです。史実をかなり改変してるのでお勉強には使えませんよ!
※ここ重要
歴史家さんが読むと憤慨されそうですが、まぁ、作者の暴走が招いた作品として見て頂けると幸いです。
後悔はしてない