表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STEP!!  作者: 海原羅絃
第三章 文化祭でSTEP!!
32/40

第十一話 「いずれ分かるさ」

 文化祭二日目の朝。学校へ行くと、昨日とどこか似たような空気が流れていた。

 緊張感というか、喧噪した空気というか……とにかく、昨日と似ているようで似ていない空気がそこら中から漂っていた。

 生徒玄関に掲げられた大きな看板は、昨日同様堂々とその姿を露わにし、聖城学園の文化祭の威厳さが見えているような気がする。

 朝の八時。まだ学校に来るには早すぎる時間だ。

 いつもならこの30分後についているが、俺にはシェフというよくわからない肩書を背負われているので、こうして一般生徒よりも早く学校へ来なければならない。

 仕込みのため。

 閑散としている中、俺は校舎の中へと入っていく。

 生徒の姿は見られるが、ほとんどが生徒会関係の人だろう。それか俺のようによくわからない肩書を背負っている奴か……そんなことはどうでもいいか。

 ひとまず調理室へ行き、昨日使わなかった食材がどれほどあるのか確かめる。量次第で買う量が決まるからな。

 そんなことをしているうちに、三十分がすぎていた。

 時間的にみんな、教室にいるはずだ。朝の仕事は大まかにしか言っていないから、俺が行かなければ始まらないのだ。

 必要最低限の材料を袋に詰め、俺は調理室を出ていった。

 調理室がある特別教室棟にはまだ誰もいない。まあ二日目だから特に準備をするクラスはないだろう。

 今日の日程は、午前中一般公開のほうに手をかけ、お昼ごろには午後から始まる『女装コンテスト』の打ち合わせを行う。

 正直、一般公開のほうには身が入らないと思っている。

 何せ一般客までもが来場する企画だ。ただでさえ、全校生徒がいる中でも緊張するっていうのに……

 そんなことを考えながら歩いていたら……

 「おっと」

 「っ!?」

 曲がり角で誰かとぶつかりそうになった。

 反応が良かったのか、寸前でかわすことができてよかった。 

 「すいません。急に角から……」

 硬直した。

 「いや、私のほうこそ……って、君か」

 「あ、はい」

 桐原美里であった。

 よりにもよって……こんなときにだ。

 企画が始まるまであと6時間は悠に切っている。

 それなのに、喧嘩を売買した相手を鉢合わせって……

 修羅場かよ。

 「あの、大丈夫ですか?」

 とりあえずだが、ぶつかりそうになった相手なので謝らなくてはならない。

 「ああ、大丈夫だ」

 何ともないようで逆に良かった。

 これでけがなんてしていたら、俺は今頃……

 そう考えるだけで冷や汗をかいた。

 「で」

 「え?」

 「君は今こんなところで何をしているんだ?」

 何をしているんだって聞かれても……

 「普通に調理室から材料を取りに来ただけですよ」

 「材料?」

 「クラスの出し物ですよ。俺たちのクラスは喫茶店やっているので、そのメニューの材料を取りに来たのですよ」

 「まさかだとおもうが、料理は……」

 「あ、そのまさかですね」

 まさかで悪かったな。

 桐原美里は相当驚いているようで……

 「あなたこそ、ここで何をしたんですか?」

 「今打ち合わせが終わったから教室へ戻ろうとしたら、マネージャーに呼ばれたんでな。生徒玄関へ行こうとしていたところなんだ」

 この人もこの人でかなり多忙なんだな。

 「それなら忙しいところ失礼しました」

 「別にかまわないぞ」

 「そ、そうですか」

 先入観だったのか。

 このひと、意外と話しやすいんだな。

 始業式のことといい、この前の生徒会室のこともそうだ。

 話しにくいし、友達ももしかしたらいないんじゃないかと、燐たちと話していた記憶がある。

 それでも、実際に話してみればいけるじゃないか。

 今だってこうして面と向かって話しているわけだ。

 意外と、燐たちとも素直になれば……

 いや、まず無理だな。

 あいつらの場合、意固地になっているからな。

 「本当に『女装コンテスト』に出るのか?」

 「生徒会室でああなってしまえば、止むを得ませんよ」

 「まあ、私も君が出てくれればそれで助かるんだがな」

 「どういうことですか?」

 「いずれ分かるさ」

 何のことを話しているのかさっぱりわからない俺を置き去りにし、桐原美里は階段を上って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ