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STEP!!  作者: 海原羅絃
第三章 文化祭でSTEP!!
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第七話 『がち?』

最近忙しい……

 「さて……」

 「まさか」

 「こんなことになるとは思いませんでしたね」

 その日の放課後。

 燐、雨宮は俺んちに来ていた。

 とりあえず今後の対策を練ろうということで、俺んちが抜粋されたのだ。

 あれから、俺の頭の中は今後の『女装コンテスト』のことでいっぱいだった。あの時桐原美里の言葉が単なる挑発だったとしても、この状況になることは間違いなかっただろう。

 「燿平君があんなこと言うなんて、思ってもいなかったわ」

 「悪いな。あんなことで」

 お前らのために言ってやったのに……少しは感謝してほしい。

 「でも、これで燿平さんが参加してくださることになりましたので、難関はクリアしましたね」

 「あとは、当日に着る衣装をどうするかね」

 そうだった。

 衣装だ。あれを着なきゃ何もできないんだったよな……

 「なあ、衣装って俺が決めちゃ」

 『だめです』

 ですよね……

 「私たち、あるいは耀里さんのを着てもらうわ。選ぶの私たちだから、文句は一切受け付けないわ」

 「それは結構ハードですね」

 「大丈夫ですわ。私たちが練りに練った結果、組み合わせは50とおりはありますわ」

 それは練りすぎじゃないか……

 そんなことか、燐と雨宮はさっそく俺に衣装の寸法決めに取り掛かった。

 その間、俺は喫茶店のこともあるのでそちらの作業に徹することにした。

 今考えてみれば、大胆なこと言ったよな。自分から『女装コンテスト』なんて出ないって言っていたのに、結局は出ることに。光と由見が聞いたら絶対驚くな。

 そういや、桐原の奴はだれをモデルにして企画に参加するんだ? 俺を出し抜こうとしたくけれど、それなりの人はいると思うんだが。

 まああの人なら、人なんて関係なくコーデするから大丈夫か。

 文化祭まであと一週間。

 クラスの催しも着々と進んでいるし、料理のほうもあとは当日買う数量を把握して買い出し組にお願いすればいいから……

 そして、急きょ参戦することになった『女装コンテスト』

 今回の文化祭での目玉企画なのかどうかはわからないが、あの桐原美里と燐、雨宮が参加してくるほどだから、人数も半端ではないはずだ。

 人がいっぱいになる体育館を想像する。

 「うっ……」

 「えっ!? 急にどうしたの?」

 「いや、ちょっと想像しちゃいけないものを想像してしまった……」

 「相変わらず変な子ね……」

 心配するか、けなすか。どちらかにしてほしい。

 変な子で悪かったな。

 ……。

 とりあえず、当日は失神しないと祈っておこう。

 「ただいまー」

 すると、姉ちゃんが帰ってきた。

 「はぁー。今日も疲れたよ……燿君、なんか食べ物ある……て、あら」

 「お邪魔しています。耀里さん」

 「お邪魔しています」

 「あら、燐に華蓮じゃない! きょうはどうしたの……って、ああ。あれね」

 「その白々しい目はなんだよ」

 「なんでもー」

 鞄をすぐそこらへんに放り投げ、姉ちゃんはすぐさま冷蔵庫から缶ビールを取り出しては、一人でお疲れ様の晩酌をし始めた。相変わらず呑気な姉だ。

 「帰ってきてからすぐビールかよ」

 「いいじゃない。仕事終わりのご褒美として」

 「ってか、飯まだなんだけれど大丈夫?」

 「うーん。マネージャーさんからお菓子とかもらってきたから大丈夫かも?」

 疑問形かよ。

 「まだ『女装コンテスト』のモデル決まらないの?」

 すぐ横の部屋で服の採寸をしている燐たちに、声をかける。

 「モデル。俺になったよ」

 「あ、燿君がモデルね。へぇー、それはそれは……」

 「……」

 「ガチ?」

 「嘘もあるかよ!!」

 「どうしたの急に。どこか具合悪いところでもあるの? ねえ? お姉ちゃんが病院連れていくから」

 こりゃガチで心配しているようだ。

 しかも具合悪いのとか言って、俺の頭を何回も触るのはやめてくれ。

 「大丈夫だって」

 「……で、急にどうしたの?」

 「どうしたのって言われても……」

 どこから説明すればいいのやら。

 「燿平君。生徒会室の椅子蹴っ飛ばして、女装コンテスト出るって宣言したらしいですよー」

 「おいっ!」

 余計なこと言いやがって。

 「えっ、本当なの?」

 「いや、まあうん」

 「大胆ね……」

 「その目は何!?」

 「なんでもなーい」と上機嫌で姉ちゃんは隣の部屋に入っていった。

 気を取り直して、俺は作業に戻ることにした。

 メニューは一通りきめてある。

 買い出しのほうも、こうとかに任せればいいから……

 「燿平君、ちょっといい?」

 「あ?」

 隣の部屋から、燐が俺を呼んでいた。

 「なんだよ」

 「これどうかな?」

 見せられたのは、青色のワンピースだ。

 一見、爽やかそうな雰囲気を醸し出しているけれど、誰が来ても露出度が高い服だ。街中で来ていられるような服じゃない。

 「これ着るの?」

 「候補に入れているだけよ。ほかにも組み合わせはあるから、好きなのを選んでいいわよ」

 選んでもいいよと言われてもねえ……

 床一面に埋まる服。

 デニムのパンツや、丈が短いシャツ。キャミソールなど幅広い服が出そろっている。

 この中から着てほしいと言われれば、迷うはずだ。

 女の子の場合だが。 

 普通に考えて、今回は『女装コンテスト』で着るものを選んでいるわけだ。

 なのに、どれも男が着てもハードすぎる服しかないってどういうことだ?

 いや、女の子が来てもハードなものもあるけれど。

 「どうしたの?」

 「いや、どれも俺にはハードルが高いかなと……」

 「そうでしょうか? 燿平さんなら着こなせるものがあると思うんですが」

 そういってくれるとありがたんだけれど、どうにも一着だけ妙なものが混じっている気がするんだよね……

 「燐、それ何?」

 「ゴスロリよ」

 「……え?」

 「ゴスロリよ」

 あれは着なくてもいいっていう方向でいいのかな?

 「とりあえず、順番に着てみてくれる? サイズも一緒にはかりたいし」

 「え、これ全部着るの?」

 「あたりまえじゃない。目測で決めてもらうなんて、三百年早いわ」

 おいおい、そうすると俺ら生きていねえぞ。

 「とりあえず、これから着て」

 渡されたのは、黄色のワンピース。

 しょっぱなからハードルが高くないですか?

 何の前触れもなしにいきなりワンピース……さすが神崎さん。策士だなー。

 「雑念はいいから、早く着てくれるかな? のこり10着くらいあるから」

 「多くね!?」

 「今日中に衣装のほうは決めておきたいのよ。私たちだって、暇じゃないんだから」

 それは見ていればわかりますよ。

 ほかの服を見てみると、ショーパンにフリルのワンピ。どれもこれも普通の女子ならほしがる服ばかり揃っている。

 ……着なきゃ始まらないよな。

 しかしいいのか? 俺が女子の服なんて着ていいのか?

 聞いたところ、これは雨宮の服だそうだ。

 こんなの俺が着たら破けない? 破けて弁償でお小遣いパァーとかそれだけはまじで勘弁!!

 「何やっているのよ……」

 「スンマセン」

 以下、地獄を10回ほど体験した俺だった。


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