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STEP!!  作者: 海原羅絃
第三章 文化祭でSTEP!!
22/40

第一話 「番組の宣伝?」

お久しぶりです。本日から第三章が開始いたします。

実際、書き上げるのに一番苦労した章ですが、はっきり言って中身のほうは相変わらず低レベルですwwwwwwww

 桐原グループ。

 いや、正確には『KIRIHARA』と表したほうがいいのか。こっちのほうが、一般人になじみのある名前かもしれない。

 大手ファッショングループ。それが『KIRIHARA』だ。

 どうして、いきなりこんな会社の名前を出すのかというと、理由は二つある。

 一つ目は、そのグループの社長の御令嬢が聖城学園に通っていること。実際に見たことはないが、意外と学校内ではその名は計り知れているようで、燐のようなアイドル的存在でもある。

 もう一つは、文化祭で行われる『女装コンテスト』にその御令嬢が参加する。

 参加するという言葉には、今まで文化祭という一大イベントに興味を持っていなく参加しなかったかのように聞こえる。

 が、巷の噂によれば彼女は今年で三年生。

 一年生と二年生の時は仕事があまりにも忙しく、まともに文化祭の準備にまで参加できないほどだったらしい。

 まあだからなんだという結論に至るわけだが……

 桐原美里。それが彼女の名だ。

 弱冠18歳にして、よく分からないコーディネイトの賞をもらったり数々のブランドのデザインを手掛けているそうで……

 何故その彼女の話題になっているのかというとだな。

 「番組の宣伝?」

 「まあ、よく言えばそうね」

 ある日の放課後。

 俺は燐、雨宮を引き連れておなじみの喫茶店へ立ち寄っていた。

 二人をこの喫茶店に連れてくるのは初めてわけで、周りにいるお客さんにはものすごい視線が突き付けられた。

 それが、俺に対してなのか二人に対してなのかは、あえて探らないことにしよう。

 見覚えのあるウェイトレスさんにも、「両手に花ですね!!」なんて言われた。

 それでも、真面に話すことのできる女子だからよかったけど。

 初対面の相手なら、体中震えて逃げ出していたかもしれない。

 そんな中、俺らは飲み物を交えながら談笑をしていた。

 「じゃあ悪く言えば?」

 「使い回し……じゃないかしら?」

 コーラの入ったグラスを片手に、燐が優雅にふるまった。

 さすがの売れっ子アイドルといったところか、黒髪ロングをまとい一目見てしまえば意中の人になってしまう……のが典型的なパターンだろ? 俺はそんな妖術には引っかからない。だから目を覚ませ、周りの猛者どもよ。と、周囲の客に心の中でそう訴えかけた。

 「番組でも行われる『女装コンテスト』の宣伝の為、それと同様に『KIRIHARA』の宣伝のため。その番組に関与する二社がダブル宣伝することで、いい効果になると?」

 今、俺たちの間で話題が沸騰しているのは近々行われる文化祭の催しについてだ。

 別に、俺が罰ゲームでクラスの催しを考えて来いなんて言われていない。そんなことされたら一発で光に押し付けるからな。

 「簡単に言えば、そうなるわ。どちらにとっても不利益になることはないし、片方が反響してくれるだけでもOKなのよ」

 「業界って恐ろしいな……」

 「本来でしたら、私の家の系列グループの会社が受け持つ予定でしたが、あちらの方が先決だったようですね」

 燐の隣に座る女性は、雨宮華蓮。燐と同じ事務所に所属し、同じく売れっ子アイドル。豊満な胸に、燐とは負けず劣らずの容姿。よく考えれば、俺はアイドル二人とお茶しているのか。どうりであんな目で見られるわけだ。

 彼女の家は、雨宮グループと言って桐原美里と同じように、財閥の御令嬢なのだ。

 「あの桐原美里が前に出てしまえば、しょうがないけれどね」

 「業界の方でも有名だけれど学校でも違う意味で有名だぞ?」

 「あら、そうですの?」

 「そういえば、お前らは知らないのか。彼女の事」

 「そこらへんの男を漁り、むしり取っては罵り嬲りの繰り返し。星の数ほど男はいるものね」

 「星の数ほど女がいるみたいなこというなよ!」

 こいつの饒舌さにはあきれるのか、すごいと感心するのか……

 「でも、燐が言っているようなことだけれど、学校じゃ、しもべを作っては自分のやりたい放題やっては先生に迷惑をかける。自分から表舞台に出たいのか、またはそうじゃないのかよくわからない人なんだよな。って、久坂先輩が言っていた」

 見た目はなかなかいいんだが、性格が……ちょっとあれらしい。

 三年生だからあまり見ないけれど、相当な女王様キャラらしいな……

 「自分より権力が上の人にはいいように煽てあげ、自分より弱い者には嬲り殺す。殺したいようで殺したくないキャラね」

 「お前はさっきからその似合わない発言は、何とかならないのか?」

 「神崎さんの言うとおり、そういう人のようですね。始業式でのあの言葉を聞く限りでは」

 「正直、あの言葉を言われたらステージ上で暴れるしかなかったわ」

 「暴れるなよ……」

 「とにかく、私たちは売られた喧嘩を買わなければいけないようですね」

 こいつら……やる気スイッチが全開のようだけれど、暴走とかしないよね? 俺に危害とか加わえたりとかしないよね?

 「とにかく、わたしたちでやるしかないようね」

 自信ありげの表情をする燐に、

 「そうですわね、アイドルの本気というのを見せてあげましょう」

 何故かワイシャツの裾をまくりあげる雨宮。

 そして、俺に視線が集まっているんですが何故に?

 「燿平君、がんばるわよ」

 「そうですわ。燿平さん。頑張りますわよ」

 「え? え?」

 ちょっと待って? 一体何を話しているの? 話の筋から、まるで俺が参加するみたいになっていない?

 「何? その顔は?」

 「俺、参加する前提なの?」

 「始業式の話を聞く限り、そういう話よ?」

 「もしかして、燿平さん寝てらっしゃいましたか?」

 「いや、寝てはいないけれど……」

 まずい。さすがにこの状況はまずいぞ。

 始業式……これといってピンとくることがない。

 何があった……始業式に何があった?

 「その様子なら……」

 「無理もありませんね」

 「待て!? ちゃんと思い出すから!!」

 とりあえず回想シーン。

 スタート!!





□ □ □





 聖城学園の文化祭は、二日間にわたって行われる。

 どの学校の文化祭も、各クラスで出し物をしたり、体育館でイベントをやったり、兎に角派手なことをしまくるお祭りだ。もっとも、違う意味で派手なことを起こせばその人の未来は永劫、闇に閉ざされることになるが……

 そんなわけで、夏休みも特に事故もなく病気にかからず平和に過ごすことに成功した俺に、文化祭というイベントが待ち受けていた。

 文化祭自体、嫌いではない。でも、好きでもない。

 見ての通り、目つきは悪い。見た目から近寄りがたい。話しかければ噛みつかれるんじゃないかと囁かれているくらい、俺の印象は底辺にある。

 夏休みの余韻に浸る中で、ほとんどの生徒は文化祭の話題へとシフトしていた。

 いや、文化祭だけではないな。

 二学期初日。始業式にて。

 この日は朝から灼熱地獄だった。団扇では荷が重いほど、気温は高く。ゆでだこにされているような気分だった。

 そんなクソ暑い中、文化祭実行委員長の佐野内鉄平という人が壇上に上がり、文化祭についての説明をしていた。

 まあ聞いてはいたけれど、筒抜けっていう感じだ。今更何を言っていたのか覚えていない。

 だけれど、彼の最後の言葉だけは鮮明に覚えていた。

 「えー、つきましては。今年の生徒会企画である『女装コンテスト』をプロデュースしていただく方をご紹介させていただきます」

 「……」

 突っ込みたい部分があったが、暑さでどうにもならない。

 そして、実行委員長の呼びかけで壇上に舞い上がったのは……

 燐と雨宮、そして桐原美里だった。

 燐がなぜそこにいるのか。分からないようで分からなくもないけれど、雨宮に対しては突っ込みどころ満載だ。来る学校間違えてねえか?

 桐原美里に至っては……威厳ある姿としか形容するしかない。

 芸能事務所『ティーンズ』の人気上位を占めるアイドルが、こんな所に二人そろい尚且つ、色々な意味で有名の桐原美里が壇上にいる。珍しい画にしか見えない。

 『うおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 そして一瞬にしてライブ会場に化けたかのように起きる歓声。

 この歓声は壇上の三人に向けているモノなのか、それとも……

 地鳴りを起こすと言わんばかりの歓声が収まるのに、10分はかかった。

 「こちらの二人は、みなさんがご存じのとおり。今有名なアイドルの神崎燐さんと雨宮華蓮さんです。お二方には今回の企画のプロデュースしてもらいます」

 再び歓声が沸き起こる。

 二人は何もしゃべっていないのに、お前らは何に反応しているんだよ。

 「そして、今回この文化祭で『女装コンテスト』を立案してくださった、桐原美里さんです」

 歓声は……起きなかった。

 消去法を使えば、さきほどの歓声は無論、燐と雨宮に向けたものとしか考えられない。

 文化祭実行委員長の紹介を承りながらも、歓声どころか拍手ひとつないという状況になると……

 彼女のプライドが傷つくだろう。

 しかし、当の本人は微動だにせず表情もゆるぎないまま、どこか一点を見つめていた。

 「……プ、プロデュースといっても、お二方はゲストのような形で参加させていただきます。当日には彼女たち自身が、モデルとなる人を選んで特別ゲストという形で参加していただきます。1チーム何人でも編成しても構いませんが、ステージに上がることができるのは1名だけです。女子がコーデするのもありです。参加したい方たちは、ぜひ生徒会室まで来てください」

 文化祭実行委員長がうまいように誤魔化したが、あまり効果は見られなかった。

 彼女、桐原美里はその威厳ある姿だけではなく、名前さえも周囲の人の反応を黙殺している。

 そして。

 彼女は動き出した。

 誰もがこの光景に目をやったはずだ。

 あの桐原美里が動き出したのだと。

 「生徒諸君。今回の文化祭の最大イベントである、『女装コンテスト』は多くの生徒に面白味と内側の自分をさらけ出してほしいという願いから考えた。もちろん、ファッションにも興味を持ってほしいという願望も、少なからずある。大手ファッションメイカー『KIRIHARA』の力があれば、『女装コンテスト』どころか、文化祭全体を盛り上げることだってできる。みんな、奮って参加してほしい」

 「……」

 ……。

 熱弁と共にやってきた熱気のせいか、少しふらついた。

 そのせいかもしれない。

 「うわあああああああああああああああああああああ!!」

 さっきと同じような歓声が再び轟音と共に姿を現した。

 ノリなのか、本心なのか。俺にはとてもじゃないけれど、理解できない状況だった。

 「そして……」

 まだ何かあるのかよ。

 「私の隣に立たれている二人、彼女たちは今や日本中を代表するアイドル。彼女たちも私と一緒にこの企画に参加し、彼女らと競い合う身になるが……」

 静寂が、体育館全体を包み込む。

 けれど、俺にとって今この時間がとても息苦しかったのだ。

 「私が負けるなんて言うことは、毛頭ないので生徒たちもそれだけは理解してほしい」

 それだけで、壇上に立っている二人の眉間にしわが少し寄ったのを見た俺は、眼を瞑りたかった。

 先ほどの静寂とは全く反対に、今度はざわめきが生じた。

 「あ……では、これで『女装コンテスト』の説明は以上です」

 生徒がざわめく中、実行委員長は『女装コンテスト』の説明を強引に終え、3人と一緒に壇上から降りて行った。

 文化祭にアイドル二人に準備もハブられる俺に、生徒会企画の『女装コンテスト』に、桐原美里……か。

 何だろう。ものすごく嫌な予感しかしない。

 更に暑さで意識が朦朧とする中、壇上に立っていた燐と雨宮の笑う顔が脳裏に浮かんだのは、ここだけの話にしておこう。 

 ……そういえば、雨宮はなんでここにいるの?

 もう、俺の頭の中は疑問と恐怖でお腹がいっぱいだった。


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