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9/12

堕落

 俺達――――勇者一行はシュベリアから明日、同盟国であるワーグナー共和国に向けて出発することが正式に決まった。

 ようやくかという気持ちと、シュベリアという雪国に慣れてきたことからの若干の名残惜しさ。

 それらが交錯しつつも、やはり俺は行かなくてはならない。

 契約を果たすために。

 契約は守られねばならないのだ。


『その通りじゃ。契約は果たされねばならぬ。……必ずな』


 自嘲気味なエルの声。

 俺とメフィストフェレスが結んだ契約に従い、いずれは人間に――――俺の肉体に押し込められるであろう未来に諦観しているのかもしれない。

 俺が初めてエルの――――この肉体に入ってから以降、エルは一度もこの肉体の所有権を要求したりはしなかった。

 身体の主導権を握っているのは俺だが、エルだって握ろうとすればできるはずである。

 例えば、俺が眠っている時。

 悪魔は本来、睡眠を必要としない。

 だが、俺は人間だった頃の感覚に縛られ、未だに睡眠をとっている。

 エルにとってはこれ以上ないチャンスだが、身体を奪われたような気配や違和感は微塵もなかった。

 悪魔にも――――いや、悪魔であるからこそ犯してはならない領分があるのかもしれない。


 何故なら悪魔とは、強大無比な力の代償に悪魔であることに縛られた存在なのだから――――









 真夜中。

 俺は一つの屋敷に侵入しようといた。

 どことなく、和のテイストが加えられた大きな屋敷。

 いつかの前任勇者の影響かもしれない。

 そこに住むユーシェリオ・ヴィ・アモーリア――――エミリアの親類にして公爵家が長男。

 美しい魂を持つ人間。

 シュベリアにおける俺の心残りだった。


「…………」


 音もなく門を飛び越え、魔術で空気を足場に変え、宙を駆け抜ける。

 二階の一番奥、右側の部屋。

 部屋の場所はエミリアに教えてもらっていた。

 俺がユーシェリオに会いに行くと伝えると、興奮交じりに喜んで教えてくれたのだ。

 逢引に行くと思ったのだろう。

 そして、それはそう間違ったものでもない。


 窓越しに部屋の中をのぞくと、ユーシェリオは枕元の魔力式ランプを灯しながら、ベッドの上で本を読んでいた。

 寝ているだろうと思っていたので、少し驚いたが、これはこれで悪くない展開だ。


――――コンコン。

 

 俺は軽く窓を叩く。


「えっ?」


 突然聞こえた音にビクッとユーシェリオの肩が震え、こちらを見て、さらに驚く。


「ゆ、勇者様!?」


 慌てたようにユーシェリオは窓に寄ってくる。


「こんな時間に悪い」


「い、いえっ! ど、どうしてっ! い、いや! とにかく中へどうぞ!!」


 窓を全開にして、ユーシェリオは俺を迎え入れる。

 それ程窓は大きくないが、昔ならともかく今の俺なら簡単に潜り抜けることができた。


「ふぅ……」


 シュベリアの外は寒い。

 俺が寒がる風を装うと、ユーシェリオは部屋を飛び出し、毛布と現代で言うココアのような苦みと甘みの同居した飲み物を用意してくれた。


「ありがとう」


 ユーシェリオに微笑んで告げる。

 カァーとユーシェリオの頬が紅くなり、顔を逸らす。


「…………」


 部屋を見渡す。

 外観と同じく、やはり内装も和洋折衷となっている。

 ベッドが置いてあるのは洋室だが、その奥に障子で区切られた畳の小部屋が見える。


「えっと……」


 ユーシェリオは戸惑っていた。

 自分の部屋だというのに、所在なさげに視線を彷徨わせる。


「綺麗な髪だな……」


 夜闇にも関わらず、光り輝いていると錯覚するほどの美しい金髪。

 少女めいたユーシェリオの相貌も相まって、人形のようだった。


「――――っ!?」


 緊張でユーシェリオはガチガチに緊張していた。

 俺のような美少女に言い寄られているのだから、それも無理からぬことだろう。

 陶器めいた頬に手を伸ばす。


「ゆ、勇者様っ……お、おやめくださいっ……」


 悲鳴を無視し、そこを輪郭を確かめるようになぞった。

 目を白黒とさせるユーシェリオ。

 俺はさらに距離を詰める。

 身体をピタリと寄せると、わずかに身長の高いユーシェリオの吐息をオデコに感じた。


「ユーシェも触っていいんだぞ?」


「!!??」


 小さく囁いた声は正しくユーシェリオに届いていた。


「あ……ああ……」


 予想していたことではあるが、ユーシェリオは彫刻の如く動かない。

 だが、その気がまったくない訳でもなさそうだ。

 その証拠に、手が虚空を漂っている。

 ほらほらっ……俺に触れたいんだろ?


「ふふふ……」


 意識して、妖艶に微笑む。

 宙を彷徨う手を掴み、胸に誘導する。


「ひっ?!!」


 胸に手の平の体温を感じる。

 エミリアや他の女にように、決して豊満ではないが、まったくない訳でもない。


「んっ!」


 ピクッと刺激が走り、俺は僅かに吐息を漏らす。

 ユーシェリオは何かを恐れるように目をぎゅっと瞑りながらも、俺の胸を揉んでいた。

 俺は背伸びして、ユーシェリオの耳元に口を寄せる。


「…………私の胸、どうだ?」


「や、柔らかいですっ!」

 

 そう言いながら、ぎゅっと俺の胸を握りしめる。


「痛い」


「ご、ごめんなさいっ!」


「もっと優しく……な?」


「は、はい……」


 いつの間にか、ユーシェリオは俺の言うままに胸を揉んでいた。

 鼻息が少し荒い。

 ピッタリとくっついた俺のお腹には、エミリアが興奮している証が主張している。

 ユーシェリオの表情は欲情と罪悪感と躊躇。

 いくつもの矛盾した感情で素敵な事になっていた。

 よっし! あと一押し――――


「ベッド行こうか?」


「――――――――」


 それが何を意味しているか、ユーシェリオに分からぬはずがない。

 貴族の長男として、家を守っていく者として生まれたのだからなおさらである。

 それがどういう意味なのか、ユーシェリオはよく分かっていて――――コクリと頷く。


「そっかぁ♪」


 頷いた瞬間、俺はユーシェリオをベッドに投げ飛ばす。


「うわああああっ!」


――――ドスン!


 寸分たがわずベッドの上に着地したユーシェリオ。

 俺はすかさずマウントポジションをとった。

 上から見下ろす俺を見上げ、ユーシェリオがゴクリと喉を鳴らす。

 俺が身に着けていたのははパジャマ変わりの黒のロングキャミソール。

 その下には下着だけだ。

 今もただでさえ丈の短いキャミソールの裾が捲れ上がり、白のショーツがチラチラと覗いている。

 ユーシェリオは顔を真っ赤にして、ショーツを見ないように視線を動かすものの、やっぱりそこを見てしまう。

 そういう初心な所を俺は可愛らしく思う。


「見たい?」


「…………うぅ」


 俺の問いかけに、ユーシェリオは答えない。

 身体は何よりも雄弁に答えているのに、心は答えない。

 流されやすいように見えて、そうではない。

 だって俺は今、悪魔としての力を一つ解放していた。


 それは――――色欲の力。


 得手不得手はあるものの、悪魔が最も得意とするのは感情のコントロールだ。

 色欲もその一つ。

 この部屋に入った瞬間から、俺の全身からは異性に限らず同性すら問答無用で発情させるフェロモンが発せられている。

 その俺に対し、理性を失って飛びかかってこないだけでも、ものすごい自制心である。

 さすがは聖者の魂。

 それでこそ、穢しがいがあるというもの。

 これまでの事で分かったが、聖者と言えども人間。

 色欲のフェロモンがまったく効果を成していない訳ではない。

 少なくとも、興奮を促し、思考を鈍らせるぐらいの事はできていた。

 

――――俺は数時間前にエルと交わした言葉を思い出す。







『ユーシェリオ……あやつに会いにいくのじゃな?』


 風呂で身体を念入りに洗った後に、エルが唐突にそう切り出し、さすがの俺も面食らう。


「なんでって……それは愚問か」


 俺とエルは一方的な一心同体。

 今のエルは俺の一部……いわば臓器のようなもの。

 

『お主はいつも例えが悪い』


「分かりやすいだろ?」


『まったく……だが、あの少年は悪魔初心者のお主にはちとキツイのではないか?』


 相手は正真正銘の聖人。

 聖なる魂を宿す者。

 悪魔として経験不足の俺には些か以上に手強い相手には違いない。

 だが、俺も勝算もなしに赴く訳ではない。


「私が女になっていたのが幸いしたな」


『…………まさか、誘惑でもするつもりか?』


「もちろん」


 恐れおののくようなエルの問いかけに、俺は即答する。

 またしても俺の適応力に驚愕しているようだ。


「本当に分かっておるのか?契るということじゃぞ?」


「分かってる」


『…………分かったこの件についてもう何も言わん。ただ――――』


「ん?」


『溺れるでないぞ?』


 その声は、妙に真剣だった。

 俺はまさか、と嘲笑う。


「冗談。溺れるのは向こうの方だ」


 誰も俺の心を歪められたりはしない。

 俺の心はすべて俺のものであり、他者に委ねたりはしない。

 エルが中にいる。

 その状況に俺が慣れを感じていても、いずれ追い出す。

 そう――――必ず。











 悪魔の女は最初から純潔ではない。

 生来の淫乱である。

 男がどうすれば堕ちるのか、本能で知っている。

 そこに男であった俺の知識が加われば、恐れるものなしだ!


「ユーシェ……見たい?」


 キャミソールの裾を両手で持って、ゆっくりと持ち上げていく。

 ショーツはもう丸見えになっていた。

 ユーシェリオの熱の籠った視線を感じる。

 お腹の辺りまで持ち上げて、一旦手を止める。


「ぁ……」


 思わずといった様子でユーシェリオが声を上げた。

 物足りなそうな表情。


「……見たい?」


「…………」


 返事はなし。

 仕方なく俺は持ち上げたキャミソールを離す。

 バサリと俺の肢体が再び隠れた。


「もう帰っちゃおうかな……」

 

 つまらなそうに言う。


「……うぅ」

 

 もう少し――――


「さよなら――――」


「待って!!」


 ガシッと俺の手を掴む手。


「待って……」


 ユーシェリオだった。

 もどかしそうな表情で俺を引き留める。

 かかった――――


「じゃあ……脱がせて?」


「え?」


「私の服……逃がせて?」


「あ……あ……はい……」


 無言は許さないと、冷たい視線で見下ろすと、蚊の鳴く様な声でユーシェリオは頷く。

 おずおずと、震える手で俺のキャミソールを掴み、脱がせる。

 俺が身に着けているのはもう、下着だけ。


「……下着も」


「…………」


 容赦なく要求すると、観念したのか無言で俺の下着に手をかける。


「……あ、あれ?」


 ブラジャーを外そうと俺の背中に手をかけて戸惑う。


「ご、ごめんなさい……外れません……」


「ん。いいよ」


 俺は後ろ手に手を回し、ホックを外す。

 ブラジャーをゆっくりと、ユーシェリオに見せつけるように外す。


「う……あ」


 ユーシェリオが俺の胸を凝視する。

 興奮を隠せず、目を見開いたその姿は、やはりユーシェリオが男であるという証だ。


「胸小さいけど……」


「そ、そんなっ!き、綺麗……です……」


「ありがと」


 ユーシェリオの上半身を引っ張りお越し、顔を胸に押し付ける。


「どう?」


「すごく……柔らかくて……スベスベで……いい匂いがします……」


 俺の肌を夢中で堪能するユーシェリオ。

 そこにさっきまでの躊躇はなかった。


「……じゃあ下も脱がせて?」


「……はい」


 体制を入れ替え、今度はユーシェリオが上になる。

 そのまま、荒い呼吸で俺のショーツの両端を握る。


「ぬ、脱がせます」


「……あ、ああ」


 金色のユーシェリオの視線に射抜かれてドキリとする。

 何故か羞恥で全身が真っ赤になった。

 己には何一つ恥じる部分などないというのに、初めての感情に困惑する。

 興奮したユーシェリオは俺のそんな様子を歯牙にもかけずに、スルリとショーツを引き抜いた。

 ユーシェリオは脱がせたショーツをどうしようか一瞬迷い、畳んでベッドの脇に置いた。

 俺の全裸がユーシェリオに晒されている。

 どうしていいのか急に分からなくなり、苦し紛れの言葉を俺は吐き出していた。


「ユ、ユーシェも脱げ――――」


 言い終わる前にガバリと覆いかぶされる。


「え、ちょ、待っ――――」


 この状態の男にそんな言葉が届くはずもない。

 全身を手が蠢き、舌で嬲られる。


「あ、やっ、ダメっ!」


 淫乱な悪魔は人間の数倍の快楽を得れるようにできている。

 全身が性感帯であるかのごとく、俺の身体は敏感に反応し、跳ね回った。

 え!? ちょっ!? これ、ヤバッ!


「待った! 待った! あ、ああっ」


「っ!!」


 ユーシェリオは先刻まで考えられない程の男らしさで服を脱ぎ捨てる。


「え……何それ……」


 そこに俺は見た。

 ユーシェリオの外見からは考えられぬ凶悪なブツを。


「それ……無理っ! そんなの入れられたらっ」


 ユーシェリオは俺の身体を押さえつけ、強引に――――


「うあっ」


「あああああああああああああああああっっっ!!!」


 ユーシェリオはその瞳のみならず全身に黄金の気配を纏わらせていた。

 優しげな瞳はキリリと鋭く、支配者の如く俺を見下ろしていた。

 その視線に俺は、思わずユーシェリオの首に手を伸ばして――――口づけをしていた。









『溺れるなと言ったのに……』


 呆れたようなエルの声。

 

「溺れてない」


 断じて違う!


「ふざけた事言うな……」


『いつもの威勢はどうした?言葉に力がないではないか』


「…………」


 無言を貫く。


「はぁ……。ところで、そろそろベッドから出たらどうじゃ?」


「……うるさい」


 朝、俺はユーシェリオの隣で寝ていた。

 契り――――契約は無事成功した。

 だが――――


「……これはどういう事だ?」


 ユーシェリオは左の脇腹辺りに契約の紋章が浮かび上がっている。

 それはいい。

 

「なんで私のお腹にまで……」


 想定外なのは、俺のお腹にまで契約の紋章が浮かび上がっていたことだ。


『お腹というか……子宮じゃな』


「子宮……」


 嫌な予感がした。

 艱難辛苦ばかりの俺の人生。

 その中でも最大級の嫌な予感。


『同時にお主も契約されたってことじゃろうな』


「契約……誰に……」


『そんなもの、そこの少年――――ユーシェに決まっておろう』


 決まっていると言われても、まったく理解できない。

 そのことに、文句を言う気力もない。


『契約ができるのは悪魔だけではない。聖人だってできる。何せ奴らは神の使徒じゃからな』


「……私は悪魔だぞ?」


『力が互角だったという事じゃろう。痛みわけじゃ。我は忠告したはずじゃぞ?』


「ふ、ふざけるなああああ!!」


 思わず大声が出る。

 ユーシェリオ如きと互角などと、到底受け入れらるはずがない。

 俺は凄い! 強い! 可愛い!

 最高の存在なのに……悪魔なのに……。


『まぁ、我と器を交換したのが運のつきだな。魔術の才だけなら、むしろお主の以前の肉体の方が優れておった』


「はああああああああ?」


 え?何それ?

 思考が追いつかない。

 あまりの衝撃に崩壊間近だ。


「自分で言うのもなんじゃが……我は悪魔の中では弱小じゃからな……」


 エルのその言葉で思い出す。

 悪魔召喚時に保険のつもりでエルの時にはそれほど魔力を注がなかった事。

 考えてみれば、当たり前の事だった。

 魔力が足りないから、弱い悪魔が出るのは普通の事なのだ。

 そもそも、天野由宇が何故悪魔を呼び出したのか――――

 それは正しく、天野由宇が魔術以外の何の才能も持たぬ凡人だったからだ。

 ゆえに、この成り行きは不思議でもなんでもない。

 おまけに、今はその突出していた魔術の才を見す見す手放してしまった。

 こんな悲劇が他にあるだろうか?


「今すぐ――――今すぐ私の身体を返せ」


『返せ……と言われてものぉ……我にはどうすることもできんよ。所詮はお主の臓器の一つじゃからなー』


「それは皮肉か?」


「どうじゃろうなー」


 今まで下の思っていた奴に馬鹿にされる事ほど頭に来る事はない。


『まぁ、なんじゃ? 諦めて弱小悪魔として生きていくのもいいじゃろう』


「――――諦めない」


「は?」


 無意識に言葉を発していた。

 そう、諦めるなんて事はありえない。

 どんな絶望的な状況であろうと、悲劇的であろうと、俺の魂は諦めを拒絶する。

 ユーシェリオの魂が黄金のように、俺の魂は漆黒であると信仰する。

 漆黒はあらゆる色を飲みこ――――


「勇者様……起きてたんですね……」


 声を聴いただけで、ビクッと俺の身体が震える。

 心の奥底から、次々と喜びの感情が沸き上がり、それを抑えることができない。


「あ……うぁ……」


 紋章が刻まれた子宮が疼く。


「おはようございます……勇者様」


 ニッコリと天使の笑みで微笑まれ、ボンと俺の頭が炎上する。

 全身を炙られているかのように火照っている。


「あの……昨日言えなかったんですが……僕は勇者様の事が大好きです」

 

 大好き――――その言葉が俺の脳内で何度も何度も反響する。

 理性は制止していた。

 だが俺の身体はそれらを振り切って勝手に動く。


「私もユーシェの事……大好き……愛してる……」


 言った。

 言ってしまった。

 これまでの自分を否定するような言葉を発したというのに、後悔は微塵も沸き上がらない。


「でも勇者様は……今日旅に出ちゃうんですよね……」


 悲しげなユーシェリオの表情に俺まで悲しくなる。

 目尻に涙が浮かんだ。


「いやだ……離れたくない……」


 何言ってるんだろう、俺は。

 でも、別離の悲しみはどうやっても、消えてなくならない。


「だから――――僕も一緒に行きますっ!」


「え!?」


 ビックリして俺は顔を上げる。

 ユーシェリオは覚悟を決めた男の顔になっていた。

 

「勇者様の事は僕が守るから」


 言いながら、ぎゅっと抱きしめられる。

 胸が切なさと愛おしさで締め付けれる。


「ユーシェ……」


「勇者様……」


 俺とユーシェリオの顔が近づき、軽く触れるだけのキス。

 それだけで心が満たされる。


「じゃあ、さっそくエリミア様に同行を許可してもらるようお願いしないとっ!」


「私が頼んだらたぶん許可してもらえるはず」


 キャッキャとイチャつきながら服を着る悪魔と聖人をエルは処置なしといった様子で眺めていた。


『はぁーーーー』


 その溜息がエルの内心を何よりも表す。

 その態度には心底むかつくが、今の俺が何を言った所でどうにもならない……。


『まさかあんな契約をするとはのぉ……お互いに』


 その契約とは――――――――一体なんだったか、俺は思い出す事ができなかった。


 エロ描写に無駄に力が入ってしまいました(笑)

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