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aeon~アイオーン~  作者: トト
aeon~アイオーン~Ⅲ
24/30

~最終話~

「誰かに聞かされた訳じゃない。ただ、俺を救って育ててくれた母上に、一族の人々に報いる為に立派な“王”になろう……と。セラフィナイトにも協力してもらって、歴代の王の事も色々と調べたりしたんだ。……それで気づいた。セラフィナイトは何も言わないけど、多分あいつも知ってると思う」

「…………」


(だろう、な。あの鋭い男が気づかない訳がない。彼も知っていた。知っていたからこそ、余計に君を護りたかったんだ!)


『オニキス殿。私は……私の愛と忠誠は生涯、シェルタイト様に捧げると誓った! その想いは未来永劫、変わらない。私は私の持てる力の全てをかけてシェルタイト様をお護りする。貴方は貴方にしか出来ない事を。シェルタイト様の御心を、笑顔を護ってくれ! シェルタイト様は私や一族の者の前では、あくまでも“王”なのだ。あの方の本心を引き出せるのは貴方しか居ないのだから!』



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「“気にしてない”って言えば、嘘になる。でも、俺は色々と“特別”みたいだから、碧い髪の法則が当てはまるかどうかも分からないし。それに、人の命なんてどうなるか分からないしな。己の死期を自覚して生きてる奴なんて居ないから」

「それは、確かにそうだが……」


 それでも尚、複雑そうなオニキスの顔を見てシェルは


「そんな顔するなよ。あんたは俺より九つも上なんだからな。あんたの方がぽっくり逝く可能性の方が高いんだぞ」

「な……っ!!」



    挿絵(By みてみん)



「でも、まさか……君からそんな言葉を聞けるとは思わなかったな」

「くよくよしてても仕方ないからな。あんたの“能天気”さがうつったんだ」


 そう言いながらシェルはオニキスの胸に顔をうずめた。


(能天気って……。君は俺を何だと思ってるんだ? でも、君は元々、自分の事には無頓着だからな。これが誰か他の人間の寿命なら、もっと切実に心を痛めるんだろうが……)



    挿絵(By みてみん)



「オニキスさん、俺は強くなる!」


 意を決したようにシェルは呟いた。

 彼の身体が僅かに震えている。


「シェル、君は今でも充分強い。それに、君には俺がついてる。セラフィナイト殿や、君を心から愛してる一族の人々が。君は一人じゃないんだ」

「ああ、そうだな。でも俺は今よりも、もっともっと強くならなきゃいけないんだ、心も身体も! そして俺の全身全霊で、俺の一族を護っていく!」

「だったら俺は、一族の為に生きる君を、この命かけて護る!」

「オニキスさん……」

「その為に俺は、此処に居るんだ!」



    挿絵(By みてみん)



 未来の事は分からない。

 明日の事さえも誰にも分かりはしない。

 人は“永遠”を手にする事は出来ない。

 だからこそ、この一瞬一瞬を大切に生きたいと思う。


 ――二人の人生(アイオーン)はこれからなのだから――


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