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aeon~アイオーン~  作者: トト
aeon~アイオーン~Ⅲ
17/30

~第十二話~

「セラフィナイト殿、今更ラピス女王を責めても仕方がない。今は、シェルを捜す事に専念しよう」

「あ、ああ……そうだな。しかし既に都の、シェルタイト様が御出でになられそうな場所は捜索済みだ。今の話を聞いても正直、思い当たる場所は……」

「都に居ないというのであれば、もしや地上に?」

「それはない!」

「何故、そう言い切れる?」

「貴様が此処に居るからだ」

「……っ!?」


「唯一、考えられるとすれば、セレスタイト様の眠られているアクアオーラの王家の墓だが……。かつて、アクアオーラの王族がムーカイトに幽閉される前、王家の墓だった場所に貴様がコーラル伯に頼んでセレスタイト様の御遺体を埋葬したのだろう?」

「あ、ああ」

「その場所なら、既に今地上に居る一族の者に調べさせた。シェルタイト様が御出でになられた痕跡はない。それにシェルタイト様は戴冠式の前日にその場所を訪れられている。だからあの日、オルソセラスに御出でになられるのが遅くなったのだ」


(尤もシェルタイト様ご自身は、到着が遅かろうが早かろうが、この男に直接お会いになるお積もりはなかったのだろうが……)


「あの日、シェルはセレスの墓に来てたのか?」

「ああ。『これが最後だから』と仰っておられた。だからシェルタイト様が地上にいらっしゃったとは考えられない。もし、未だ地上にムーカイトが存在するのなら、ムーカイトに向かわれたという事も考えられる、が……」


 セラフィナイトは自身の言葉に愕然とした。


(ムーカイト……?)


「まさか、ムーカイトにいらっしゃったのかっ!?」

「ムーカイト? ムーカイトは海に沈めた筈では……!?」


「ああ。だが、沈めただけだ。壊した訳じゃない。ムーカイトの機能は今も維持されている。しかし、そんな筈は……? さっき、シェルタイト様が地上へ向かわれたという事を即座に否定したのには、もう一つ理由がある。地上には生身の身体では行けないからだ」

「ああ、あの小型の流線型の乗り物が必要だからだろう? “オーバル”とかいう……」


 “オーバル”はオニキスがシェルと共に、都を訪れた時に初めて乗ったものだった。

 そして、つい先日、父オルソセラス候の誕生日を祝う為に地上に戻った際、使用したばかりだ。


「そうだ。“オーバル”を使う為には都の“地下”に行かねばならない。だが、あちらにもシェルタイト様が行方不明だという連絡は既に行ってる筈だ。シェルタイト様が都を出られたのなら直ぐに分かる筈なのだが……?」

「兎に角、行ってみよう! 他に考えられる場所がない以上!」

「そうだな。詮議するのはまた後だ。確かに“地下”は捜索範囲外だったし。行ってみる価値はある」



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 ノンマルタスの都の地下に存在する“ユーディア・ライト”は都の中枢部でもあった。

 “此処”に来る事が出来る者は限られている。

 勿論、シェルの側近筆頭であるセラフィナイトはその限られた中の一人だった。


「こちらに陛下は、シェルタイト様はいらっしゃらなかったか?」

「セラフィナイト様! いいえ、そのような事は……」

「陛下が行方不明だという話は聞いているな?」

「は、はい」


 一瞬、男の顔色が変わった。

 セラフィナイトはそれを見逃さなかった。


「もう一度聞く。陛下は此処にいらっしゃらなかったか?」

「…………」



    挿絵(By みてみん)



 その男は、ユーディア・ライトの総責任者であるブロンザイト・クリソベリルだった。

 クリソベリルはゆっくりと階段を下りながら、こう続けた。


「王命でございますれば!」

「王命? シェルタイト様のご命令……という事か?」

「左様! 地上(うえ)での混乱は聞き及んでおりますが、王命は絶対! 陛下は『誰にも言うな!』と」


「だから、黙っていたと言うのか?」

「そのつもりでしたが……。そちらにいらっしゃる御方は、オニキス・オルソセラス様ですね? 側近筆頭の貴方とオニキス様までが陛下の行き先をご存じないとなると、聊か事情が変わります。陛下のご様子も普段のあの方とは違っているようにお見受け致しましたし……」


「シェルタイト様は“ムーカイト”へ向かわれたんだな?」

「多分、そうではないかと」

「分かった。兎に角、今は急いでいる。仔細は後ほど……。クリソベリル殿、“オーバル”を用意してほしい。我らも“ムーカイト”へ向かう!」

 シェルやセラフィナイトはオーバルを自分で操縦しますが、オニキスは未だ使い方を教わってないので、地上に帰った時の往復は一族の者が同行しました。

 ちなみに、それはクリソコラの部下です。

 地上を監視してるノンマルタスっていうのは、実はクリソコラの直属の部下(諜報部員)なんですね。

 地上に行く事が許されているのは、四天王と諜報部員。

 そしてオニキス(←これは例外)だけです。

 まあ、四天王はシェルの側近なので、シェルがムーカイトに行ってた時は同行してましたが、シェルが王位に就いて地上に行かなくなったので、実質的に四天王が地上に赴く事はなくなりましたけどね。

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