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aeon~アイオーン~  作者: トト
aeon~アイオーン~Ⅲ
12/30

~第七話~

 シェルが行方不明――という事実は未だ公表されてはいない。

 しかし都の主だった者たちには伝えられ、秘かにシェルの捜索が続いていた。


(何故、シェルの傍に居なかった!?)


 ……と今更後悔しても何にもならない!


 今、俺がしなければならない事はシェルを捜す事。

 真実を知って傷ついてしまったであろうシェルの心を癒す事。

 彼の心を護る事だ!

 そして、あの方の苦しみを、哀しみを……

 どれだけシェルを愛していたかを伝える事!


 けれど、どうやって?

 俺はノンマルタスの都の事はほとんど知らない。

 知っている場所と言えば、シェルと共に視察に訪れた町くらいだ。

 彼はずっと激務続きだったし


「一段落ついたら、俺があんたを都の、いや俺のお気に入りの場所に案内してやる!」


 そう約束はしていたが、シェルは公務に追われて、二人きりになれる機会などほとんどなかった。


 四天王――シェルの側近たちも勿論、血眼になって“一族(かれら)の王”を捜している。

 彼らは俺より遥かにシェルの事をよく知っている。

 この都でシェルが愛した場所、思い出の場所。

 彼らは俺の知らない、俺と出会う以前のシェルを知っているのだ。


 その彼らが捜しても見つからない。

 なのに、今の俺に何が出来る?

 俺には、都の何処を捜せばいいのかさえも分からない。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「セラフィナイト殿! シェルを見つける為に、私と行動を共にして頂きたい!」


 それが悩んだ末にオニキスが出した結論だった。


 シェルが幼い頃から傍に居て、ずっと彼を護ってきた男。

 シェルの為に側近筆頭にまで上り詰め、シェルの最も信頼している臣下であり、兄代わりでもあった男。

 俺を“殺したい”と思うほど、シェルを愛している男。

 多分、このノンマルタスの都で彼の居る場所を捜し出せるとしたら、この男以外には存在しないだろう。


「貴様と行動を共にするだとっ? 何故私がっ!?」

「貴方しかいないんだ! シェルを捜せるのはっ! 今は俺たちがいがみ合ってる場合じゃないだろう? 大切なのはシェルを見つける事だ!!」


 セラフィナイトの言葉を遮るようにオニキスは叫んだ。


「……ならば、貴様も喋ったらどうだ? 協力してほしいと言うのなら、貴様の持っている情報も洗いざらい話せ!!」

「……何の事だ!?」

「しらばっくれるな! 私が気づいていないとでも思っているのか!? あの手紙……マイカ・アナテース様の手紙の内容に心当たりがあるんだろう!?」


「そ、それはっ!!」


「マイカ・アナテース様のお名前を聞いた時の貴様の動揺ぶりは尋常ではなかった。言え! あの手紙には何と書いてあったんだ!?」

「…………」


「この都へ来て、まだ間もない貴様が何故マイカ・アナテース様を知っている? 誰に聞いた? シェルタイト様が消息を絶たれた理由はあの手紙にあるんだろう? 何と書いてあったんだ!? 言え、オニキス・オルソセラス!!」

「…………」


(言えない! 言えるものならば、苦労はしない。俺はあの方との約束を違える訳にはいかないんだ!)


「……知らない。本当に俺は、何も知らないんだ! マイカ・アナテース様のお名前を知っていたのは……偶々だ。知っている方だったから驚いた。ただ、それだけの事だ」


 ほとんど言い訳に近い苦し紛れの答えだった。



    挿絵(By みてみん)

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