少年は罠を受け取る
ミスって投稿出来てませんでした。すいません。
午前中一杯使って草原を探索したところ、何とかセーフティーエリアを見つけることが出来た。いやー、本当に広かったな。荒野なんて目じゃないぞ。
「二人とも、今日はありがとね。セーフティーエリアが見つかったから、探索もすごく楽になるよ!」
「別にいいよ。そんなやることも無かったし、俺は午後も少し時間が空いてるしね」
「南のほうも見ておきたかったし、気にする必要は無いぞ」
色んな素材も採れたしな。後でまとめておかなきゃ。
「ならいいんだけど...。じゃあ、今度は私が二人を手伝うよ。それでおあいこでしょ?」
「まあ、時間があったら頼むよ。兄貴はそろそろ時間だろ、戻ろう」
「ああ、遅れたら何をやらされるか分からないからな。10分前には着いとかないと」
それから、俺たちは急いでビストンに戻った。アルンも、午後からはパーティーで草原を探索するらしい。俺はまた洞窟にでも行きましょうかね。
草原での取得物:グラスジャッカル素材(牙・肉) グラスキャット素材(爪・皮) グラスホース素材(皮・肉) グラスモール素材(爪・皮) 各種薬草・毒草
ビストンから直接ドワールまで飛び、リザを呼んでから洞窟に入る。俺もさっさとセーフティーエリアを見つけるかな。
「そういうわけで、今日はガンガン進んでいくぞ。モンスターは遭遇した奴だけ倒す。気づいてない奴を引っ張ってくるなよ」
「ギュン!」
リザもずいぶん大きくなったな...。大型犬並だぞ。俺が乗るには、まだまだ小さいけど。
移動速度を速めたいので、ゴーレムに乗って洞窟を進んでいく。前回通った道とは別のルートで進む。マップを見たら、樹形図とか蜘蛛の巣みたいになっていた。うーん、セーフティーエリアってあるのかな?とりあえず、一番端まで行ってみるかな。
採掘するのも程々に、ひたすら横へ進んでいく。分かれ道の時には、必ず外側へいく道を選ぶようにした。二時間ちょいひたすらゴーレムを進めたところ、ついにマップの最端についた。内側にしか進む道がないからだ。
「やっと着いたか...。マップはどんな感じかな?」
マップを見てみると、前に作ったマップも合わせて、下に凸の底辺がない三角形みたいな感じになっていた。そのまま道は、斜めに内側へと延びている。推測するに・・・大きな菱形になっているのか?てことは、入り口とは反対側にセーフティーエリアがあるのかも。
「そうと分かれば話は早い。まだ14時だから、セーフティーエリアまで行けるな。帰りは・・・急げば間に合う、かも」
正方形の対角線は、辺よりも長かったはず。二辺通るよりは、短いはずだけど。どっちにしろ、急がないと厳しいな...。
「ヤバいぞ、このままじゃ間に合わなくなる。途中でチンタラ採掘なんてしていられない!リザ、駆け抜けるぞ!」
「ぎゅん!」
そこから採掘をせず、戦闘も出来るだけ回避して道を進んでいく。どうしても戦闘しなきゃいけないときは、
「どけやー!」
「「「きゅー!!!」」」
嵐砲を使って一気に道を作る。MPポーションが飛ぶように減っていくが、気にしてなんかいられない。きっと後で、何でこんなことしたんだろうと思うだろうけど、そんなことは気にしない。金はいくらでも稼げるけど、時間は取り戻せないからな!
「リザ、どんどん飛ばしていいからな!」
「ぎゅー!」
洞窟の道は狭いんで、リザと並んで飛ぶことが出来ない。なので、リザに先行してもらい俺が後ろからついていっている。ブレスで動きを止めてもらい、俺が嵐砲で落とす。そうやって、前の倍以上の速さでがんがん道を進んでいった。
そして15時、予想した通りセーフティーエリアは菱形の上にあった。だが、そこで休んでいる暇はない。ここに来るまでかかった時間が1時間、対角線の長さは2辺と同じはずだから、さっき以上のスピードで進まないと間に合わない。
「リザ、もう行くぞー」
「ぎゅー...」
リザがへばっている。ずっと飛ばしっぱなしだったから、仕方ないか。
「どうせあまり戦闘しないから、休んでていいぞ」
「ぎゅ」
俺の影へ入っていくリザ。さて、さっさと帰りましょうか。飛ばしていくぜー!
「はあはあ、い、今何時だ?」
敵を無視し採掘の誘惑を振り切り、ゴーレムで洞窟を飛び切った。メニューで時間を確認したところ、今の時間は16時50分。何とか5分前行動は守れそうだ。
急いでゲートに向かい、クレセントに飛ぶ。もう俺以外のメンバーは、全員来ていた。
「お、今日は随分遅かったな!どこ行ってたんだ?」
「ドワールの洞窟...。セーフティーエリアが見つかったんだけど、戻ってくるのに時間がかかったんだ」
「あの、ミミズがいっぱい出てきたところですか...。広いんですか?」
「南のほうの草原よりは狭いけど、荒野よりは広いよ。そういえば、皆は空いてる時間、何をしてるんだ?」
シルバは大学だけど、他のメンバーは何をやってるんだ?
「私はレベル上げ・・・グラーディーのほう」
「私たちもですね。でも、見なかったですよ?」
「東の方に行ってた・・・涼しくて、植物もけっこうあった」
「草原って感じ?」
「ううん、ちょっと違う・・・何と言うか、北海道の牧草地、みたいな感じ」
北海道の牧草地・・・確かに草原じゃないな。植物はあるけど、そこまで多くないって感じか。
「私たちは北の方に行ったんですけど・・・また森でした...」
「え、また?CNWのスタッフ、森好きすぎだろ...」
「けど、針葉樹だったぞ。エルフィの森は広葉樹ばっかりだったから、少しは変えてるんじゃないか?」
タイガってやつか?ちょっとずつ植生とかが、北っぽくなってるな。
「今行ってる森を攻略したら、次はどこに行くの?やっぱり、北にどんどん進んでく?」
「うーん、南の方に行ってみたいなーって思ってるんだけど...」
「南かぁー...。そういや、全然行ってなかったな。どんな感じなんだ?」
「草原だったよ。他には、崖沿いの道と古戦場みたいなエリアがあるらしい。まだ草原しか行ってないんだけど、エリアがかなり広くて大変だったな」
「そっちも中々面白そうだな、今度行ってみようぜ!」
「そうだ、罠ってもう完成してるの?」
草原と洞窟で手に入れた素材中の、いらないものを売り払い、矢とポーションを買い足した後、フォレグが罠のことを聞かれる。そろそろ完成してるんじゃないか?と思ってメールを送ろうとメニューを開いたら、未開封メールが一件届いていた。天火さんから送られてきたものだ。受け取った時間は16時過ぎ、ちょうど洞窟の中をモンスターを蹴散らしてた頃だ。目の前の敵に集中し過ぎて、来ていたのに気づいていなかったらしい。
開いて読んでみる。内容は簡単、罠が出来たから取りにこい、とのことだ。待たせちゃった...。
「メール来てた...。気づかなかった...」
「・・・何時?」
「1時間くらい前...」
「待たせちゃってるじゃないですか!早く取りに行かないと!」
「ああ、急がないとな」
「何か言うことは?」
「お待たせしてすいませんっしたー!」
天火さんは待っていてくれた、かなりイラついてたけど。
「・・・はあ。まあいい、これが頼まれてた罠だぞ」
そう言って、天火さんは罠を取り出して俺たちの前に出す。頼んだ通り四つだ。
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名前 下位竜のトラバサミ
種類 罠
威力 35
特殊能力 燃焼
耐久値 2250/2250
設置数 20個
レア度 4
刃の部分が下位竜の牙で出来ているトラバサミ。牙が刺さると、熱を発して火傷を負わせる。
名前 鋼鉄のトラバサミ
種類 罠
威力 25
特殊能力 毒
耐久値 2250/2250
設置数 30個
レア度 3
鋼鉄の刃を持つトラバサミ。刃に毒が塗られており、噛んだ敵を毒でおかす。
名前 蟻針のまきびし
種類 罠
威力 5
特殊能力 継続ダメージ
耐久値 250/250
設置数 50個
レア度 2
蟻の針で出来ているまきびし。返しがついていて、刺さったら抜けずに、耐久値がなくなるまでダメージを与え続ける。
名前 括り縄
種類 罠
威力 0
特殊能力 拘束
耐久値 2500/2500
設置数 15個
レア度 2
頑丈な蔦で出来ている縄。設置することで、通りかかった敵を拘束する。数が多くなる程、一個あたりの耐久力は減る。
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「二つは威力を重視したから、もう二つは足止めに使えそうな罠にしてみたぞ」
「この括り縄って、勝手に拘束してくれるんですか?」
「ああ、そうだぞ」
「どうやって?」
「さあ?大方、魔力が何たらー、って感じだろ」
「適当っすね」
「理由なんて気にしてもしょうがないだろ。使えればそれでいいじゃんか」
「まあそうですね」
フォレグに見せると、真剣な顔でデータを眺め始める。実際に実体化してみて、掴み心地や重さを確かめている。
「こら、見入るのはいいけど、先に金を払ってからだ。トレード申請するから、そこに書かれてる金額を振り込んでくれ」
「あ、はい、すいません」
天火さんが提示した金額は、そこそこのものだった。クロスボウと服の改造代を合わせたのより、少し多いくらい。まあ、武器四つにしてはずいぶん少ないけれど...。
「素材全持ち込みの上に、使ってないやつ分だけ、金額から引いたからな。返して欲しいなら言えよ、計算し直さなきゃいけないからな」
「誰かいるかー?」
誰も声を上げない。まあ、取ろうと思えばいくらでも取れるしな。
「いいみたいだな」
「そうですね。フォレグ、足りるか?」
この前、俺に金を返したばっかりだし。全員で割り勘して、後で返してもらうっていうのでもいいんだけど...。
「大丈夫だよ、一人で稼いだ分のお金もあるし。ちゃんとポーション代も残してるから」
「ならいいんだけど。まあ、フォレグはしっかりしてるから、問題ないか」
シルバは一応大学生だし、金に関してはちゃんとしてるだろう。ダートは無駄遣いするようなタイプじゃないし、ルージュにはフルンがついている。・・・金に一番だらしないのって、もしかして俺?いやいや、再婚するまでは、俺が買い物をして家計簿をつけてたんだし、それはない、と思いたい。でも、今日限りとか限定に弱いのも確かなんだよなー。いや、必要ないものは買わないけど。
「よし、これで取引は終了だ。大切に使ってくれよ」
「もちろんです!テルさん、張り切っていくよー!」
「ちょー待てい、まだエントの問題が残ってるだろ。このまま行ったら、この前の二の舞だぞ」
「そういや、まだ話してなかったな。どうすんだ?」
「こんなのがあったんだけど...」
聴音について話す。皆、それでいいみたいだ。ただ、
「またテルが取るの?・・・SPは大丈夫?」
「まあなんとか。でも、一個外さなきゃいけないな」
どれを外そうか...。魔力感知か?いや、これも一応エントの位置が分かるから、外すわけにはいかないな。やっぱり、バディーアニマルかな...。ソロでやる時に、付け替えればいいし。
さくっと聴音を取得する。出来るだけSPは貯めたかったのだが、これで0だ。はあ、管理が大変だよ...。
どうやら聴音はパッシブスキルのようで、常に音が聞こえやすくなるみたいだ。集中すると、さらに効果が上がるらしい。試しにやってみるか。
目を閉じて周りの音に集中する。段々周りの音が鮮明になっていき、さっきまでは聞こえなかった音も聞こえるようになってきた。お、これは天火さんの声だな。もうちょっと離れてみよう。
目を開けて少し歩く。最初は50m、魔力感知の初期感知距離だ。もう一回目を閉じて集中する。・・・お、聞こえる聞こえる。内容は分からないけど、雑踏の声にまぎれること無く聞こえてくる。次にいこうか。
今度は大体100mほど離れて、天火さんの声を聞く。・・・うーん、はっきりとは聞こえないけど、方向と距離はなんとなく分かるかな?大体こんくらいで察知出来ればいいから、使い物にはなりそうだ。
「そんじゃ、リベンジへとまいりましょうか」
「ん・・・私たちを襲ったことを、後悔させてあげる」
「そうだな、ブレスで焼きまくってやるよ!」
気合いは十分、維持したまま森へと向かおう!