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少年はもっと罠を作る


落とし穴を作り終えた俺は、ワイヤーと地雷を作るため、クモの糸と爆弾を買ってくる。レシピを見ながら、必要そうな物を買いそろえていく。全て買い終わった時には、大部分の金が吹き飛んでいた。ここまで金がかかるなんて・・・フォレグには出来るだけ使わないよう、言っておかないと...。

その日はそれでおしまいにし、俺はログアウトした。智美さんは帰って来てるかな。






夕食の為にリビングに降りると、ちょうど智美さんが配膳をしているところだった。


「あ、孝昭君。お昼はご苦労様、大丈夫だった?」

「はい、全然問題ありませんでしたよ。まあ、洗濯物でちょっと色々ありましたけど...」

「昨日、仁美に言っておけば良かったわね...」

「いえ、気づかなかったのは俺も悪いですし。智美さんのせいじゃ、ありませんよ」

「ふふ、ありがと。そう言ってもらえると、気が楽だわ。ご飯並べるの、手伝ってくれるかしら?」

「もちろんですよ」


智美さんたちが家に来てから、夕食は毎晩7時からになっている。親父もあまり残業することなく、早く帰ってくるようになった。そのせいか、最近調子がいいらしい。いいことだな。


「うん、やっぱ智美の飯は美味いな。ずっと食べてたいよ」

「私もあなたが美味しそうに食べてくれて、すごく嬉しいわ。おかわり、いる?」

「もらうよ。ん、どうした孝昭、食べないのか?」

「いや、食べるよ...」

           

毎日イチャつきながら食べるのは、止めてほしいけど。いや、仲が良いのはいいんだけど...。見てるだけで、腹一杯になりそうだよ。


「お母さん、幸せそうだなー...」

「親父もだよ。まあ、余所でやってくれって話だよな」

「まったくだよ。子どもの前だって、分かってやってんのかね」


俺たちは呆れるばかりだ。昔もこうだったんかな...。



風呂に入った後、俺に部屋に兄貴と仁美がやってきた。


「どうしたの?」

「ああ。レッサードラゴンを倒せたんだけど...。孝昭が情報を流したんだし、話聞きたいかなーって」

「お、やったんだ。聞かせて聞かせて」


部屋に兄貴たちを入れてから、俺はコーヒーをいれてくる。えっと、兄貴はブラックで仁美はミルクに角砂糖を一つ、だったな。ちなみに俺は、ミルクで砂糖なしだ。


「お、悪いな」

「ありがと、孝昭さん」

「どういたしまして。それじゃ、どういう風に倒したのか話して」

「おう!」


兄貴たちは、俺たちがやったように、土魔法で壁を使ってブレスを防いだみたいだ。壁役と魔法攻撃役を増やして、それで何とか倒せたのだと。他にも数パーティーが既に突破しているらしく、すぐに他のプレイヤーもグラーディーにたどり着きそうだ。


「ここまではかなり順調に進んでるけど、そろそろ一筋縄じゃいかなくなりそうだね」

「そうだな。多分、そろそろ進めなくなるころだろうな」

「かなり遅いよね?普通のMMOなら、もっと早いよね」


それに、ボスを倒すペースもここまでかなり早い。ここらで一発、むっちゃ強いボスでも出てくるんかな?


「楽しみだなー。闘技場でのイベントも、早く開催してほしい」

「闘技場は、もっとグラーディーにプレイヤーが着いてからだろうな」

「私たちも、そっちの方行ってみよっかな。ずっと南の方に行ってたし...」

「そういや、南の方ってどうなってるんだ?」


ずっと北の方に行ってたから、ビストンまでしか行ったことないんだよなー。その先はどうなってるんだろう。


「南の方はずっと草原が続いてるんだよ。かなりエリアが広くて、まだセーフティーエリアすら見つかってないんだ...」

「それは大変だな...。他にもあるの?」

「うん。東は崖沿いの道があって、空を飛ぶモンスターとかが多いよ。森にも面していて、そっちからの奇襲も怖いな」


ほうほう、空を飛ぶモンスターですか。是非共行ってみたいな。


「西のほうは?」

「あまり行ってないから、詳しいことは分からないんだけど...。古戦場って感じのエリアだったなー。出てくる敵も、アンデット系ばっかりだった」

「何で行ってないんだ?」

「ビスカとフェルトがそういうの無理で、まともに戦えなかったんだよ...」


ああ、女の子だけだとそういう問題もあるんだな。義子はそういうの平気だけど。昔、怖がる義子に無理矢理スプラッタ系の映画を何本も連続で見せた結果、逆に平気になっちまったんだよなー...。ホント、悪いことをした。


「今は草原に?」

「そうだよ。モンスターは基本群れで出てくるから、飽きはしないんだけどね」

「へー、どんなモンスターだ?」

「ジャッカル・馬・大きな猫、それに地面から土竜っぽいのも出て来たよ。見晴らしがいいから、空を飛ぶような敵はいないね」


大きな猫・・・ライオンが小さくなった感じかな。ライオンも群れるし。土竜ってのが想像出来ないな。どうやって攻撃するんだろ。


「今度行ってみよっかな...」

「うーん、ただでさえ群れて大変なのに、孝昭さんたちは敵を増やしてるんでしょ?大変じゃない?」

「そうだな。群れは個体が多ければ多い程、脅威も増すし。ちょっとキツすぎやしないか」

「まあ、皆で相談してから決めるよ。スキルは外してもいいんだしな」


シルバは泣きそうだけど。いくらなんでも、馬が大量に出て来たら厳しいだろうし。


「それもそうだな。まあ、本人たちが楽しめてればいいしな。周りに迷惑をかけてなければ」

「頑張ってね、孝昭さん」

「仁美もな。草原、大変そうだけどファイトだぞ」

「うん!」






翌日、ログインしたら、とりあえずフォレグが来ているか確認。まだ来ていなかったので、ログインしたら連絡するよう、メールを出しておいた。そして、すぐに作業場に向かう。


「おはようございます、今日も来られたのですね」

「はい、昨日の続きをしに」


作業場と道具のレンタル料だけは残してある。これを払ったら、財布はすっからかんだ。はあ、ボスを倒して稼いだ金が...。フォレグに少しもらってもいいよな?落とし穴の素材代として。このままじゃ矢も買えない。



「今日も使っていきますか?」

「はい。二時間に道具レンタルつきで」

「それでは600エルです」


レンタル料を支払って、作業場へと入っていく。さて、フォレグが来る前に出来るだけ作っておこう。


まずはワイヤートラップ。これはクモの糸を数本まとめて、一本の堅い糸にする。これだけでも、木の間に張って攻めて来る敵を切るっていう風に出来そうだけど...。まあ、他にも使い道はある。量産は後で出来るから、ひとまず置いておこう。


次は地雷だ。地雷と言っても、そんな近代的な代物は作れるわけが無い。そういうわけなので、今回作るのは

これって地雷なの?って感じのものだ。

用意するのは、木箱と火薬、縄に漆の塗料だ。漆の樹液は、エルフィの森で採れるらしい。知らなかったな...。

まずは木箱に漆を塗っていく。レンタル道具のはけを使って、むら無く丁寧にだ。表裏すべて塗り終えたら、風通しの良い場所に置いて乾かす。・・・暇だし他の箱も塗っておくか。

塗った漆が乾くまで、ひたすら箱に漆を塗る。何個か塗ったところで、ようやく最初に塗った漆が乾いた。

箱の半分くらいまで、火薬を入れていく。その後、ふたの裏に縄を取り付けるのだが...。ここで、ギリギリ火薬に触れない長さにするのがポイント。縄に火をつけてから、箱を閉じて完成だ!

    

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前 地雷 埋火

レア度 2


昔の地雷。箱の中に火薬が入っていて、ふたを踏むと火縄が火薬につき爆発する。水に弱いので、沼地などでは使えない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


埋火っていうのか。水場じゃ使えないみたいだけど、今のところは問題ないな。これは作るのはそんな大変じゃいから、量産しないで作ってみよう。


それから埋火を作り続けること、一時間ちょっと。火薬を箱の中に入れている時、フォレグから通信がかかってきたので、すぐに出る。


『あ、テルさん?どうしたの?』

『罠が何個か出来たから、渡そうかなって。どんな感じか知りたいだろ?』

『出来たんだ!今どこにいるの?』

『クレセントの東側だ。中央広場に来てくれ』

『分かりましたー!』


さて、フォレグに罠を渡してくるか。






「あ、テルさん!どんな罠が出来たんですか?」

「まだ落とし穴だけだよ。他にもあるっちゃあるんだが、数が揃ってなくてな」


作った落とし穴を渡すと、


「けっこうあるねー。あ、お金大丈夫?」

「・・・」

「マズいんだね...」

「矢も買えないよ...」

「そうなんだ...。でも、けっこうお金あったよね?」

「武器と服を新調したら、かなり飛んじゃってな」


武器はほとんど作り直しだったからなー。その分、金もかかったんだよなー。


「じゃあ、素材の分は返すね」

「悪いな」


買った素材の金額だけ、フォレグから払ってもらう。今度からは、取った素材だけで作るようにしようか...。


「んじゃ、使った感想を聞かせてくれよ。モンスターが引っかからなかったら、ちゃんと回収しておくように。夕方からシルバも来るから、使いすぎないようにな。金が足りないし」

「了解!どんな感じか、確かめてくるだけだね!行ってきまーす!」


そう言って走り去っていくフォレグ。早いなー、あっという間に見えなくなったよ。というか、どこで試すつもりなんだ?ゲートで行けば良かったのに...。


「・・・埋火とワイヤー、量産しておくか」


ポチッと高速作成を押すと、あっという間にワイヤーと埋火が完成する。楽だけど、風情が無いなー。


「ふう、こんなもんでいいか。そんじゃ、ドワールの方の探索に向かいましょうかね」






ゲートでドワールへと向かい、奥の方へと進んでいく。ゴーレムとリザも一緒だ。フォレグから金を返してもらったので、ポーションや矢も買えたので大丈夫。


魔力感知に目を光らせながら、慎重に細い道を進んでいく。よくミミズが壁や天井から襲ってくるけど、何とか捌いていく。四体くらいなら、まあそこまでキモくないからな。


「だけどなリザ、ミミズを食べるのは止めようか」

「ぎゅ?ぎゅぎゅぎゅ!」


リザは食べるのを止めない。大丈夫なのかなー...。


「しっかし、ホント入り組んでるなー。地図無きゃ絶対迷子になるよ...。こんだけ入り組んでるなら、エリア自体はそんなに広くないはずだけど...」


セーフティーエリアは、あるのかな?ないとけっこう困るぞ。・・・後で掲示板を覗いておくか。


狭い道を進みながら、採掘も行う。金が少ないから、少しでも稼いでおかないと。まだピッケルは残っているから、しばらくは買わないでよさそうだ。


「ふー...。ピッケルを振るのは疲れるな...。鋼鉄しか出ないし...。あ、ピッケル壊れた」


はあ、やっぱ一人だと少し寂しいな。気は楽だけどな。


「・・・そういや、ゴーレムって扱いはどうなってるんだろう...。知ってるか?」

「・・・I don't know」

「そうかー...。どこかに載ってないかな?」


メニューを見てみると、ゴーレムはアイテム扱いになっているみたいで、アイテムボックスの中に名前が書いてあった。


「アイテムなのか...。ってことは、他にも色んな武器を作っておいて、状況に合わせて交換するってことも出来るのかな?それと、大量に持ち込んでゴーレム無双とか...」

「Ah...」


ちょんちょんと自分の欄を、剣先で指すゴーレム。何々『このアイテムは、アイテムボックスに一つしか入れられません』?そうだったのか...。新しく作るときは、元のやつは別のところで保管しなくちゃいけないってことだな。


「お前もそろそろ、新しい身体が欲しいよな...。改造はしてるけど、それだけじゃあまり性能は上がらないし」

「When you want」

「そういうのが、一番困るんだよな...。まあ、金に余裕が出てきたら新しくしてやるよ」


次も大剣か?いや、槍とか他の武器でも面白そう。考えておこうか。


埋め火は少しおかしなところがあるかもしれません

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