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少年は罠作りに挑戦する

天火さんに通信をかける。しばらく五回ほどコール音がした後、天火さんが出た。


『どうした、テル?』

『ちょっと武器の相談で。装備型の罠って作れます?』

『罠?確か、一覧の中にあったような気がするけど...。ちょっと待ってろ』


しばらくの沈黙のあと、


『あったぞー。とらばさみとかがあるな。こんなもん、誰が使うんだ?』

『フォレグの新しい武器を、罠にしようと思ってまして』

『ふーん...。この後、見に来るのか?』

『その予定です。あ、俺が使い捨て型の罠を作ろうと思ってるんですけど、大丈夫ですかね?罠作成って、Dexだけで出来ますかね?』

『それはやってみないと分からないな。まあ、一回こっちにこいよ。少しは調べといてやるから』

『お願いします』


さて、天火さんの露店に向かいましょうか。






天火さんの店に到着。店番をしながら、ウィンドウをぽちぽち操作していた。


「お、来たか」

「すいません、急に連絡して。罠について、詳しく教えてもらえますか?」

「軽く調べただけだから、そんなに期待はするなよ?装備型の罠には、とらばさみとかがあったな」

「とらばさみは使い捨てっぽいですけど...」

「そこは俺にも分からん。まあ、ゲームだし気にする必要はないだろ」

「そうっすね」


気にしてもしょうがないか。


「とりあえず、今ある素材でどんなのが作れるか、見繕ってくれますか?」

「オッケー、見せてくれ」


森の中で取って来た素材に、余っていたアイテムを全員で出していく。さて、これで何か罠が作れればいいんだけど...。


「いくつ作るんだ?」

「そうですね...」


両手持ちで二つ装備出来るから、


「四つくらいでしょうか...」

「うん、そのくらいだよね。素材は足りますか?」

「そうだな・・・お、牙はまだいくつか残ってるのか...。金属を土台にして、刃をこれにすればいいな...。そういや、どういう目的で使うか聞いてなかったな。殺傷?それとも足止め?」

「殺傷かな。ダメージが多いのがいい!」

「そんじゃまあ、これくらいもらっておくぞ」


ゴッソリと素材を持っていく天火さん。アイテムボックスが軽くなったよ...。


「金は受け渡しの時でいい。量が多いから、出来たら連絡するよ」

「了解です」

「強いの、作ってくださいね!」






さて、天火さんに罠の依頼は終った。この後は・・・俺も罠を作ってみようかな。


「そんなわけで、今日のところは解散すんぞ」

「えー、まだまだ出来るだろー!?」

「罠を作っておきたいんだよ」

「明日の昼間でいいだろ!夕方から入るんだから!」

「明日の昼は、ドワールの方を探索する予定なの!今日行けなかったからな」


一人ならミミズも何とかなるし。朝、罠を渡して夕方までに慣れていても欲しいし。


「むう、色々考えてるんだな!」

「ったりめえだろ。シルバには悪いけど、今日は勘弁してくれ」

「まあそれなら、しょうがないな!」

「それじゃあ、また明日なー」


みんなと分かれて、とりあえず東に向かう。こっちのほうに、生産のための施設があるらしいからな。

中央から東へと向かう。かなり騒々しく、多くの生産音が響き渡っている。罠はどこで作れるのかな?


「お、ここかな?」


鍛冶場とかを通り過ぎていると、あまり人が入っていない施設があった。中に入るといろんな道具が棚に置いてあり、実際に使う場所は囲いがしてあって中が見えない。受付にNPCがいるから、とりあえずここを使えるかどうか聞いてみよう。


「すいません、ここで罠って作れますか?」

「はい、出来ますよ」


若い男性NPCが答える。よし、ここで出来るんだな。


「ここを使うのに、料金とかはかかるんですか?」

「はい、三十分100エルです。道具をレンタルするには、別途で200エルが必要ですよ」

「そうなんですか...」


長時間つかうとしたら、結構金がかかるな...。天火さんは、いつもこんな金を払っているのか。今は午後一時くらい、とりあえず四時間くらいでいいかな。


「んじゃ、四時間使います」

「それでは、800エルです。道具はお使いになりますか?」

「うーん、そうですね...。んじゃ、とりあえず借りておきます」

「わかりました、使い終わったら元の棚に戻しておいてくださいね」


1000エルを支払って、中に入っていく。囲いの中には一つの台があって、そこで作るみたいだな。ここにも棚があって、ここの道具を使えるもたいだ。


「さて、それでははじめますか」


罠作成のスキルから、作れる罠一覧を出す。一番上以外は、まだすべて灰色になってていてレシピを見ることが出来ない。一番上は『落とし穴』だった。作り方はこんな感じだ。


1、落とし穴の中に仕込むものを、あらかじめ作っておく。様々なバリエーションがあるので、色々工夫できそうだ。

2、そとのエリアに出て、仕込みをする。仕込が終わったら、落とし穴作成と唱えれば完成。


「・・・外で作るのかよ...」


わざわざ金を払って入った意味がない。最初に作り方を確認しときゃよかった...。


「ま、まあ中に仕込むものをたくさん作らないといけないしな!意味がないわけじゃないだろ!」


うん、きっとそうだ!そうと決まれば、早速作り始めよう!気にしたら負けだ!

とりあえず、最初は木を加工することにする。加工といっても、先を刃物で尖らせるだけだ。道具をレンタルしておいて良かったな。丁寧にやっていこう。


余っていたまっすぐな枝や、エルフィ近くの森でとった木を削っていく。量が多いので、中々大変な作業だ。30分以上かけて、ようやくすべて削り終わる。ただの木が尖った木になった!


「ふいー、やっと終わったか。さて、お次は...」


荒野の骸骨たちが持っていた、刃こぼれした剣&槍を取り出す。弓とかもあったけど、どうやって使ったらいいか分からないからな。斧も同じだ。

刃こぼれがひどすぎるので、まずは砥石で手入れをする。これって、罠作成に経験値は入るのか?武器を研ぐのって、鍛冶スキルとか必要なんじゃないか?・・・まあ、いまさらだな。さっさと研いでしまおう。

丁寧に研いでいったので、全て研ぎ終わるのにこれまた三十分以上かかってしまった。鍛冶スキルが無いのに、刃こぼれした剣&槍が斬れ味のいい剣&槍となった!


「これはテンションが上がるな!他のやつも、さっさと終らせちゃうか!」


残りは大蠍の尻尾と、蟹の鋏だけだ。尻尾はまだ毒液を滴らせていて、扱いに注意がいる。棚に置いてあった桶を下に置いて、そこに滴る液を溜めておく。細い木の棒をいくつも取り出し、尻尾の中に芯として通していく。途中までしか入れられないけど、まあこれでいいだろ。桶にはけっこうの量の毒液が溜っていて、サハラスコーピオンの毒液、というアイテムになっている。

蟹の鋏は二つに分解しておく。素手で掴むと危ないので、鋼鉄で出来た手袋をはめて作業する。本当は、鋏の間に敵が落ちたら、そのまま閉じて両断ってふうにしたかったんだけど、まだやり方が分からん。今はこれで及第点としよう。


「それじゃ、仕上げにはいりますかね」


バタフライ・パラライの鱗粉を取り出し、全ての剣と槍に振りかけていく。余ったものは尖った木にもかけるが、途中で切れてしまったのでポイズンの鱗粉を代わりにかけておく。尖ったの半分ほどで、ポイズンの鱗粉も切れてしまった。


「これで終わりかな。時間は・・・まだ一時間くらい残ってるか...」


まだ時間は残ってるけど、外に出ることってできるのか?受付の人に聞いてみようか。


「すいませーん、ちょっと外に行きたいんですけど...。まだ時間が残ってる場合って、どうなるんですか?」

「そのまま時間が経過しますよ。終了時間になったら、それでおしまいです」

「そうですか...。では、外に出てきますね」


残りお金は返してもらえないのか...。向こうも商売だしな、しょうがないか。穴掘り用の道具を買ってから、外のエリアに行こう。






道具屋でシャベルを買って、東の門から外に出る。遠くに行く必要はないので、門からちょっと離れた所でシャベルを取り出す。


「さて、頑張って穴を掘りますかね」


ゴーレムにも手伝わせて、地面にシャベルを突き立てる。そこまで固くはないのだが、いかんせんStrが0だ。膝くらいまで掘ったところで、バテてしまった。


「あー、くそ。疲れた...。代わりに掘ってくれ」

「Yes」


穴の中にゴーレムを入れ、ごりごりと土をかき出していく。うーん、効率が悪い。こんなんじゃ、いつまでたっても終らないぞ。


「リザにも手伝わせるか。リザー、来てくれー!」

「ぎゅう?」


影の中から出てくるリザ。俺とゴーレムよりは、上手に穴を掘れるだろう。


「リザ、あの穴を深く大きくしてくれないか?」

「ぎゅ!」


穴の中に入っていき、後脚で掘っていくリザ。バババ!とかき出されていく土。これなら、しばらく放っておいても問題なさそうだ。俺も別の場所で掘ろう。



「ぎゅー!」

「お、終ったか」


十五分ほどで、リザが俺の元へ飛んで来た。自分が掘っていた方をリザに任せ、俺は最初の穴を見に行く。


「おお、こんだけあれば十分だな!」


リザが掘った穴は、俺がすっぽりと収まってしまうくらいの大きさだった。これでようやく、落とし穴を作成できる。


「リザ、もう穴は掘んなくてもいいんだけど...。まあいいか」


楽しそうに掘ってるからな。俺は落とし穴を作ってしまおう。最初は尖った木(鱗粉なし)を、穴の中に設置していく。敵が落ちてきたらしっかりと刺さるように、底に対して垂直に。丁寧に固定し、ずれないようにする。


「こんなもんでいいか。それじゃ、落とし穴作成!」


そう唱えると、穴が光に包まれていく。そして、小さな球状のアイテムとなった。・・・これは?詳細を見てみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前 落とし穴の種(尖った木仕込み)

レア度 2


底に尖った木が設置されている落とし穴。鋭く削られているので、ダメージ量が上がっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どうしてこうなった...。地面につければ、落とし穴が設置されるらしいけど...」


何か元ネタでもあるのかな?覚えていたら、後で調べておこう。罠作成に、新しく高速作成というものが出て来た。どうやら、一回作ったことにある罠を一瞬で作れるようになるらしい。使ってみると、鋭く〜以下の文章がなくなっていて、レア度が1に下がっていた。量産用みたいだな。


「んじゃ、他のやつでも作っちまうか」


鱗粉つきの尖った木、剣&槍、尻尾、鋏の順で作っていった。以下は最初に作ったやつである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前 落とし穴の種(尖った木仕込み)

レア度 2


底に尖った木が設置されている落とし穴。蝶の毒(麻痺)属性の鱗粉が付着していて、落ちた敵を状態異常にする。


名前 落とし穴の種(剣&槍仕込み)

レア度 2 


底に剣と槍が設置してある落とし穴。斬れ味のいい武器によるダメージが多く、鱗粉による麻痺も期待できる。


名前  落とし穴の種(サハラスコーピオンの尻尾&コーストクラブの鋏仕込み)

レア度 2


底に蠍の尻尾と蟹の鋏が設置してある落とし穴。尻尾の毒と鋭い鋏で敵を殺す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


全て量産すると、レア度が1下がり後半の文章が消えている、といった感じだ。どの落とし穴も、雑魚相手なら一つだけでも、かなりの効果が期待出来そうだ。その分、作るのがめんどくさいけどな。


落とし穴を量産した後レシピを見てみると、新しく『ワイヤートラップ』と『地雷』が作れるようになっていた。ワイヤーはクモの糸、地雷は火薬などが作るのに必要らしい。街に戻ったら買っておこうか。



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