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少年はまたもやボスに挑む


扉の中は、柵に囲まれた集落の中といった感じだった。周りにいくつか家があり、ここでゴブリンが生活しているのだろう。

奥には大きな切り株があり、そこには一体のゴブリンが座っていた。普通の奴らとは、体つきからして全然違うし、顔には強者の風格が漂っている。金属鎧を着込み、片手には長槍を抱えている。


「キサマラ、ココニキタッテコタァ、シヌカクゴガデキテルラシイナ。オメエラ、カンゲイシテヤレ!」

「「「「「「ぎゃぎゃぎゃ!!!」」」」」」


キングのかけ声で、六体のゴブリンが前に出てくる。ナイト二体、ファイター一体、メイジ二体、プリースト一体だ。ゴブリンも話せたんだな。


「真打ちは後から来るってか。余裕だな、潰してやろう。ダートは前衛を頼む。俺はプリをやった後、メイジたちを倒す」

「ん・・・了解」

「お前は俺が操作する。いいな?」

『Yes,my master』


ゴーレムにダートを乗せて、敵陣の中に突っ込ませる。全員の意識がダートたちに集中している間に、俺はプリを撃ち殺し隠形を使って視界から消える。


「ぎゃあ!?」

「「「「「ぎゃぎゃぎゃ!?」」」」」


いきなりプリを倒され、動揺しているゴブリンたち。俺に注意を払っている奴はいない。


「・・・っふ!」

「「ぎゃがあ!?」」


剣から飛び降りたダートは、着地したと同時にナイト二体を斬り飛ばす。ポリゴンとなって、崩れるゴブリンたち。その光景に怯むことなく、ダートに攻撃しようとするファイターとメイジ。そうはさせじと、俺は近い方にいたメイジの目を撃つ。


「ぎょば!?」

「ぐぎゃ!?ぎゃぎゃぎゃ!」

「ナサケナイヤツラメ。オレサマテヲワズラワセヤガッテ」


四体倒されたところで、キングが腰を上げる。表示されたHPバーは二本。少ないし、これなら楽勝か?


「コンナヤツラト、イッショニスルナヨ!ガアアァァァァ!!!」


高速で走ってきて、ダートを突き刺そうとするキング。槍が黄色く光ってるってことは、アーツなのか!?


「っふ」

「ぎゃあ!」


ステップで躱したところに、メイジが魔法を撃ち込もうとしてくる。させるか!いけ、ゴーレム!


「ぎゃあ!?」


ゴブリンの胴に、大剣ゴーレムが突き刺さる。ゴブリンは剣を弾き飛ばすが、空中で体勢を整え再び突撃させる。意識は完全に逸れたので、また隠形を使って隠れる。なんか、隠れてばっかりだな...。

ダートはキングとファイターと戦っていて、ゴーレムはメイジを牽制している。ここはダートを援護するか。


ゴーレムを視界に入れたまま、ファイターに照準をつける。せぇの!


パシュ!


「ぎゃあ!?」

「ソコカ、ヒキョウモノメ!」


今ので隠形が解け、俺の姿がキングにさらされる。前々から感づいていたようで、俺に向けて槍を投擲してくる。ってこれもアーツなのかよ!?


「うをおおおお!?」


頭が地面に付くくらいに体を反らし、ギリギリのところで槍を回避する。


「ん!」

「ガァァァ!!!」


俺に追撃をかけようとしていたキングだが、そばにいたダートに吹き飛ばされる。いつの間にか、槍はキングの手に戻っていた。


「大丈夫?・・・当たってない?」

「かすっただけでもやられるから、当たってないと思う。っていうか、それどころじゃないぞ」


さっきの攻撃で、一本目のHPが半分削れた。そのせいなのか、続々と増援のゴブリンたちが出てきている。数も編成も最初と同じだけど、これはかなり面倒くさい。


「どうする?さっきと同じ作戦でいくか?」

「厳しい・・・アーツを使う?」

「アーツか...。けっこうMP使うから、温存したかったんだけど、そうも言ってられないな。ガンガン使っていこう」

「ん・・・雑魚は任せて。テルは、キングの相手を」


ダートから、ボスの相手を任されるなんて...。ようやく信用してくれたのかな?


「速攻で倒して応援にいく・・・それまで何とか持ちこたえて」

「あんな奴にやられねぇよ。安心して雑魚を倒してくれ」


ちゃんと信用されるには、まだまだ時間がかかりそうだな。ここで頑張って、信用度を上げてやるか!




ダートを剣に乗せて、雑魚の中に突っ込ませる。その間は、俺一人でキングを抑えなければならない。


「ヒキョウモノメ、イッシュンデツブシテクレル!」


連続で突きを繰り出してくるが、ひょいひょいっと軽く避ける。しょせんは点の攻撃、面積が小さいから簡単に避けられる。当たれば痛いだろうが、スピードはそんなに速くない。


「ガアアア!」


さっそく業を煮やしたのか、アーツを使って突進してくるキング。最初は不意打ちで危なかったが、一度見てしまえばどうということはない!カウンターで、目に矢をくれてやる。


「ウガアァア!!??キサマ、ヨクモオレサマノカオニキズヲ!ゼッタイニユルサン!」


キングは激昂して、ガンガン俺に攻撃を仕掛けてくる。バーサクでもしているのか、スピードも威力も上がっている。だが、ちょっとスピードが上がっただけでは、俺を捉えることは出来ない。

攻撃を避けながら矢を装填し、もう片方の目を撃ち抜く。両目を潰されて、顔を抑えてうずくまるキング。


「メガァァァ、メガアアアァァァ!!!???」


うっさいな...。黙っといて!


「おりゃ!」


立ち上がる前に矢を再装填、チャージと風精霊のフルパワーで轟砲をぶちかます。使用MPは驚きの4割半!喉元目がけてまっすぐに矢は飛んでいき、狙い違わず撃ち抜いた!


「グアアアァァァ!!!???ノドガ、ノドガアアァァァ!!!???」


うーん、苦しそうだ。まあ、喉を撃たれりゃ当然か。


「グウウゥゥゥ...。ヒキョウモノノクセニ、ナマイキナ!タタキツブシテクレル!」


まだ視覚が回復してないようで、矢鱈目鱈槍を振り下ろしてくるキング。おっと危ない、まあ当たるわけないが。

視界の端でダートが雑魚を片付けている。剣から飛び降りて、サークルエッジを前衛三体に繰り出す。それと同時に、飛刃を後衛に向けて飛ばす。飛刃の大きさはクレイモアの時の二倍はあり、後衛の奴らをみんな巻き込んだ。


どうやら雑魚を全滅させたみたいなので、ダートを剣に乗せてこっちに引き返させる。そのまま暴れ回ってるキングに向けて突撃!


「・・・ふん!」

「グアアアアァァァ!!!???」


狂化を使用し、強撃で脇腹を斬り裂くダート。かなり深く入ったようで、一本目のHPバーが吹き飛んだ。あと一本!


「グウウゥゥゥ。オメエラ、デテコイ!」


またもや六体のゴブリンが出てくる。構成も同じだ。こいつら、HPが半分無くなるたびに出てくるのか。めんどくせぇ...。


「ダート、任せた」

「ん・・・すぐに戻ってくる」


再びダートを剣に乗せて、雑魚の中に突っ込ませる。さて、俺も避けましょうか。


さっきと同じような、単調な攻撃しかしないキング。バーサクは続いているから中々の攻撃だとは思うが、エントの複雑なものやゴーレムの威力と比べると、どうしても見劣りする。複数のゴブリンがいたら厄介だと思うが、そのゴブリンたちはちょうど今、ダートに蹴散らされている。こっちに呼び戻すか。いい加減飽きてきたし、ここらで終わりにしましょうか。


「ガアアアア!コレデオワリd...」

「うっさい」


背中をバッサリとキングを斬り下ろす。HPが五割を下回り、すかさずキングが雑魚を呼ぼうとするが、


「そうはさせんよ」


轟砲を口の中にぶち込み、声を出させないようにしておく。キングはウガウガ言っていて、増援は出てこない。うし、押し切れダート!


「そいや」


すんばらばっさん!とキングをダートが斬り捨てる。HPは吹き飛び膝をつくキング。


「ガアァアァァ...。オレガヤラレテモ、ダイニダイサンノオレガアアアアァァァ!!!」


古典的魔王の捨て台詞を吐きながら、崩れていくゴブリンキング。口程にももない奴だったな。


『ゴブリンキングが撃破されました!報酬がパーティーメンバーに入ります!次の街へのルートが開放されます!』


キングの武器片や防具片などの素材と8000エルを入手する。今回は部位破壊はしてないし、初撃破でもないので追加報酬はない。


「これだけ?・・・労力に見合ってない」

「しょうがないだろ、キングの部位破壊出来るところは、武器と防具だったんだから。相性が悪い」


次の街はどんなところだろうな。今までのを見る限り、前のエリアと続いてるみたいだから、平原の街だなきっと。


「気にしてないで、さっさと行くぞ」

「ん・・・納得がいかない」






ゲートを通ると、草原の中の道に立っていた。遠くにテントで形成されている街が見える。あれだな、モンゴルのパオみたいな感じだ。移動するのかな?


道沿いに歩いていき、街の中に入る。全ての建物がテントで出来ているが、所々に檻に入っているモンスターがいる。モンスターが買えるのか、乗ったり一緒に戦ったりできるのかな?後で聞いてみよう。


この街(ビストンというらしい。やっぱりそういうコンセプトだな)のゲートも中央にあり、大きな掲示板の側にあった。数人がそこから出入りしている。なんというか・・・地味だな。ドワールには石像があったし、エルフィには装飾があったぞ。


ゲートを開放し終えたので、いつも通り街の探索を始めた。相も変わらず、ダートは俺についてくる。

いままでは当てもなく見て回っていただけだったが、今回は行きたい場所がある。中央に来る途中に見た、あの檻に入れられていたモンスターのところだ。


「お、冒険者さんだね。モンスターはいかが?」

「えっと、ここには初めて来たんですけど...。こいつらはどういったことに使えるんですか?」

「ああ、ご新規さんだね。バディーアニマルの街、ビストンにようこそ!」

「「バディーアニマル?」」


俺とダートの台詞がハモる。字面からどんなものかは、何となく分かるけど...。思わず聞いてしまった。


「この街一番の名物さ!小さいときからモンスターをちゃんと育てると、飼い主に懐くんだ。レベルが上がるからけっこう強くなるし、乗って移動することも出来る。一体だけしか連れて行けないし、スキル枠を一つ使うけど、買う価値はあるぞ!」

「へー、そんなんがあるんですか...。強さとかはどんなものが指標になっているんですか?」

「そうだな...。強さとは一概にはいえないけど、スキルは親から受け継ぐことが多いな。後天的に得るスキルは別としてだけど。成長の仕方は、プレイヤースタイルによって異なるから、基本的にはスキルを見て選ぶことになるだろうな」


ふむ...。先天的なスキルは、親によって変わる。ステータスはプレイヤーによって変わるから、確かなことはいえない、か。


「先天的に覚えるスキルの中で、特別な物はあるんですか?」

「・・・あるっちゃあるが、今は言えないな。狩ってからのお楽しみってことで」


さすがに教えてもらえないか。どうしようか、金には余裕があるけど...。


「ダートはどうする?」

「買う、絶対買う、猫とか犬を出す、狼や虎でも可」

「お、おう」


モフモフしたいのか、ダート。俺も動物は好きだし、買ってみようかな。


「それじゃあ、どんなのがあるか見せてもらってもいいですか?」

「もちろん!これが配合一覧だよ」


母親と父親が書かれているウィンドウが出てくる。さて、どれにしようかなー?


「・・・」


真剣な顔で、ダートがウィンドウを眺めている。モフモフ系の親が出てくると、さらにジィィィっとウィンドウを凝視する。俺はどんなのにしようかな。モンスター娘とか出てこねぇのかよ...。大好物なのに。


「・・・これにする」


ダートはもう選び終わったようだ。もう金を払い終わって、卵を受け取っている。しばらくしたら孵るそうだ。俺も選んじゃうおう。

母親が鳥で父親が蜥蜴の卵を買う。やっぱりドラゴンには憧れるので、蜥蜴は外せない。早く大きくなってくれよー。


「毎度あり!友達とかにも、この店のことを教えてくれよー!」


店主のおっさんがブンブン手を振っているのを背に、中央に戻る。そういえば、


「ダート、スキルに空きはないよな?どうするんだ」

「大丈夫・・・さっき、合成した」

「マジか!?何が出来たんだ!?」

「狂化+察知+根性で狂戦士と、受け流し+パリィで武器防御・・・これで三つ、空きが出来た」

「バディーを入れでも、まだ二つ空きがあるな。俺も合成出来ないかなー...」


スキルにバディーを入れておく。ここにはレベルが表示されてないので、プレイヤーみたいにレベルが上がるんだろうな。とりあえず、また天火さんのところに戻るか。武器を直してもらって、ポーションと矢を買い足したら・・・新しいエリアにでも行ってみるかな。







「お前ら、よくここに来るな...。他に行く場所、ないのか?」

「・・・そうですね、敵がいるエリア以外には、ここくらいしか来る場所がないですね。もしかして・・・迷惑でした?」


俺は話してて楽しいけど、天火さんはそうとは限らない。これからは自重して...。


「い、いや、そんなことはないぞ!お前らが来てくれるおかげで、勧誘も減ったしな、うん!」

「そ、そうですか。それなら良かったです」


迷惑ではなかったみたいだな、良かった。修復も済んだことだし、新しいエリアに行ってみっか。


「そろそろお暇しますね。これから、北の新エリアに行ってきて、クロスボウの素材を取ってきます」

「そうか。とりあえず、出来るだけ多くの種類の木を取ってきてくれ。少なくてもいい。弦の材料になりそうな素材も、見つけたら持って返ってきてくれよ」

「了解です、ダートは行きたい場所はあるか?」

「どこでもいい・・・けど、エルフィの次はドワールがいい。堅い敵が多そう」

「それも了解。それでは、行ってきます!」

「おう、行ってこい!」


こうして俺とダートは、エルフィ付近の森へと出かけた。どんな木材があるのかなーっと!


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