少年はゴーレムを手に入れる
息抜きに書いた作品を投稿しますので、興味があれば読んでみてください。題名は『モンスター娘ハーレムを作ろう!』です。よくある異世界転移モノで、読んで字の如く主人公がハーレムを作るために頑張る話です
いつも通りログインして、ダートと合流しようとする。だけど、今日はまだログインしていなかった。まあ、毎日入ってるとは限らないんだがな。とりあえず、天火さんとこ行くか。
「あれ、天火さんもいない。どこ行ったんだろ」
まあ、天火さんにも用事があるだろうし、また後で出直そう。それじゃあ・・・何をしようか。
「うーん・・・何でも出来るっていうのも、困りものだな。何をすればいいか分からない」
知り合いなんて、そう多くはないし...。とりあえず、南の方に行ってみるか。
南の門から出て、そのまま歩いていく。南は平原になっているので、遠視で遠くまでよく見える。
確かここでは、ゴブリンが出てくるんだったよな。ゴブリンと言っても、ファイターやメイジなど色んな種類がいる。集団戦闘のいい訓練になりそうだ。
「「「ぎゃぎゃぎゃ!」」」
「うっさいな...」
隠形を使って歩いていると、三体のゴブリンが近づいてきた。とりあえず、戦ってみるか。装備を見た所、ファイター二体にメイジ一体だ。メイジを潰してから、ファイターをやるか。
精霊魔法とチャージを使用し、メイジの目を狙い撃つ。一発でHPが消し飛んだ。フェイターたちが俺に気づくが、ちょっと遅すぎるな。
近づいてくる前に、矢を再装填し一体は潰しておく、これでサシでの勝負。負ける気がしないな。
「ぎゃぎゃあ!」
「ほっと」
ブンブンと振られる剣を躱す。ダートと比べると、どうしても皆の腕が拙く感じてしまうな。こう、剣の速度とか鋭さとか。だってこうして、
「・・・ふっ」
「ぎゃ!?」
柄頭を蹴り上げて、ゴブリンの手から剣を吹き飛ばせるんだから。ダートが相手じゃ到底無理だ。剣の重さとか関係なく。
「そいや!」
「ぎゃふん!?」
喉に蹴りを突き入れ、咳き込むゴブリンの目を蹴り潰す。もんどりうって倒れるゴブリンの頭を、クロスボウで撃ち抜いておしまい。ゴブリン相手なら問題ないな。ここでしばらく、レベル上げでもしようか。
ゴブリンを狩っていると、ピロロロロと電話がかかってきたような音が鳴り始めた。目の前に現れたウィンドウにも、電話のマークと『ダート』って書かれているから、まあ電話なんだろう。
「もしもし」
『あ、テル・・・ごめん、遅れた』
「いや、レベル上げしてたから平気だ。今、どこにいるんだ?」
『天火さんの露店の前・・・武器が出来たみたいだから、テルも来て』
「分かった、すぐ行くから待っててくれ」
『ん・・・』
さてと、ゴーレムはちゃんと出来てるのかな。光眼の効果も気になるし、早く帰らないと!
「おーい、ダート。戻ったぞー」
「テル・・・お帰り」
「お、テル。悪いな、武器を作るのに夢中になってて、さっきまで空けてたんだ」
「別にいいですよ。それで、ゴーレムは出来ました?」
「ああ、出来たぞ。これがそうだ」
そういって、天火さんは巨大な剣を引っ張り出した。ダートのと同じく、確実に2m以上はある。
「これがデータだ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 無骨な大剣 Lv1
種族 剣型ゴーレム
特殊効果 遠隔操作
所有者 テル
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「特殊効果 遠隔操作?これが光眼の効果ですか?」
「そうだな。根っこをこれで操ってたんだろう。所有者はお前になってるから、とりあえず何か命令してみろよ」
「そうですね。じゃあ・・・こっち来てくれ」
『Yes,my master』
ふわっと浮いて、滑るように移動する大剣。え、浮くの?喋るの?
「まあ、ゴーレムだしな。返事くらい出来るし、浮いて移動することだって出来るぞ」
「へー...。遠隔操作ってのは、どうやったら出来るんですか?」
「そいつが振られているのをイメージしろ。その通りに振られるはずだぞ」
イメージか...。んんんん...。
とりあえず、頭の中で剣を縦に振ってみる。すると、ブォン!と剣が一回転した。おお、イメージ通り。イメージ通りなのだが...。
「思ってたより遅いですね...」
「まだレベルが低いからな。上がれば、もっと速くなると思うぞ」
「それに、これ結構集中してイメージしなきゃいけませんね。戦闘しながら使うのは難しいかも..」
「一応、自動で戦闘してくれるんだが...。レベルが低いと使い物にならないからな...。やっぱり、剣型ゴーレムは厳しいのか...。人型にしてみるか?」
「そうですね、ちょっとスキルを見てみます。何か使える物があるかもしれませんし」
スキル選択の画面を開いて、良さげな物がないか探す。うーん・・・お、これはどうだ?
「これなんかどうですか?『分割思考』ってやつです」
「複数の魔法を使う奴が取るスキルだな。けど、かなり扱うのが難しいらしいぞ」
「と言うと?」
「そりゃあ、一つの頭で同時に複数のことを考えるんだから、混乱するだろ」
「まあ、普通そんな器用な真似出来る人なんて・・・Dex極振ってればいけますかね?」
「さ、さあ、どうだろうな?やってみたらどうだ?」
「やってみます。ちょうどさっきレベルが上がったんで、SPも足りてますし」
「レベル・・・幾つ?」
「17」
エルダーエントとストーンゴーレム、さらにゴブリン乱獲でレベルは17になっていた。張り切りました。
「私は16・・・テルばっかり、ずるい」
「ごめんごめん、ダートが来るまで暇だったから。南の方を見ておきたくてな」
「むぅ・・・今度は私もついてくから」
「分かった分かった。その前に、スキル取らせてくれ」
分割思考を取る。レベルが上がれば、思考し易くなるようだ。クロスボウで照準をつけながら、剣の振りをイメージする。ブンと振られる剣。そのまま振り続け、適当な所に矢を射る。再装填し、再びクロスボウを構えた。この間、ずっと剣を降り続けています。
「ふう...。最初はちょっと混乱しましたけど、何とかなりそうですね。相手を視界に入れ続ければ、攻撃し続けられます」
「ちょっと混乱しただけか...。相変わらずだな」
「けど、一度に二つのことくらいな考えられますよね。授業受けながら、晩ご飯何にしようかなー?とか」
前日と似てたら駄目だし、その日の特売とも合わせなければならない。主婦は本当に大変だ。
「まあ、普段からそうしてるなら楽かもな。二つ以上は厳しそうだけどな」
「そうですね。そこは要練習です」
CNWの中でしか練習出来ないがな。ちょっとずつ慣れていこう。
南の平原に向かうのにあたって、新しい移動手段を使うことにした。ゴーレムの上に乗って、飛んで移動してるのだ。そこまで速くないけど、俺たちの歩く速さよりは全然速い。
「テル、これ目立つ・・・さっきから、ジロジロ見られてる」
「我慢しろ、疾きこと風のごとし、だぞ」
速いのはいいのだが、かなり目立って居心地が悪い。出来るだけ人の少ない所を移動しよう。
平原の真ん中辺りで、剣を降りる。ここに来たのは、ゴーレムの石剣の試用とレベル上げのためだ。
「それじゃあ、早速使ってみようか。片手じゃ持てないのか?」
「まだ無理そう・・・もっとレベル上げなきゃ」
両手で石剣を持って、ブンブン振るっているダート。いや、それだけでも充分凄いんだけど。
「「「「ぎゃぎゃぎゃ!」」」」
「お、いたぞ。半分は任せろ」
「ん・・・」
剣を向かわせながら、一体に狙いをつける。ダートはと言うと、
「「ぎゃぎゃ!」」
「・・・ふん」
「「ぎゃぎゃーー!?」」
一振りで二体のゴブリンを吹き飛ばしていた。まさに鬼に金棒、水を得た魚のようだ。
剣型ゴーレムは、ゴブリンの腕を斬り飛ばし、頭に剣を叩き付けている。俺が操作してるんだけど。ゴーレム自身に戦わせるより、俺が操作した方が格段に動きが速かったからな。早くレベルを上げて、自分で戦えるようにしたいな。
「弱い・・・歯ごたえなさ過ぎ」
「ダートならどこに行っても、全部一撃で倒せるだろ」
「それでも・・・強い相手と戦いたい」
「なら、ボスでも倒しに行くか?南の奴はまだ倒してないし」
「・・・もうちょっとレベルを上げてから」
「そうか。じゃ、奥の方に行こう。ここら辺よりは強いからな」
「ん・・・」
奥の方に行くと、ゴブリンナイトやプリーストなる奴らも出てきた。ナイトはVitが高く、プリーストは回復魔法を使うらしいんだけど...。全部一撃だから、よく分からないんだよね。
ダートはもちろんだが、俺だって急所をつけば一発で倒せる。ナイトといっても兜は被ってないし、プリーステスのVitは紙だ。レベルの差だって大きいから、まあ倒せるんだよな。
「つまんない・・・もっといっぱい、モンスター出てこい」
「そんなこといってもな...。これでも、結構倒してる方なんだぞ?」
何しろ、一発当てれば倒せるからな。一戦闘、五分もかからない。ここら一体のモンスターを、狩り尽くす勢いだ。
「レベルも追いついただろ?そろそろボスを倒しに行こうぜ」
「ん・・・そうする」
ボス部屋の前の広場に行くと、多くの人が集まっていた。普通は南を、一番最初にクリアするらしいからな。人が多いのも、当然だろう。
「あ、テルさん。ボス戦ですか?」
背後から聞き慣れた声が、話しかけてくる。この声は...。
「アルンもボス戦か?」
「はい、セイレンさんもいますよ。セイレンさーん!」
アルンが呼ぶと、セイレンが四人の女性を連れてやって来た。女性だけのパーティーなんだな。
「あら、テルじゃない。ボス戦?」
「ああ、そっちもそうらしいな」
「そうね。初めてだから、ちょっと緊張気味ね」
「最初は少し飲まれるけど、セイレンなら問題ないだろ。そちらのメンバーを紹介してくれるか?」
セイレンの背中から、ひょっこりと顔を出す少女。顔立ちは幼いので、多分中学生だろう。
「誰々、この人?もしかして、セイレンさんの彼氏!?」
「こらフレア、失礼だろう。すいません、私の妹が不躾なことを」
「そうよ、フレアちゃん。こういうのは、セイレンちゃんがいないところで...」
「いや、そういう問題じゃないだろ!そういうことを聞くこと自体が失礼だろ!?」
「相変わらず、騒々しいねぇー...。どうにかなんないの?」
「ビスカはいじられ体質だから、どうしようもないわ」
絶え間なく話が続いて、入る機会を失ってしまった。女の子がいっぱいいるからか、周りの視線が集まってるような気がする。
「えっと...」
「悪いわね、テル。こういうメンバーなのよ」
「・・・にぎやかでいいな」
「いい意味でも、悪い意味でもね」
さっきの中学生が、俺のほうにやってくる。ダートは、セイレンが来たところで俺の後ろに隠れていた。
「こんにちは、フレアって言います!あっちの剣士が、ビスカお姉ちゃんです!」
「よろしく、あなたがテルさんか...。アルンから話は聞いてるよ」
フレアはショートカットの元気っ娘、短剣と弓でスカウトのような軽装だ。ビスカは後ろで結ってる真面目さんって感じで、片手剣と盾を装備している。
「アルンから?ってことは、同級生?」
「ああ、中学から一緒なんだ。義兄が出来ると聞いて心配してたんだが、これなら大丈夫そうだな」
なんか一人で納得しているビスカ。どうやらお眼鏡に適ったらしい。
「どこかの小姑みたいよ、ビスカちゃん。あ、私はハイリアよ。このパーティーの、回復担当ってことになるのかしら?よろしくね」
「私はフェルト。魔法攻撃と妨害をやってる。よろよろー」
一気にたくさん人が出てきて、覚え切れるかどうか分からん。後でどこかにメモっとこう。
「そんじゃあ、今度はそっちの番だな。その隠れている奴も、紹介してくれよねー?」
「分かってますよ。えっと、皆さんご存知だとは思いますが、俺がテルです。使用武器はクロスボウ、主に援護を担当してますね。んで、こっちが...」
「・・・ダート。剣を使う。・・・攻撃と壁担当」
相変わらず、人見知りするな。天火さんときもそうだったけど、少しはなんとかならないものかね...。
「ふーん・・・他のメンバーは、今はいないのか?」
「いや、俺たち二人だけだぞ」
「・・・え?いや、そんなわけはないだろう。聞けば、北や東のボスを倒したんだろう?」
「そうだよ。俺たち二人で倒した」
「本当ですか!?え、どうやって!?どうやって倒したんですか!?」
フレアがめっちゃ食いついてくる。そう簡単に出来ることじゃないみたいだし、当然ちゃあ当然か。
「ダートが前で攻撃を防いで、俺が撃ち続ける。隙が出来たら、総攻撃って感じかな?」
「すごいわねー。私たちも倒してみたいわー」
「そのうちにな。もうちょっとレベルを上げて、いい魔法が出たらだけど」
「その前に、ここのボス戦だよ!ここと北のボスを倒してから、東のボスに挑むんだよ!」
アルンがリーダーらしく、みんなをまとめている。そこにセイレンが来て、
「南のボスはゴブリンキングよ。攻撃は単調だけど威力は高い、雑魚の取り巻きにも注意しなきゃいけないわ」
ボスの情報を簡潔に伝える。サブリーダー的なポジションなのか、誰が何をするかなどを細かく伝えている。
「俺たちも行こうか。今ならすぐに入れそうだしな。雑魚は俺とゴーレムに任せろ」
「ん・・・キングだけ狙う。雑魚を倒し終わったら?」
「隠形で急所をねらう。多分、目を撃つと思うぞ」
「了解・・・キングが気の毒」
アルンたちはまだ話し合っているので、お先に倒させてもらうことにする。声くらいはかけておくか。
「アルン、先にやってるぞ。そっちも頑張ってな!」
「え、先に行くの!?が、頑張ってね!」
俺はダートと、平原にそびえ立つ扉の中に入る。さてと、気張ってきましょうか!