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少年は再婚相手と出会う

こんにちは、いっくいくです。二作目の投稿になります。

前はファンタジーだったため、SFはまだちょっと慣れてません。VRMMOってだけでSFにしたので。お見苦しい駄文でありますが、どうかよろしくお願いします。


「なあ、孝昭。お前前からVR機を欲しがってたよな。ちょうど金の都合がついたから、今日買ったんだよ」

「・・・へえ。あれだけ渋ってたくせに、急にどうしたの?」


夕食の時、突然親父がこんなことを言い出した。どんな風の吹き回しだろう。


「いやまあその...。・・・俺、再婚することになったんだ」

「・・・へえ」

「内緒にしてたんじゃない、もっと早く言おうとしてたんだぞ!ただ機会がなくてな...」

「何でそんなに焦ってんの。怒ってないから」

「だってお前マザコンじゃないか!」

「マザコンじゃない。ファザコンでもない」

「そこはファザコンだと言ってほしかったな...」


みそ汁を飲む。まったく、人を何だと思ってたんだか。・・・マザコンか。


「まあそれは置いといて。相手にも子供がいて、その子たちもVR機を欲しがってたんだ。だから、再婚記念に買おうかなって」

「ふーん。でも、俺まだお相手に会ったことないよ。子供もいるなら、会っといたほうがいいんじゃない?」

「おう、分かってる。明日の夜に一緒に食事するぞ」

「・・・ずいぶんと急な話だね」

「あれ、言ってなかったか?・・・あー、そういえば昨日言おうとしてたんだけど、眠くて寝ちゃったんだな」


昨日でもけっこう急だよ...。まあ、心の準備だけだからそんなに問題ないか。


「そ、そういうわけだから、明日は晩ご飯を作んなくていいぞ」

「了解。それで、お相手のお子さんは何人?」

「二人で兄妹だ。義妹だぞ。嬉しいだろ」

「・・・うん、うれしーなー」

「うわー、すごい棒読みだー」


義兄に義妹か...。上手く付き合っていけるかな...。






そんなわけで翌日。ちょっと離れた小洒落た店で、俺は親父の再婚相手に会っていた。


「こんばんわ、孝昭君。私が孝博さんの再婚相手の、里見智美です。よろしくね」

「あ、はい。よろしくお願いします...」


智美さんは、腰にとどきそうな長い黒髪の美人さんだった。少し天然っぽい、おっとりとした人だ。


「何だ、孝昭。緊張してるのか」

「まあ、しょうがないわよ。いきなり現れた人が新しい母親なんて、信じられないでしょうし」


俯きながら智美さんがつぶやく。信じられないって、昨日聞いたんだけどな。


「その、孝昭君。正直に答えてね。私が母親になるのは嫌?」

「・・・そんなことないですよ。俺は気にしません」


俺がどうこう言うような話でもないしな。親父には幸せになって欲しいし。


「そう...。ありがとう、孝昭君」

「・・・それじゃあ、智美のほうの子も紹介してもらおうかな。じゃあ、信也から」


智美さんの横に座ってる男が俺のほうを向く。少し茶髪の精悍な男だ。


「俺は里見信也。高三だから、義兄になるのかな。よろしく」

「よろしく」


差し出して来た手を握って、握手をする。爽やかな好青年然な人だ。


「前から弟が欲しかったんだよなー!いやー、嬉しいなー」

「そうだったのか。孝昭はどうだ?」

「考えたことなかったな。強いて言えば、妹かな?」

「そりゃあ良かったな!念願の義妹だぞ!」


信也さんの隣に座っている女の子を見る。ひとまとめにした髪を右肩から下ろしている、おとなしそうな娘だ。どことなく智美さんに似ている。


「え、えっとそのその...。さ、里見仁美です...。趣味は本を読んだり、ネットサーフィンすることです...」


緊張しているのか、少しどもりながら話す仁美さん。頬を染めてるのが可愛らしい。


「親父が変なこと言うから、緊張しちゃったじゃないか」

「え、そう!?ごめんね、変なこと言って」

「いえ、そういうことじゃなくて!わ、私が緊張しやすいだけですから!」


まったく...。ちゃんと気を使ってあげなきゃいけないのに...。俺からもフォローしとくか。


「えっと...。智美さんじゃないが、急に家族が増えるって言われて戸惑ってると思う。慣れないうちは嫌かもしれないけど...」

「い、嫌なんかじゃないです!家族が増えるのは嬉しいですし、兄なら慣れてますから!嫌なところも含めて!」

「嫌なところって...。俺、変なことしたかな...?」


信也さんが凹んでいる。無自覚だから、怒るに怒れないな...。


「だから、孝昭さんも気にしないでください!むしろ、私が迷惑かけちゃうかもですし...」

「それなら平気だよ。それが、家族ってもんだろうしな」

「・・・はい。これからよろしくお願いします」


智美さんたちは、全員再婚に好意的みたいだな。良かった。俺のせいで渋られちゃあ、親父に会わす顔がない。


「いいこと言うなー。誰の受け売りだ?もしかして、俺...」

「漫画だよ」

「そこは嘘でも、俺だと言って欲しかった!」





食事を済ませてお茶を飲んでいる時、親父がVR機のことを切り出した。


「ああそうだ。孝昭には言ったんだけど、再婚祝いにVR機を買うことにしたんだ。智美に欲しがってるって聞いたからな」

「「ほんとですか!?」」


ガタガタッ!と二人が立ち上がる。あまりの勢いに、机に置いてあるティーカップがカタカタッ!と揺れた。


「あ...!ご、ごめんなさい!」

「よっしゃー!!!お年玉全部使っちゃおうと思ってたんですよ!」


仁美さんは立ち上がった後、俺を見てすぐに座ったが、信也さんは踊りだしそうな喜びようだ。ゲーム好きなのかな?


「ゲーム好きなの?」

「ああ!もうすぐ『Come on New World!』ってオンゲが発売されるだろ?あれがずっとやりたいんだよ!テストに外れちゃってなー。なあ仁美」

「え!?・・・わ、私はそこまで...」

「え!?あんなに楽しみに...」

「わ、私のことはいいから!CNWについて説明してあげれば?」

「ああ、それなら俺も知ってる。評判いいからな。VR機買ってもらえたら、やろうと思ってたし」


略称はCNWなんだ。頭文字取っただけ。


「そうなのか!どんなスキルを取るかは決めてるのか?」

「いや、まだVR機を買えるかどうかも分かんなかったし...。よく知らないな」

「そうかそうか!じゃあ俺と仁美で詳しく教えてやるよ!」

「あ、仁美さんもやるの?」

「えっと...。まあ、嗜む程度には...」

「何嘘ついてんだよ」

「嘘じゃない!ちょっとこっち来て!」

「ちょ、おい!引っ張んなよ!」


仁美さんが信也さんを引っ張っていく。仲いいなー。


「相変わらず仲のいい兄妹だな」

「そうだね。何を話にいったんだろう?」

「ふふふ。まあ色々あるみたいね。そうだ、孝昭君のこと、聞かせてくれるかしら?」

「いいですよ。何から話しましょうか」

「そうねー...。じゃあ・・・」





所変わって、引っ張られていった信也と仁美。トイレの前まで行って、ようやく手を離す仁美。


「痛たたた...。いきなりなにするんだよ、仁美」

「家を出るときに言ったでしょ!私がその・・・オタクだってことは言わないでって!」

「・・・ああ、言ってたな。でも、ゲームぐらいオタクじゃなくてもやるだろ」

「それでも!疑われるようなことは避けたいの!」


仁美は怒り心頭といった様子だ。いわゆる、激おこあたりの怒り具合だろう。


「分かった、気をつけるよ。でも、これから一緒に暮らすんだ。いつまでも隠しておけるとは思えないな」

「・・・そのくらい分かってる。落ち着いたら絶対話すから、それまでは...」

「それがいいだろうな。俺は話しても平気だと思うけどなー」

「・・・嫌われたくないの。いいから私に任せて」

「はいはい。待たせると悪い。もう戻ろう」






智美さんに学校のことを話していると、二人が戻ってきた。


「戻って来たわね。二人で何してたの?」

「な、何でもないよ!兄さんが変なこと言わないように、釘を刺してただけ」

「言わないっての。まったく...」


二人が席に座る。すると親父が、


「そんじゃ二人も戻って来たことだし、引っ越しのことについて言っておこうか」

「引っ越し?俺たちが智美さんたちのほうに?」

「いや、智美たちが俺たちの家に越してくるんだ。二つ部屋が余ってただろ」

「智美さんは?」

「私は孝博さんと同じ部屋よ」


そういえば、あそこは親父と母さんの部屋だったな。


「確か余ってた部屋は、物置になってた。明日、大掃除しなきゃ」

「俺たちも手伝ったほうが良いか?」

「いや、大丈夫だ。その後の引っ越しの準備をしといてくれ」

「すいません、手伝えなくて...。俺がやんなきゃいけないのに...」

「・・・孝昭君。私たちはもう家族になるわ。敬語は止めにしましょう。ね?」

「・・・うん、分かった。・・・兄貴と仁美もよろしく」

「ああ、よろしくな。それにしても・・・兄貴って響きいいなー」

「よ、よろしくお願いします...」


そうして、俺たちは家族になった。





物置を掃除した後、自分の部屋に戻ってきたときのこと。入り口に立って、全体を見渡してみる。

扉から向かって左にベッド。接している壁には窓がある。向かって右には机と本棚。机にはノートパソコンが置いてある。ここまでは問題ない。問題はここからだ。


机に備え付けられている棚には、数個のねんどろと幾つものゲームソフトが置いてある。ここにあるのはよくやるやつで、キャビネットにもっと入っている。

本棚の半分は参考書や普通・・・の本が入ってるが、もう半分はラノベやマンガ。これを見た年頃の女の子が何を思うかは、考える必要もないだろう。


「やっぱ、こうもあっぴろけにされると嫌だよな。・・・見えないところに移しておくか」


ラノベとマンガを、ダンボールに入れていく。慣れるまでは隠しておいたほうがいいよな、やっぱり。ちょっとずつ増やしていって、慣らしていこう。






無事に引越しが終わった数日後の日曜。二人にスキルの説明を受けることにした。武器によって取るスキルが違うらしいので、武器だけは決めておいた。当然ちゃあ当然だな。


「それじゃあ、スキルについて説明するぞ。世界観とかは、後で自分で公式サイトで見てくれ」

「了解」

「よし、じゃあどんな武器が使いたいんだ?」

「その前に、二人は何を使うことにしてるのか聞いてもいい?」

「そういえば、まだ言ってなかったな。俺は槍だな。盾は持たない」

「私は刀。カッコいいし、使い易いみたいだから」


ふむふむ、二人とも近接なのか。被ってなくてよかった。


「それで、孝昭さんは何にしたの?あ、もしかして生産系?」

「いや、戦闘系だよ。俺はクロスボウにしてみようかなーって思ってるんだけど...」

「「・・・」」


あれ?固まった。マズいのか?


「クロスボウかー...。また微妙なのを選んだなー...」

「えっと、どういうこと?」

「うーん...。なんでクロスボウにしたの?なんで弓じゃないの?」

「弓なんて使ったことないからな。上手く扱えるとは思えない。その分、クロスボウは扱いやすそうだし、機械仕掛けだから威力も高そうだし。難点は連射性の低さと、射程距離か。世界史の教科書に、短弓相手に射程で負けたってあったしな」

「そこまで考えてるんだ...。欠点もほとんど合ってるし...」


ん?ほとんどってことは、まだあるのか?


「他にも欠点があるの?」

「ああ、それが一番の欠点だな。ゲームらしい欠点だ」

「ゲームらしい?」

「何かというと・・・ダメージにステータス補正がかからないってことだ」

「ステータス補正?それって、STRとかINTとかの数値がダメージに反映されないってこと?」

「そういうこと。孝昭が言った通り武器自体の威力は高いんだけど、ステータス補正が入らないから、与えられるダメージが少ないんだ」


そうなのか...。まあ、変える気はないけど。かっこいいからし、クロスボウ。


「それでどうするの?他の武器にする?」

「いや、クロスボウでいくよ。威力が低くかったり射程が短かったり連射出来ないなら、スキルで補えばいいしな」

「そうだな。好きな武器を使ったほうがいいし、威力を上げるスキルだって沢山ある。柔らかい所を狙ってけば、ダメージも上がる。なんとかなるだろ」

「そうだね。改善されるかもしれないし、強いクロスボウが出るかもしれないし。途中で変えることだって出来るしね」


これで俺の武器は決まった。後はスキルとステータスの構成を決めるだけだな。


「スキルは多いから、見ながら決めたほうが良いだろ。仁美、パソコン持って来てくれ」






仁美がノパソを持って来て、まとめサイトのスキル一覧というところを開く。ズラァーーーーっとスキルが並んでいる。


「うっわー...。この中からピックアップしてくのか...」

「一つ見せたいやつがあるんだ。えっと・・・あった。これこれ」


兄貴が指差したのは、『精霊魔法』という魔法系のスキルだった。


「精霊か。強そうだな」

「ところがどっこい。こいつはあんまり好かれていない」

「どうして?皆好きだろ、精霊」

「うん、βテストのときは人気だったよ。けど、実際使ってみると中々酷いものだったんだよ。けっこうMP喰うくせに、最初に出来ることは火を出したり水を出したり、少し動きを速めることくらい。育てればMP効率が良くなって、多少は使い物のになるけど、それでも普通に魔法を使ったほうが強くって、人気がなくなっていったんだ」

「そ、そうなのか。じゃあ、何で兄貴はこれをすすめたんだ?」

「今仁美が言って中に、動きを速めるってのがあったろ?それを矢に使ったらいいんじゃないかなって。軽い物なら少しのMPで済むだろうしな」


重さによって必要なMPが変わるのか。それなら確かに良さそうだな。速さが上がれば威力が上がるし射程ものびる。βテストではあまり育てられなかったんだろうけど、俺ならもっと育てられる。まだ強くなる可能性はあるんだ。取るだけの価値はあるな。


「んじゃ、それもらい!あと何個取れるんだっけ?」

「最初は全部で五つ取れて、武器と精霊魔法は取るから残り三つだ。なんか必要そうなのはあるか?」

「遠くを見るスキルが欲しいな。遠くから狙えるように」

「それなら遠視がいいと思うよ。近くの物が見えにくくなるけど、遠くの物がよく見えるようになるスキル」

「それも取っとこう。後二つもさっさと決めちゃおうか」




残りのスキルが決まるのは早かった。一つはチャージ。数秒の溜めの後、強い攻撃を放つスキル。使い勝手が良く、人気のスキルらしい。もう一つはMP消費減。スキルに使うMPを減らすスキルだ。沢山スキルを使わないと、中々倒せなさそうだからな。


「これで全部決まったな。それじゃあ、三日後のゲーム開始を待つか!」

「そうだね。楽しみだなー」

「ああ、クロスボウで下克上だ。弓の奴らを見返してやる!」

「すっごく闘志を燃やしてる!?クロスボウが弱いってわけじゃないんだよ!」


三日後が楽しみだ。そういえば、あいつらもCNWをやるんだったな。手に入れたことと、経緯でも説明しとくか。





極振ってる人たちは、ちょっと後になったら出てきます。

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