拾う(ラグルside)
『出会い』の前半、ラグルsideです
森を散歩していた俺が、ソレを見つけたのは、全く運が良かったと思う。
泊まっていた宿屋を抜け出し、煩わしい視線の無い場所を求め、森を見つけ、服を隠して四つ足になり、朝の空気の中を駆けた。
ふと、気になる感覚を受けて、そちらに向かい、俺はソレを見つけたのだ。
近くに投げ出された袋をよけ、俺はソレに近付く。
ソレは、甘い匂いはしなかったが、清涼で病の時にも気にならない、むしろ良くなりそうな匂いがした。
鼻先でソレをつついてみる。
ソレはどうやら、意識を失っている様だ。
うつ伏せ状態だったのを、ひっくり返してみる。
額から、血の香り。
どうやら、ソレは額を強か打ち付け、気絶したようだ。
まぁ、呼吸の状態などから察するに、異常は無さそうだ。
俺は額を舐め、傷をふさいだ。
ソレの血は、他のイキモノより、甘い味がしたように、俺は感じた。
ソレは、人間で、多分女だった。別に性別はどちらでも構わないんだ。
重要なのは、ソレが俺が探していたモノだった、という事だ。
何故ここに落ちているのかは、わからない。
だけど、俺は有り難くソレを拾って帰る事に決めた。
帰り道の途中。
ソレが俺の体の上で目を覚まし、俺の毛皮を撫でたのを感じ、声をかける。
背中からソレを下ろして、さらに語りかけようとした。
緑の宝石の様な瞳に、魅了される。
ああ、やっぱりソレは俺が求めていたモノだったのだ。
胸が昂った所で、ソレが再び気絶してしまい、俺は焦った。
結局、ソレの声を聞けないままに、俺はまた、宿屋へと道を急ぐのだった。




