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ケモノと私  作者: 鵺琉
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喪失(ラグルside)

『路地裏にて』のラグルside。


これにてラグルさんside終了。結局、リズちゃんと同じ位の長さになった…という。


お気に入りが200を越えてしまいました(ガクブル)

感覚を頼りに、リズを探す。


半日で覚えた、リズの気配。


そう遠くに行ってないのに、俺は今すぐリズを捕まえなければ …と焦る。


怖れていた時が、差し迫っている。


リズが、…リズが、行ってしまう。


そんなの、嫌だ。


ダメだ、俺から離れるなんて。


許さない、赦せない。


覗き込んだのは、便所の脇の路地裏。


路地の終着点に、華奢な背中を見つけ、ひとまず安堵した。


「なにしてんだ、リズ」


ビクリとした後、リズが、振り向く。


壁を背にしたリズを見て、俺はあの背中に良くないモノが隠されたと感じる。


一足飛びにリズの前まで行き、両腕をリズの脇に置く。


だけど、焦りは消えない。何故か、捕まえたハズのリズが、壁をすり抜けて、消えて仕舞いそうだ。


駆り立てられる、警鐘が消えない。


何故、リズは逃げようとするんだ。


逃がさない。


リズは俺のモノだ。


森で拾ったのは、俺だ。


だから、リズは俺のモノだ、絶対。


リズ、リズ、リズ…。


俺の内は、リズで一杯になる。


その唇を狙い、顔を近付ける。


リズを捕まえんと、壁から手を離し、リズに手を伸ばす。


リズが、体をよじりながら、壁にその身を押し付ける。


壁のお陰でリズは、それ以上逃げられない。


だけど、何故か壁のせいで、リズに逃げられる様な気がして仕方無い。


リズが、言葉を紡ぐ。


「さよなら、ラグルさん」一番聴きたくないコトバ。


そのコトバの後に紡がれた、俺には聞き取れない言葉。



それが、リズを連れていってしまった。


慌てて伸ばした俺の手は、空を掴む。


目の前の壁に浮かんだ不思議な模様は、リズが消える瞬間に光を放ち消滅した。


リズの居た証拠すら残らなかったのだ。


後には、何の変哲もない路地裏の壁と、喪失に苛まれ始めた俺が残された。


…忌々しい壁だ。

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