焦燥(ラグルside)
『露店にて』ラグルside。
『路地裏にて』まで、まとめて書きたかったけど、無理でした…
町の商店の並ぶ通りをそぞろ歩く。
何故か、俺から距離を取りたがるリズ。
彼女の気を惹けるモノは無いかと、リズを捕獲しながら、気になった方に片っ端から行ってみる。
結果、惨敗中。
返って来るのは、気の無い返事。
『そうですね』『良いですね』『はぁ』がループしてれば、誰でも気付く。
なんとか話題を考えても、結果は同じ。
若い女に受けそうな、仕立屋も、甘い菓子も、可愛い雑貨も、リズは殆ど興味を示さなかった。
捕捉すると、食べ物だけは興味があった様で、安い半端モノの菓子を一袋物欲しげにしていた。
俺が買ってやると言った菓子(一粒がやけに高い、チョコという希少な果実を使った菓子)には、見向きもしなかった。
もちろん、半端の菓子も買ってやると言ったが、やはり断られた。
ならばと、宝石の付いたアクセサリーを見せてみたが、結果はほとんど変わらず。
「あ、綺麗ですね」
その言葉に、感情がこもっていない事など、やはり誰にでもすぐ知れた。
最終的に、俺はいい加減諦めて、リズの意見は聞かずに、リズを飾る事にしてみた。
だが、それも、リズの『理由がない』で止められ、俺はだいぶ苛々していた。
意見を聞かない様にしようとしても、目に見えて機嫌が悪くなるので躊躇せずにはいられない。
何とか俺と一緒に居たいと思う様にしなければ、リズは俺を残して去って行ってしまう。
辺りは、いつの間にか薄暗くなり、店も、今見ているそう高くない品がならぶ露店で最後。
今までの様子から、リズは高級なモノは喜ばない。
ふと、俺の瞳と似た色の石が付いた、ネックレスに目が止まる。
「ほら、これなんてどうだ?」
最初は渋っていたリズだが、途中から、何故か乗り気になった。
その不自然な態度を深く考えず、ようやくリズが贈り物を受け取る気になったのかと、浮かれた。
リズの気が変わらない内に会計をしようとしたところ、便所に行くとリズが言い出した。
確かに、しばらく行ってない。俺も後で行くかな。
便所は目の届く所にあり、ギリギリ俺の知覚範囲内だ。リズが、逃げ出そうとしても、余裕で捕まえられる。
リズがそのまま、便所に向かいだしたので、俺は会計のため、店員を呼ぶ。
対応は女の店員で、会計の前に俺にとってはどうでも良いこと(つまり俺の容姿が原因なのだが)を言い出す。
何時もの事だが、今は特に煩わしい。
だが、邪険にもできず、適当に相手する。
いい加減ウンザリだ。
…と、ふと俺の琴線に障るもの。
焦燥感が俺を焼く。
リズ!
「やっぱ、それ要らねー!」
言って、俺はその場を後にした。




