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アルステナの箱庭~仮想世界で自由に~  作者: 神楽 弓楽
一章 始まりの4日間
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10話 「門番に職務質問された」


――『始まりの町』西門



 まだ初日のせいか西門に面した大通りにいるプレイヤーはごく少数だった。露店を開いているプレイヤーも北の大通りに集中していて、西の大通りではちらほらとNPCの店が開いているぐらいだった。


 そんな過疎状態の西門の前で、門番を務めている衛兵に話しかけられているプレイヤーの姿があった。


 使い込まれた金属の鈍い輝きを放っているフルプレイトアーマーを着込んだNPCの門番は、そのプレイヤーに対して腰に差した剣に手をかけて警戒しているようだった。穏やかな雰囲気ではなかった。


 門番に警戒されているプレイヤーの肩には鼠型のモンスターである「ククトリス」が乗っていた。



 それが門番を務める衛兵が警戒する原因であった。




◆◇◆◇◆◇◆




「おい、そこの冒険者! お前の肩にいるのはモンスターではないか! 」


「え? 冒険者って俺のことか? 」


「お前のことに決まっているだろう! お前は何故モンスターを連れてきている! 」


「モンスター? もしかしてクリスのことか? 」


「きゅ? 」


「そうだ。そのモンスターのことだ! 」


「何故連れてきているって言われても………仲間だから? 」


 トウリが何故門番がそんなに警戒しているのか理解できず首を傾げた。その返答に門番は困惑する。


「な、仲間だと? ………それはひょっとするとテイムモンスターなのか? 」


 しばし考え込んだ門番がトウリにそう尋ねてきた。


「テイムモンスター? ああ、そんなこと言ってたっけ。そう、それそれ」


「なるほど……テイムモンスターか。それなら森のモンスターを連れているのも納得できる」


 腰の剣の柄を握っていた手が離れる。理由が分かり門番の警戒が解かれたようだった。


 場合によっては斬り捨てられる危険があった危ない場面だったのだが、当の本人にその自覚は皆無といってよかった。今一事態を理解できていないトウリは、肩に乗っているクリスとそろって小首を傾げて頭の上に疑問符を浮かべていた。



「すまないが、確認のために一度テイムモンスターを仕舞ってみてはくれないか? 」


 門番は、急に丁寧な言葉遣いでトウリに話しかけてきた。先程までが不審人物に対する口調であり、本来はこちらが当たり前なのだろうと思わせる自然な切り替えだった。

 


「えっ? しまう? ど、どこにしまうんだ? 」


 言われた意味が分からないトウリは思わず聞き返してしまった。


「……もしかして、そのモンスターが初めてか? 」


「はい。まぁ」


「……なるほど。だから、ここを出ていった時には連れていなかったのだな。よくテイムモンスターのことの知識もなしに仲間に出来たものだ……。私が知る限りだとメニュー欄の中に新たに「テイムモンスター」と書かれた項目が追加された筈だ」


 門番にそう言われてトウリはメニューを開いて確認してみる。


「あ、確かにありました」


「では、それを開けばそこにテイムモンスターの名前が出るはずだ。名前の部分に触れれば、そのモンスターの詳細が出てくるだろう」


 門番に言われるままにトウリは、テイムモンスターの項目を開いて『KURISU』と書かれた名前を押した。



KURISU(クリス)

モンスター名/ククトリス


スキル

【爪LV2】【噛むLV2】【口撃LV4】


収納しますか?Y/N



「へぇー、モンスターにもスキルあるんだ」


 モンスターにまでスキルがあったことを知ってトウリは少し驚く。


「でたか? 」


「えっ? あっ、はい。でました。この収納を押せばいいのか? 」


「そうだ」


 トウリは、YESを押した。

 すると、肩に乗っていたクリスが光り輝き無数の光の粒子へと変わって、開いていたウィンドウの中に吸い込まれるように消えていった。


「よし。確かにお前のテイムモンスターだということを確認した。

 テイムモンスターを出したい場合は、『取り出す』を押せば出せるはずだ。ただし、一度HPが0になると再びHPが満タンになるまで自然回復するか、宿で一度休まないと取り出すことができない筈だから気をつけろ。

 テイムモンスターのHPを回復させるなら収納した方が、自然回復量は多いと聞く。傷ついたら小まめに収納して回復させてやるといい」


 


 その後も門番は、何も知らないトウリにテイムモンスターについて親切にも色々と教えた。


「お前のテイムモンスターについては後で私が同僚に伝えておく。今後はテイムモンスターを出したまま街に入ってきても問題ない」


 最後にそういった気遣いまでしてくれた門番にトウリが礼を言うと、門番は「これも仕事のうちだ」と言って自らの職務へと戻った。



「親切な門番だったな」


 門番の後姿を見るトウリは、そう思った。





KURISU

モンスター名/ククトリス


スキル

【爪LV2】【噛むLV2】【口撃LV4】


取り出すことが可能です。取り出しますか?Y/N





 門番が去った後にクリスの詳細画面を確認すると、門番が話していた通りに『収納』と書かれていたのが『取り出す』に変わっていた。

 トウリがYESを押すと、画面から淡く輝く光球が現れてふよふよと宙を漂って地面の上で弾けた。光球から弾けた無数の光の粒子は集束していき、それが治まるとそこにはクリスの姿があった。


 クリスは首をフルフルと振った後、周りをキョロキョロと見回した。

 そして、トウリに気付くと上目づかいに見つめた後、トウリの足を駆け上がって肩まで登ってきた。トウリの肩はいつの間にかクリスの定位置になっていた。トウリはアイテムボックスから木の実を5つほど出してクリスに与えた。

 クリスはそれを口の中に頬張った。


 ふとメニューの時計を見ると『00:17』になっていた。西門につく前に確認した時は、11時の56分ぐらいだったので、それから20分程時間が経っていた。


「あの門番の話を聞いてたら結構時間が経ってたな。そろそろログアウトして寝ようかな? 」


 クリスをひとしきり撫でて堪能した後、トウリはクリスを収納してログアウトした。




クエスト

clear!『タックスから料理の基本を教われ!』――NEW!

clear!『門番にテイムモンスターだと証明しろ!』――NEW!


称号

【見習いテイマー】

・クエストについて

SMOにはクエストが存在していますが、クエスト発生を知らせる機能がないためわざわざメニュー欄を開いて確認しないと分からない。

その為、知らない内に出てきたクエストに成功していたり失敗していたりすることがある。


運営としては、できるだけ自然な形でクエストを進めて欲しいという考えからクエスト発生を知らせる機能を作らなかったので、今後もそのまま変わらない予定である


クエストの内容は、モンスターの討伐や素材集めから、年を取った老人NPCの看護まで多岐に渡る。また特定のクエストをクリアすることによって得られる称号などもある。


【見習いテイムマスター】

テイム成功率に微補正

友好値の上昇率微UP


指摘・感想どしどしお願いします。

同時更新されている『ハチャメチャ!!』も機会があれば見てみてください



2/23 14/8/09 17/03/03 17/03/30

改稿しました。


称号の【見習いテイムマスター】→【見習いテイマー】に変更しました。


以降の話でも変更していく予定ですので、見落としがあった場合指摘してもらえると助かります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 後書きが見習いテイムマスターのままになっている [一言] 応援してます 頑張ってください
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