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第二話 お母さんは動物が好き

 私と相棒が買われて行ったこのお家、伊藤さんと言うんだけど、実はお母さんがとっても動物好きかつ、凝り性だとすぐに分かった。

 お母さんの名前は、美智子さん。

 今年、三十路の大台に乗るのと、お腹のお肉を気にしている丸いお顔の元気な人だ。

 お家には既に先住ペット、60センチ水槽・『金魚軍団』&30センチ水槽・『オカヤドカリ一座』がいて、どちらの水槽も、2F居間の南向きの出窓前に置かれたスチールラックの上に設置されていた。

 そこに、私たちの20センチ・プラケースも並んで置かれることになった。

 向かって左から、金魚→オカヤドカリ→ミドリガメ(私たち)の順番。

 取り敢えず、水槽の設置場所を決めると、お母さんは居間の隅にあるパソコンデスクの前にどっかりと座り、インターネットで『ミドリガメの飼い方』を検索し始めた。

 その様子を、二人の娘達が興味津々の様子で見つめている。

 ツインテールの小さい方女の子は『みーちゃん』こと、伊藤美菜いとうみなちゃん。五歳になったばかりの、ちょっときかん坊さん。

 おかっぱの大きい方の女の子は『里美お姉ちゃん』こと、伊藤里美いとうさとみちゃん。小学三年生のしっかり者。

 後は、仕事が自営業でほとんどお家にいない『お父さん』こと、伊藤政志いとうまさしさんを加えた四人が、ここの家族。

 あ、子供達と一緒にホームセンターに来たおばあちゃんは、お母さんのお母さんで、スープの冷めない距離の近所に住んでいる。


「あらら。なんだか飼育器具がもっといるみたいよ」

 熱心にパソコンの画面を見つめていた美智子お母さんが、びっくりしたように顔を上げた。

「飼育器具?」

 みーちゃんと里美お姉ちゃんが顔を見合わせる。

 そうそう。私たちって、沢山飼育器具要るのよ、ホントは。 

 私たち亀は『外気温動物』。 つまり自分で体温調節が出来ないから、温度が高すぎても低すぎても生きていけない。

 10度以下になると動けなくなって、食べたものも消化出来ない。だから、自然では私たちは冬眠して寒さをしのぐの。

 逆に、35度以上、そうね……40度位になると天国直行になっちゃうわね。

 ぶるる……。『茹で亀』なんて死に方、ぞっとしない。

 今は七月、温かい季節だから、設備的にはそうね、保温ライト・紫外線ライト・水温計、後は、『陸場』なる石やレンガ。

 こんな所かな?

 まあ、水温計やレンガなんかは何百円で買えるけど、問題はライト関係。

 保温ライトは、二、三千円くらい。

 で、問題は紫外線ライト。は虫類ライトとも言う。

 これが異常に高い。まず『ライトカバー』と『タマ』それぞれ四、五千円はする。

 セットでなんと一万円!

 どうよ? 信じられる?

 言いたくは無いけど、ライトだけで私たちの値段の三十倍。

 これがどういう事かと言うと、とても子供のお小遣いでカバーできる金額じゃ無いって事。

 私が『子供に買われたく無いなぁ』と思った所以はそこら辺の事情があるから。

「ホームセンターに買い出しに行きますか。本屋さんで、飼育書も一冊欲しいわね」

 そう言ってパソコンの電源を切ると、美智子お母さんは張り切って『亀さん飼育グッツ買い出しツアー』のプランを練り出した。

 メモ帳にあれこれ書き出している。

「こんなものかな? んじゃ、行くよー二人とも!」

「うん! 行く行く!」

 みーちゃんも里美お姉ちゃんも嬉しそう。子供って、お買い物好きだものね。

 三人とも、頑張って私のお家を作ってね!

 私たちは、このお家に買われて来てラッキーだったのかも? と思う。

 少なくても設備面では、動物好きのお母さんのお陰で、快適な生活が出来そうだもの。


亀の飼育設備、特に紫外線ライトの値段にはびっくり!

思わず、ホームセンターのペット用品売り場で金縛りに……。(汗)

でも、せっかく縁あって家にやって来た亀さんたち。

少しでも快適に生活して欲しいです。


(もちろん買いましたよ、紫外線ライト。へそくりで。あはは……)

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