主な登場人物
読者様から意見をいただいたので、主な登場人物を紹介してみようと思います。
しかしながら、既存読者様のための忘却防止として書いておりますので、以下にはネタバレが含まれることをご了承ください。
新規読者のかたは読まれないほうが楽しめると思います。
詳しくは活動報告にて。
―異邦人―
・ケイル
男性。
強化外骨格に身を包んだ人造の戦士。破滅をもたらす侵略現象、アバドンに対抗するための苦肉の計画、ヘカトンケイル。オーシリーズと呼ばれるその最初期のプロトタイプにして、現存する稀少な成功例である。個人識別符丁はH09(ホテル・オーナイナー)。
外見年齢は二十五歳前後だが、バイオロイドを成体へと急成長させる人工子宮から摘出された日を誕生日とするなら、その実年齢は外見よりもはるかに幼いと思われる。
生物学的には人間に違いないが、彼はあくまでも兵器として製造されており、その人格はやや稀薄で思考も無感情なところが目立つ。ただ兵器としての眼目である害悪への憎悪、殺傷には苛烈なまでの執着を示す。
アバドンとの戦闘で窮地に瀕した際、忽然と見知らぬ世界に現れた。
※以降、便宜上その世界をラナ世界と呼称。
・アーシャ
外見は十歳前後の少女。
ヘカトンケイルに備わった長期単身活動支援システム、アーカーシャ・ガルバ。そのシステムが使用者にのみ見せる幻影の少女。ケイルの相棒にして心の拠り所となっている。
その個性的な性格は、ヘカトンケイルプロジェクトの一環としてケイルの脳内で作為的に形成、隔絶された別人格に由来し、知性は人口知能に依存する。よって必ずしも思考をケイルと共有しているわけではなく、主君たる彼を第一義に考え、彼のためなら一見不義理と思える言動も厭わない。
・T67(タンゴ・シックスセブン)
女性。年齢についてはケイルの項と同様なので省略。
ヘカトンケイルの次期プロジェクトであるタルタロスによって製造された個体。
ケイルとは同じ施設で訓練を受けた同期生にあたるが、彼とは異なり人間らしい感情を多分に有する。またその立場も兵器ではなく軍人である。事情に通じているらしい彼女はヘカトンケイル、ことにケイルを含めたオーシリーズに強い嫌悪感を抱いている。
一連の機械化兵装計画はまだ多くの謎を残す。
七年前にラナ世界に召喚され、真実を聞き及んだ。それ以降、反逆者の守護を司る。
・ルーク
外見は十歳前後の少年。
タルタロスに備わった意思伝達補助システムが映しだすホログラム。
アーカーシャ・ガルバシステムの発展形。使用者単身では手に余るエグゾスケルトン・ユニットの全性能を有効に活用するための役割分担といった意義だけではなく、人格的な特異性から集団では孤立してしまいがちなバイオロイドの意思疎通を手助けするために存在している。ただし、その都合上奇特な個性は有しておらず、性格は人工知能の疑似人格に依存するため画一的。アーシャとは似て非なる存在。
・ジュディ
女性。三十四歳。とある大国の諜報機関に所属する準軍事工作担当官。
ケイルたちとは異なる世界からきた異邦人。
五年前、ラナ世界へ現れ、真実を聞き及び、行動を開始する。徒ならぬ計画を腹に秘め、王都デリトで秘密裏に活動している。
情報収集のための商売では夜の魔道士と謳われるほどの業前だという。
・ホーバス
男性。四十二歳。準軍事工作担当官。
ジュディの部下。彼女と等しい事情を持つ。
王都の場末で酒場を切り盛りする。
・ファル(及びエルフたち)
長耳の亜人の女性。外見年齢は二十歳前後(ただしホモサピエンスとは異なった種族であるため、その実年齢は必ずしも外見年齢に比例するとは限らない)。
ケイルやジュディたちとはまた異なる世界の異邦人。
数十人の仲間たちと共にラナ世界へと召喚された。以降、そのほとんどが混沌の森に集落を築き、T67を先生と敬い、反逆者に付き従う。一部の数名はジュディたちと行動を供にしている。
彼らの顔立ちは麗しく、例外なく弓術に長じている。生まれついての狩人。その性格は純真で無垢だが、外敵へは容赦がない。
―現地人―
・サイミュス・ミレン・メイフェ
女性。二十九歳。愛称、サイ。水の治癒魔術士。
もとは名門の魔術士の家系として王国に仕えてきた貴族だったが、姉が反逆者として追われる事件を切欠に泣くなく王都を離れ、農村に流れ着いた。
そこでケイルに救われ、彼の特殊性から生き別れた姉との接点を見いだし、行動を供にすることに。
闊達な性格で情に厚い。男勝りな性格に相反し、プロポーションは肉感的。
・ゼロット
女性。十歳。
サイと同じく農村でケイルに出逢い、彼に惹かれて行動を供にする。
魔術の才覚があり、旅の途中で得た魔術小銃を携えている。まだ戦力としては期待できないものの将来は有望。
生来の無口であり無表情であることが多いが、徐々にその表情に感情を映しやすくなってきている。
食欲は人一倍旺盛。
・ライアス・アクエ・ハイントン
男性。二十七歳。
ライガナ王国軍の下級士官。サイが王都に在住していた幼少期の教え子。
王城で勃発した賊騒動の過程でケイルに遭遇し、刹那的な感情に絆され行動を供にする。しかし己の無力を痛感し、一行と別れ王都へ帰還するも、そこでも徒ならぬ事態に巻きこまれている。
温和な性格であり根っからの虚弱気質だったが、過酷な旅の経験が彼を大きくした。本の虫であり、その知層と思慮は意外と深い。
・リルド・オルガン・スパイル
女性。二十八歳。風の魔術剣士。
王家及び貴人の守護を司る近衛兵団の兵団長。軍の一部ではあるがその職務柄、独立色が強い。
王城への賊侵入事件の際に多くの部下を失い、その仇討ちと王国の底意を胸に、ケイルと行動を供にする。王女ミリアの側近であり、腹心の家臣には留まらない信頼と思慕を抱く。
普段は慇懃な言葉遣いに見合った冷静な性格だが、時折激情家の人格が顔をだす。
平均的な背丈にスレンダーな肉つき。サイへの肉体的劣等感は底知れない。
・アカリ
女性。十四歳。
石鉱の町、ヒルドンの町民だったが、異邦人がもたらした事件によって天涯孤独に。一人の異邦人に救われ、彼のもとで戦闘術を学ぶ。彼が造った魔術小銃を巧みに操る。
ケイルたちと出会い、ヒルドンの騒乱の際には行動を供にするが、亡き恩人の願いを胸にライアスと共に王都へ向かった。
・スーラ・ミレン・メイフェ
女性。三十六歳。サイの実姉。
優れた魔術士であり、若くして王女レイアの側近にして教育係に任命されるが、魔物の出現現象と期を同じくして浮上した反逆者の嫌疑を受け、レイア共々王都を脱した。それ以降、ライガナ王国領土最西端の混沌の森を根城にする。
だらしない身形は逃亡生活の所為というよりも、彼女本来の気質に拠るところが大きい。
・国王ディソウ
男性。六十五歳。ライガナ王国の国王。
血縁継承による絶対君主制であるライガナ王国の最大権力者。
白妙の王城に住まう。
反逆者に過剰なまでの怯えを示す。
・王女ミリア
女性。二十七歳。ライガナ王国の王女。
ディソウと、逝去したミレイユ王妃の第一子。
聡明であり、その柔和な人当りは何者に対しても等しい。
・王女レイア
女性。二十六歳。スーラとT67からは姫と呼ばれる。ライガナ王国の第二王女。
ディソウとミレイユ王妃の第二子。
幼少のみぎりに反逆者の汚名を受け、側近たちと王都を脱する。