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異形の魔道士  作者: IOTA
13/60

10 王都



 真夜中だというのに、王都デリトは光と人で溢れかえっていた。

 ただし、漆喰の建屋が立ち並ぶ石畳の大通りを席巻するのは、賑やかな活況などではなく、騒々しい混乱である。

 魔物の襲来を報せる警鐘が鳴り響く中で暢気に寝ていられる者などいるはずもない。ことに事件現場である南通行大門付近に居を構えた都民からすればまさに寝耳に水の事態である。

 皆が着の身着のまま家を飛びだし、男たちは城壁の衛兵詰所の前で不機嫌そうな顔をおしなべてたむろし、家々の軒先に設えられたオイルランプの頼りない灯りの下では、寝間着姿の妻と子供たちが不安げに主の帰りを待っている。

 今はすでに警鐘は鳴りやんでいるが、情報と状況を求めるための混乱はむしろ過熱していた。静かな夜を侵された彼らは、とにかく行動しなければと慌ただしくうろつくだけで明確な目的が何も見いだせていない。

「ずいぶん騒々しいな。魔物の襲来は珍しいのか?」

「いや。一度鳴った警鐘がこんなに早く鳴りやむなんて今までなかっただろうから、みんな戸惑ってるんだろ」

「なるほどな」

 サイの説明には危機をしりぞけた立役者への賛辞も含まれたのだが、ケイルはまるで他人事のようにしみじみと得心した。サイは忍び笑いをもらす。

 いっそのこと誤報だと偽って報せれば、皆が安心して各々の家に戻れるのだろうが、実際に魔物の襲撃があったのだから、そういうわけにもいかない。そして魔物が殲滅されたという報せを受けても、そのかつてない迅速さに皆が半信半疑。かえって不安を助長する結果となったのだ。

 その不安を鎮める働きをしたのは、意外にも難民たちだった。

 食人鬼の全滅後、南門は開けはなたれ、状況と安全を確認するため完全武装の兵士たちが雪崩でてきた。そのどさくさに紛れて、サイが難民たちを王都のなかへと勝手に誘導してしまったのだ。

 そして、状況を調査中だと事務的に述べるばかりの兵らに業を煮やした都民たちは、自分たちと対等な立場にある難民に群がり、こぞって事情を訊ねた。

 だが難民たちもただでは口を開かなかった。情報に対するそれ相応の対価、たとえば食料や賃金、働き口などを要求したのだ。無論、憔悴していた彼らにそこまでの機転が利くわけもなく、すべてはサイの入れ知恵である。その手際と狡猾さにアーシャは口笛を吹いた。

 結果、出し惜しみの過程でやや誇張され、主観に偏ってかなり美化された噂はあっという間に駆け巡り、混乱は収まったものの夜が静けさを取り戻すことはなく、魔物の大群を単身でしりぞけた異形の魔道士の謁見にあずかろうと、都民たちは通りで人垣を形成するにいたった。

 終始にやけていたアーシャがふふん、と鼻を鳴らす。

『ひひ。見てよ。愚民がゴミのようだわ。気分いいわね』

「気分が悪くなるようなことをいうな」アーシャに返すケイルの声はいつにも増して低く、ひそめられていた。「……調子に乗りすぎた。目だちすぎだ」

 石畳が敷き詰められた大通り、前後を捜索隊兵士の隊列に挟まれ、ケイルたちは歩んでいる。

 その縦列の左右にはびっしりと見物人による花道ができあがり、彼らの瞠目は鋼鉄の大男に注がれていた。さながら武勇の凱旋か、あるいは国賓が行進するかのような有様だ。

 その実は王家を害した賊の最有力容疑者を連行しているなど、ケイルに好意的な眼差しを送る彼らは夢にも思うまい。真相を知るはずの捜索隊兵士でさえも、やや度が過ぎたお調子者たちは誇らしげに胸をはっている始末だった。

 アーシャと同じく、頬をゆるませたサイがケイルの隣に歩み寄る。

「いやあ、やっぱりあんたとんでもなく強いんだね。初めてはっきりとあんたの力を見たけどさ、流石のあたしもたまげたよ」

「……べつに」

 素っ気ない返事をするケイルに、サイは顔を近づけ、若干声を落とした。

「でも、あれは魔道じゃないね」

 サイの顔からはいつもの粗野な笑みが消え失せ、その眸は赤く濁る眼鏡のうちを見透かさんと奥深い素養を思わせる輝きをはなっていた。

「そして魔術ですらない。勘づいてはいたんだけど、あんたからは、魔術の匂い・・を感じない。あんたから感じるのは、もっと単純な力。……よく斬れる名刀とか、よく飛ぶ弓矢とか、そんなたぐいの、単純明快ゆえに救いようのない暴力だ」

 剣の達人や、弓矢の遣い手ではなく、サイはケイルを武器そのものに譬えた。そしてそれは正鵠を射ていた。

 そこそこ良い家柄の生まれだと皮肉っぽくうそぶいていた彼女。だがそれは冗談などではけっしてなく、真実を見通す研究者の顔が、世界の深遠に挑む真摯な魔術士の姿勢が、確かにそこにはあった。

『ご慧眼ね。巨乳魔術士……』

 アーシャも表情を一変させ、つまらなそうに唇を突きだしてそっぽを向いている。

 ケイルはゆるゆると首を振った。

「……だから、村でもいっただろ。俺は魔道士じゃない」

 それでもサイはケイルから視線を外そうとはしなかったが、ふとケイルの左隣の人物を見て、見慣れた苦笑に相好を崩して、ひょいと肩を竦めた。

 いつの間にか、ケイルの傍らには寄り添うようにゼロットが歩いていた。歩き難いと感じるほどに密着している。ゼロットの小さな肩が時折ケイルの腕にぶつかってしまう。だがむしろ彼女は腕と体幹の間に割ってはいらんばかりにぐいぐいと間合いを詰める。

「……どうしたんだ? 歩き難いだろ」

 声をかけても応答はなく、ケイルが少し離れても、ゼロットは進行方向を見据えたまますかさずにじり寄る。その所在なさげにしている腕を私の肩にまわせ、といわんばかりだ。倍もある身長差でそんなことをしても不自然なだけなのだが。

 ケイルが食人鬼を全滅させる場面を見てからというもの、この調子だった。執拗に彼の近くに身を置きたがるのだ。

『こ、これはまさかッ、デレ!? クーデレ少女のデレなの!?』

 ケイルの隣という立ち位置を二人の帯同者に奪われたアーシャは、威嚇するように手刀を振り回して喚く。

 恐慌をきたす相棒を完全に無視して、ケイルは違う疑問をサイに投げかけた。

「ところで、あいつは何者なんだ?」

 彼らの背後、捜索隊後列の先頭には妙齢の女の姿があった。

 黒を基調にした凛々しい制服、その配色とすらりと四肢を包む布地とがしなやかな体つきを強調している。捜索隊の兵と較べて明らかに軽装備である。しかし、飴色の光沢をはなつ革製の胸当てと手甲、腰に提げた飾りけのない鞘がのむ刀剣とが、幾分の隙もない手練れの風格を漂わせていた。同様の装いの兵士を二名、影のように付き従えている。

 王国軍の関係者であろうことはケイルも理解していた。それもかなりの高官であることは疑いようがない。南門が開いた際、一番最初に現れたのが彼女であり、以降は彼女の端的明瞭な指示で捜索隊兵士も含めたすべての兵士が動くのを目の当たりにしたのだ。

 サイはちらりと、盗み見るように背後を窺う。

「顔は見たことないけど、近衛兵団のお偉いさんだろうね」

「近衛兵団?」

「やんごとなき身分の護衛を職務にしている凄腕の連中さ。城のなかの常駐警備を許されてるのも彼らだけなんだ。あたしがここに住んでた時も、お目にかかることは滅多になかった。下々の者には係わり合いのない人種だよ」

 ケイルは相槌を打ちながら、背後の女を今一度瞥見する。

 育ちのよさを思わせる白く整った面持ちは無表情だが、闇に溶ける漆黒の長髪から覗く涼しげな双眸は猛禽を思わせる眼光をやどし、片時も逸れることを知らずにケイルの背に縫いつけられていた。

『なあにあの眼つき。ぞくぞくしちゃう。ゴーゴー夕張と名づけましょう』

「ごーごー?」

『そう。あなたがゴゴだネ』

「…………」

 大通りを進むにつれ、居住区から商業区へと街並みは移ろい、伴って見物人の姿もなくなり、通りを抜けると、閑散とした広場にでた。市街地を円形にぽっかりとくり貫いたような石畳の大広場だ。

 商業と交流の盛り場となっている大広場も、時間帯を鑑みれば当然といえたが今は無人。降り落ちる夜陰に塗り染まるだだっ広い空白は、とても王都の中心部だとは思えない不気味な静謐にみたされていた。もし月明かりがなければ松明なくしては心身ともに前進を拒みたくなるような石畳の荒野となるに違いない。慣れているはずの兵たちも頻りに松明を振って忍び寄る闇を散らしていた。

 隊伍が往く正面には鉄柵で隔たれた芝生の広大な敷地があった。そしてその中央、拒みようもなく目に飛びこんでくるその埒外の様式、公平に地表に降るべき月光を独占するかのように闇の彼岸に煌々と、それはうかび建っていた。

 ゼロットはあんぐりと口を開けて、サイはかすれた失笑をこぼした。

 白亜の王城は、ただただ白く美しく、されど雪城と譬えるには躊躇われる硬質さと頑強さをもって厳然と聳えていた。白塗りの絶壁が如き本館と、頂点を仰ぐためには腰を伸ばさなくてならない東西の尖塔。規模というよりも、まるでそこだけ世界が違うような意匠、異彩の迫力をこれでもかと城下にはなつ建造物。

 サイはケイルに近づき、背後からの視線に気を遣いながらぼそぼそといった。

「あたしも王都は久しぶりだけどさ、まったく、何度見ても呆れるよ。顕示欲もここまでくるとたいしたもんだろ」

「派手な城だな……」

「そうだろうさね。この王国を統治している御仁ごじん、国王ディソウが住まう王城だ。どうやら、あたしたちはあそこに連れて行かれるみたいだね。近衛兵が出張ってくる時点で、間違いないと思うよ」

 ケイルは無言のままに白い王城を仰いだ。その姿に圧倒され言葉を失っているわけでは、もちろんない。単純に、初見ではないのだ。相棒と含みありげに視線を見交わす。

『まさかこんなに早く戻ってくるなんてね』

 そう、南門と等しく、王城も二度目なのだ。彼らはすでに一度王都を訪れ、そして即座に離れている。もっともそれは、訪れるなどという常識的な言葉を使うことが躊躇われる、非常識的な事態に見舞われた強制的な来訪であったが――

 そんな、二者のみでなされる不審を気取れるわけもなく、サイは唇に不敵な笑みをひらめかせる。

「こんな深夜の登城、普通はありえないはずなんだけど。あんたは頭に超がつくほど特別な賊みたいだね。これからどうなるのか見当もつかないけど、なんかあたしまでちょっと楽しくなってきちまったよ」

 確かに今後の展開など予想できないが、面倒ごとに巻きこまれる可能性は十二分にある。というよりも、ケイルからしたら大注目を集めての登城という現時点でもうすでに十分な面倒事といえた。

 それが剣呑な方向へと傾倒しない保証はないのに、それを知ってなお、楽しくなってきたとは、サイの態度は暢気を通り越し、豪胆とさえいえる。

「このまま俺と一緒にいていいのか?」

「くどいね。あんたが嫌がっても勝手についてくっていったろ」

 ケイルの左隣ではゼロットもこくこくと頷いていた。

 軽薄な物言いや流動的な姿勢とは裏腹に、慣れ親しんだ村を棄て、およそ得体の知れぬ異形との同行を望んだ彼女らの覚悟は、けっして生半可なものではないのだった。

 王城の四囲を廻る鉄柵の一箇所は門になっており、その左右には捜索隊の一兵卒とは様相を異にした隊伍が横列にずらりと整列し、不動の姿勢で一団を出迎えた。

「ほら、あいつら」サイがケイルの耳元で囁く。「あれが近衛兵だよ」

 夜に馴染む全身を覆う黒色の戦甲冑。剣や槍、弓矢、その手に携える武具の数々は量産品ではなく、それぞれが職人の手による至高の一振りであることを随所に施された装飾で示していた。

 そして装備だけでなく、近衛兵がケイルへと差し向ける視線もまた、捜索隊の兵士たちとは決定的に異なっていた。松明の灯りを受けて不気味に黒光りする兜、その中で翳る双眸からは強烈な敵愾心が染みでていた。警戒や敵意を通り越した純然なる殺意。

 だがそれも無理はない。ケイルは王城に不法侵入し、近衛兵たちを手にかけた罪の容疑で連行されているのだ。つまり彼らにとっては仲間たちの仇の最有力容疑者。むしろ、激情に駆られて襲いかからないだけ彼らの自制心は殊勝といえた。

 その近衛兵たちの目前にまで達すると、捜索隊の前後列がそれぞれ左右に割れ、向かい合うように整列した。取り残されたケイルらは自ずと門の正面に位置するかたちになる。

 最寄の近衛兵が一歩いでた。にわかに充溢する緊迫に甲冑の重々しい音が響く。臆することなくケイルの赤い眼鏡を正視しながら、高圧的に声を張る。

「その杖のような武器をこちらに預けよ」

「断る」

 ケイルはきっぱりと即答した。

 その一言で、ただでさえ張りつめていた場の空気は一気に膨張し、凝固した。時が止まったかのような一拍の寂静、一人の捜索隊兵士が唾を呑みこむ音でさえ響き渡った。図太さでは右にでるものがいないと思われたサイでさえ意表を突かれ、口をぱくぱくさせている。

 近衛兵は最大限の自制をもって震える声を圧しだした。

「もう一度告げる。武器を預けよ!」

「悪いが何度告げられても、それはできない」

 ケイルは頑なだった。皆が理解不能と目を白黒させるなか、アーシャだけが腕を束ねてうむうむと頷いていた。

 ヘカトンケイルからすれば、むざむざと己の主武装を放棄するという選択肢はありえないのだ。おそらくこの世界では唯一無二であろう得物を差しだすぐらいならば、すべてをご破算にして一戦交えるのもやむなし、そんな救いようのない思考回路が、彼にとってはまっとうで理にかなった結論なのだ。

 だが、この世界の住人である近衛兵にとって異邦の兵器の思考回路など与り知らぬこと。膨張の先にあるのは、果然、破裂である。かろうじて憤激を抑えつけていた理性を取り去る大義名分をえた彼らは、やにわに各々の武器に手を伸ばす。

 いつかの農村のように、取り返しのつかない戦端が開かれようとするも、

「待て」

 いつかの農村と等しく、よく通る女人の声がそれを鎮めた。

 けれどもサイではない。距離を置いて佇んでいた先の妙齢の女のものだった。彼女は皆の視線を細身に一身にしながら、悠々とケイルと近衛兵の間に割って入った。

「構わない。このまま通せ」

「しかし――」

「命令だ。退け」

 有無をいわせぬ峻厳な声色に、近衛兵は腰の剣から手を離すとこうべを垂れ、道をあけた。

 黒衣の女はケイルたちを一顧し、目配せだけで追従を促す。

 敷地の中は壮大な庭園であり、随所に噴水や彫刻、手入れの行き届いた草花によって端然と彩られていた。闇夜にも目を楽しませるように趣向を凝らした明媚な庭園ではあったが、一行の背後から注がれる近衛兵たちの殺気だった眼差しが登城の栄誉にあずかった客人が抱くべき風情をどこか遠くに追いやっていた。城の正面玄関へと続く長い石畳を、黙々と女の後に続いた。

 重厚な両開きの扉を前にして、女は手を伸ばしかけるも、ふと思い立ったように動きを止めた。沈む黒髪のうちの柳眉を憂慮と懸念に翳らせるも、それは束の間、決然と振り返った。

 三人を順繰りに見据えてから、やがて口を利く。

「自己紹介をしておきましょう。私の名はリルド・オルガン・スパイル。いやしくも王城近衛兵団兵団長の任を授かっています」

「兵団長って……。あんたが?」サイが目を瞠る。「マジかよ」

 衛兵団のお偉いさんどころではない。彼女こそがその頂点、すべての近衛兵を率いる兵団長だったのだ。ライアスから帰還報告を受けた彼女は、魔物の襲撃という予期せぬ事態に出くわすも、本来の任務をまっとうすべく客人を丁重に案内したのだ。

「この門を潜る前に、一つだけ確認させてください」

 リルドはゆっくりと言葉を続ける。慎重に、探るような態度を隠そうともせず。王城と等しく夜陰に映える白い顔は硬くケイルを直視していた。

「貴殿は、なんのためにここへ足を運ばれたのか?」

「……どういう意味だ?」

「そのままの意味です。貴殿の目的が知りたい。聞いた話によれば、貴殿は素直に出頭を申しでたとのこと。しかし、先の南門での戦いを見る限り、貴殿ほどの力があれば逃げることも容易だったはず。なのに、なぜわざわざ出頭するのか?」

 抱いて然るべきまっとうな疑問、いや、抱かずにはいられない不審に近しい猜疑心。しかしそれを当人に向けて投げかけるのはやや直截的であるに思われたが、恐るべき賊の容疑者を王国の心臓部である城へ導く責務を担った彼女の立場上、問いたださずにはいられなかったのだ。たとえ、望む答えが返ってこなくとも。

 そしてそれは帯同者たちが胸に募らせていた懐疑でもあった。サイとゼロットは口を挿もうとせず、じっとケイルの横顔を見上げている。異形の男の思惑は、余人からすればおよそ知る由もない。

「それは……」

 ケイルは語尾を濁し、人知れず相棒と見交わす思案の一拍を経てから、面持ちを起こしてリルドの正視に応じた。

「それは俺があんたたちの捜している賊じゃないからだ」

 やましさを感じさせない毅然とした言葉に、三人の女はそれぞれ趣きの異なる双眸を揃ってまじまじと見開いた。リルドは当然のように、サイとゼロットでさえ何らかの誤解かやむない事情があってケイルが賊と見做されてしまったのだろうと勘繰っていたのだ。

 それが、ただの男がはっしたものであれば、聞き苦しい言い開きとして受け取られただろう。しかし、思惑は杳として知れず我というものが欠落した異相の戦士は、だからこそ保身のための嘘や弁明からもっとも遠いと思わせて、そんな彼のきっぱりとした否定を、彼女たちはただの言い逃れとして受け流すことができなかった。

 つまり、ケイルは潔白であり、本当の賊は他にいる。

 あいまいな伝聞であるにせよ、外見特徴がことごとく合致するほど彼に酷似した何者かが、他にいるのだ。すなわち、それこそがケイルが素直に出頭に応じた理由でもあった。

「そして、俺もその賊に興味があるからだ」





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