第六話……Aランク階層へ
「まずは、これまでのこと謝らせて。ごめんなさい。レツ……くん……」
「ごめん! レ……神代……」
「私も、ごめんなさい」
三人は俺に頭を下げてきた。
「いや、いいんだよ。全く気にしてなかったから。俺のことは、遠慮なく『レツ』か、ミレイみたいに『レッくん』でいいよ。ママや女神からは、『レッくん』って呼ばれる方が、それっぽくて良いと思うけど」
「……。そう言えば、私達には『ママになってくれ』とか『おっぱいを吸わせてくれ』とか言わないな」
「Dランクだから眼中になかったとか、ママの条件があるとか?」
「ミレイにも話したけど、BランクからAランクに上がるとみんな喜んで、俺の評価も上がって、ママになってくれる可能性が高くなるから。今はもう一つ。気持ちに余裕を持てているから。これまでは余裕がなかったんだ」
「余裕ねぇ……」
「……。もしかして、ミレイがママになるって言ったんじゃないでしょうね?」
「そ、それは……」
ミレイが俺の顔を見て、助けを求めてきた。
「そうだよ。おっぱいも吸わせてくれるって」
「レッくん⁉️」
「お、おい、レツ! 学園長も! ミレイの身体を交渉材料に使ったのかよ!」
「レツ、説明の続き!」
「続きはない。ついでに、二人のおっぱいも機会があれば吸わせてほしい」
「レッくん⁉️」
「……。どういうことなんだよ……」
「本当に続きはないの? だとしたら……」
「二人に関してなら、少しだけ続きがある。レジェンドランクまで駆け上がると、周囲からの嫉妬もあって、ストレスを抱えてしまう。しかし、母性は自らの癒やしに繋がる。おっぱいをあげようとすれば癒やされる。俺もおっぱいを吸える。ウィンウィンだ。
ただし、母性でなければいけないから、利己的になっては十分な癒やしにならない。俺が機会を常に伺うから、その時に同意してくれればいい」
「……。なるほど……それでいいんだ……」
「いや、おかしいだろ、どう考えても……。急に説明が雑になったぞ」
「ミレイについては、それとは関係ないってことでしょ?」
「まぁ、そんなに心配なら、常にミレイを監視しておけばいい。別に、無理にとは言わないから。そうすれば問題ないだろ? 要は、断固拒否って感じじゃなければ、それでいいんだよ。『もしかしたら、ワンチャンあるかも』ぐらいに思わせてくれれば」
「ということらしいよ」
「うーん……まぁ、それならいいか」
「いいのかなぁ……。そんなに自然だった? 詐欺師っぽくない? 最初はハードルを下げておいて、徐々に上げる、みたいな」
スイは微妙に疑っているようだが、俺達はもう進み始めているのだ。
「良い警戒心だ。他の男に対しては、常にそうであってほしいね。俺のママになるなら。とにかく、『パーティーメンバー変更届』を提出しに行くぞ。そして、すぐにダンジョンだ!」
「誰がママだ、誰が!」
スイのツッコミは無視して、俺達は足早に学園の事務処理センターに向かった。
◇ ◆ ◇ ◇
パーティーリーダーのミレイからパーティーメンバー変更届を提出してもらい、同時に『ダンジョン攻略申請書』も提出。
そして、個人の『ダンジョンクリスタル』を受け取った俺達は、支給品で装備を軽く整えてから、学園最奥にある超大広間、『ダンジョン転移室』に来ていた。
「まずは、七百階層の七百階に行ってみようか」
「ちょ、ちょっと待って! いきなりAランク階層なんて無理でしょ! たとえ、レツのクリスタルにそこが『刻まれていた』としても!」
首に掛けられた個人のクリスタルは、訪れた階が記録され、そこへの転移と個人の認識を可能にする。もちろん、個人が死んだことも分かる。
パーティーメンバーの一人が転移できれば、全員同じ場所に転移できる。俺は、Aランクパーティーを渡り歩いていたから、学園内のダンジョンでもAランク階層に行けるというわけだ。そのためのパーティーメンバー変更届でもある。
そして、この『学園のクリスタル』とは『別の』クリスタルを俺は持っているが、そのことはミレイにも言っていない。バアちゃんが言ったように、『その時』に話すことにしたからだ。かと言って、ミレイには隠しているわけでもないから、聞かれたら話すことにもした。
「『最短を走ってみたい』って言った私でも、流石にやめた方が良いと思ってるぞ……」
「う、うん……。怖いよね……」
「大丈夫だって、俺がいれば。な!」
俺はミレイの左肩に手を置き、念を押すように彼女の目をじっと見つめた。
「……ふぅぅぅ……。うん、行こう!」
ミレイは深呼吸をすることで、心の準備ができたようだ。
ずっとDランクだった女の子の覚悟とは、とても思えない。やはり、ミレイには素晴らしい才能があることを、俺は確信した。
「レツ、何かあったら責任取ってよ!」
「そうだそうだ!」
「ああ! 責任取って、俺のママになる権利をくれてやるよ!」
『いらんわ!』
ナツとスイの心地良いハモリを聞けたところで、俺達は七百階に転移した。
『責任取って、結婚してやるよ!』って言えば、結婚してくれたのだろうか……。そんな流れだったよな?
もしかしたら、ワンチャン……。今回じゃなくても……。
そんな期待を胸に、俺は改めて気合いを入れた。
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