第四十六話……第三粛清完了
「は……はは……はははは……あははははは! あーっはっはっは!」
「何が可笑しいんだ?」
「は……?」
その瞬間、ミレイが時間を停止し、俺は『ウィズペイン』全員のみぞおちに、渾身の蹴りを食らわせてやった。
「ああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!」
全力で走る方向とは真逆の不意の重い一撃に、全員がのた打ち回り、余裕の高笑いを決めていたセインも、まるで地獄にいるかのように苦しんでいる。
『ウィズペイン』が逃げ出した時、俺達はすでに少し先回りし、時間を停止しながらヤツらと並行して進んでいた。
そして、師匠の声を皮切りに、攻撃を叩き込んでやったのだ。
「分かったか、レツ。『このざま』が、『コイツら』なんだよ。これを邪悪と呼ばずに、なんと呼ぶ?」
「……。セイン、なぜ逃げた?」
「はぁ……はぁ……はぁ……ち……違うんだ……! 逆上して俺達を追いかけてきたところを……カウンターで仕留めようと……」
『ウィズペイン』の背後から近づいてくる師匠と俺達に対して、セインは必死の言い訳をかましていた。
「高笑いする必要はないよな? 全員ホッとして、とびきりの笑顔だったよな? 地獄から抜け出せたような喜びようだったよな?」
「師匠にかかれば、その時の表情と言葉なんて手に取るように分かるんだよ!」
「いくらなんでも酷いよ……」
「最低のクズだよ、お前ら!」
「私達の決死の覚悟を踏みにじったってことだよね?」
「ご、誤解だ! 話を……話を聞いてくれ!」
セインは地面に両手をついて、俺達に懇願してきた。
しかし、俺は毅然とした態度で、一歩前に出た。
「はぁぁ……ざまぁないな、『ウィズペイン』。世の中には、取り返しが付かないことがあるんだよ。お前達はあらゆるものを踏みにじってきた。その内の一つでも取り返しが付かないのに、命を、尊厳を、夢を、願いを、覚悟を、そして人間を、所有物だと言って、ゴミのように踏みにじってきたんだ。それを自分達の痛みだと勝手にすり替えて。
今度はお前達の番だよ。痛みの先には何があるんだろうな、『ウィズペイン』。
いや、ないな。お前達はずっと苦痛を与えられ続けるんだから。だって、そうだろ? お前達にはピッタリのパーティー名じゃないか。お前達に踏みにじられた全ての人間の痛みを背負って死んでくれ。
それが正真正銘のクズの末路だよ。もちろん、俺が勝手に決めた。お前達には法律で裁く価値なんてないんだから。文句はないだろ? それとも、『お前もクズだろ!』とでも言うか? なら、自分で言った言葉を忘れているバカなお前に教えてやるよ。『だから何?』って言葉を。
じゃあ、俺達は行くから。売買、あ、間違った。バイバイ、『ウィズペイン』。是非、地獄の人気者になってくれよ。あらゆる罪を背負って様々な刑に引き摺り回されるアイドル奴隷罪人に」
「ま、待ってくれ! 助けてくれぇぇ! 力を……貸してくれぇぇ!」
セインの声を無視して、俺達の幻は最奥へと向かい、そして消えた。
「お前、何を言ってるんだ? その助けと力をお前達が踏みにじったんだとレツが言ったばかりだろ? 助けも力もあったんだよ! それを、助かる見込みがないからと勝手に決め付けて逃げたんだろ! この救いようのないバカが!
もうお前達と話すことはない。一発一発念入りに、そして休み休みやっていくからな。そうじゃないと、あっさり死んでしまうだろ? 死なせねぇよ!」
「あ……あぁ……ああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁ……!」
そこからは、時間停止と制裁、インターバルを挟んでの繰り返しで、メンバー達は男女問わず全員が全裸にされ、血反吐を吐いても、腹に打撃を加えられ続け、手足の骨はグチャグチャになり、糞尿を漏らし、そこにボコボコになって涙と鼻水でグチャグチャになった顔を押し付けられ、木の枝を使って口にそれらを泥ごと流し込まれ、下半身にその木の枝を無理矢理突っ込まれ、ついにはモンスターの餌になった。
モンスター以外は、全て俺がやったことだ。念のため、『イービル』との繋がりがあるかどうかも聞いたが、誰も該当しなかった。
「午後四時か。意外に早かったな。じゃあ、『プラチナセレピーズ』が四人だけになっていないかどうかと、他に生きている人間がいないかどうかを確認してから、クリアしよう」
「う、うん……」
「……」
「……」
ミレイの索敵で、この七百五階には俺達と『プラチナセレピーズ』以外に生存者はいないことが分かった。
それから俺達は、縄とモンスター用拘束具をその辺に捨てて、真っ直ぐに記録装置に向かい、無事帰還した。
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