第三十七話……第二粛清直前
「アイツらが、なぜ最後まで転移口の紋章が光らなかったことについて、考えを巡らせなかったかだが……」
『ギアインフィニティ』の場所に向かう途中で、俺はそれまでの補足を三人に伝えることにした。
「結論から言うと、整合性の範疇で、故障だと思ってそのまま納得したから。透明化中の出来事は整合性が保たれるが、解除後は当然、整合性は保たれない。では、その境界を挟んだイベントについてはどうか、という問題なんだ。
でも実は、最初に挙げたバイスンを殴った例と同じで、起こるはずのイベントが『起こらなかったことが起きた』から驚き、その『起こらなかったこと』に勝手に納得したというわけだ」
「なるほどね。納得した」
「あとは、二つのパーティーに囲まれた時、なぜその外側に出たか。あの理不尽な要求をしやすく、戦闘に参加していない女も集まりやすいから。そして、脱出する際は、モンスターの網さえ潜ればよく、時間を浪費しないから。
全裸を要求したのは、ムリエのタトゥーをみんなに確認してもらいたかったのと、他にも繋がっている奴がいないかどうかを、簡単にでも確認したかったから。
名前を言わせたのは、バイスンなら覚えているだろうと思い、アピールさせたのは、ムリエなら面白いことを言うだろうと思い、自然にピックアップしやすくなるから。まぁ、本当は自然にする必要もなかったけど、そこは俺の矜持みたいなものかな」
「……。二人を信じてたんだな……」
「……。拷問も比較的軽い拷問だったよね。すんなり喋ってくれて……。すぐに負けを認めて素直になると分かっていたからかな……」
「……。ねぇ、レツ。『ギアインフィニティ』は痛め付けないんだよね?」
「……。場合による。同じ蚊帳の外でも、『ウィズペイン』の胸の内は分かってるから、『ギアインフィニティ』については、ヤツらの考えをできるだけ引き出そうかと思ってる。それを行うには、十分な対策が必要だ。
アイツらの中で厄介なのは、視認系スキル所持者。視認している分だけ対象一人の能力を低下させ続けるスキル、一定時間視認すれば、対象一人を金縛り状態にできるスキルを持つヤツが複数人いる。
しかし、時間停止の前では無力と化す。あくまで、視て『認識する』必要があるからだ。視界に入っただけでは効力を発揮しないことは、最初にすれ違ったときにも確認できただろ? 時間を停止した結果、意識を固定化されたヤツらは、周囲を認識できないから。仮に食らったとしても、時間停止と透明化でやり過ごせば、いずれその効果は消える」
「そういう目的もあったのか!」
「どちらかって言うと、私達に理解させるためかな?」
「万が一の時には、何が起こっているか分かるし、対処もしやすくなるからね」
「その上で、スイの『任意幻影』を遺憾無く発揮してもらいたい。何を見せるかは今から話す。そして、それは俺達にも見せてもらうことになる」
「おおー、その方が状況を把握しやすいからか」
「安全でもあるよね」
「分かった。頑張る!」
スイがかわいく気合いを入れた。
「ねぇ、レッくん。Cランクの人はどうするの?」
「バアちゃんと中央政府直属のエージェントに任せて、俺達はノータッチだな。今週土曜日は『イービル』下っ端の一網打尽劇場だ」
「そのエージェントは信頼に足る力を持ってるのか? 失敗する可能性だってあるだろ?」
「そうだよね。レツが指揮するならまだしも」
「『指定最重要機密スキル』の人?」
「いや、別人だけど、少なくともその人だけで、数々の『イービル』情報を得ているから能力は相当高い。俺は会ったことないし、その人のスキルも知らない。ただ、『指定重要機密スキル』以上ではあるはずだ」
それから、俺はスイに幻の詳細を共有し、俺達の視界に捉えた『ギアインフィニティ』に、時間を停止した上で、いよいよ近づいて行った。
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