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第三十四話……第一粛清『予約』完了

「さて、じゃあ改めて聞くが、いいのか? そんな俺達を相手にして。今から三十秒以内にここから逃げ出さない奴は、全員死ぬぞ」

「おい、バイスン。仕方ねぇ、手を組むぞ。まず、コイツを排除するのが先決だ」

「なに都合の良いことヌかしてやがる……と思ったが仕方ねぇ。お前達以上に、この変態には腹が立ってるんだ」

「バ、バイスン……! ダメだよ……! 私達このままじゃ死んじゃう!」


 感情を優先して漁夫の利を完全に投げ捨てるバカ達の一時的な挙党に、ムリエは警鐘を鳴らした。


「うるせぇ! 俺を信じろ! ご褒美でも何でもくれてやるから!」

「ち、違うよ、バイスン! そんなヤツなんかどうだっていい! このままじゃ私達、食い殺されちゃうんだよ!」


「はぁ? 誰に……だ……よ……」

「早く……早くしないと……私も……」

「手遅れだよ、ムリエ。足の腱は腕よりも回復魔法で治るのが遅いんだ。大魔導士でもない限り、すぐに歩けるようにはならない」


 慌てているのは、バイスンとムリエだけではない。

 なぜなら、数え切れないほど多くのモンスターが、いつの間にか転移口を取り囲んでいたからだ。


 モンスターは人間の集団が大きければ大きいほど、集まってきやすいことは冒険者には周知の事実だ。転移口も安全地帯ではなく、ずっとそこに留まっていれば、普通にモンスターは寄ってくる。唯一、クリア記録装置付近だけは安全地帯だ。これもみんな知っている。


 しかし、バイスン達が到着してから今まで、モンスターは一匹も寄り付かなかった。なぜか。俺達は各パーティーに牽制の幻を見せるついでに、見かけたモンスターにも片っ端から幻を見せていたのだ。


 『転移口には誰もいない。でも、遠くから様子を窺っていれば何か起こりそう。人間の声も聞こえるし』という幻覚を。つまり、モンスターに幻を見せつつ、『第六感』を増幅させた。幻を見せていないモンスターにも、『なんでコイツら集まってるの? 何かあるのか?』と思わせることができる。

 これは、比較的賢いAランクモンスターであることと、一部催眠効果があるスイのスキルだからこそ為せる技だ。直接触れようとしない限り、人間の体温や匂いも誤魔化せるから。

 その幻を、俺のアイコンタクトでスイが解除したのだ。もちろん、各パーティーの幻はそのままだ。


 つまり、ある意味では俺達がモンスターに漁夫の利を与えた格好になる。


「お前だって、逃げられないだろ! 何してくれてるんだよ、もう! 自殺したいなら一人でやれよ!」

「九十人もずっとここにいるからだろ。人のせいにするなよ。あーあ、これ二百体以上いるな。Aランクモンスターを一人二体以上。お疲さん……と言いたいところだが、俺達が助けてやるよ。ただし、この場で全裸になって、丸見えM字開脚したヤツだけな。もちろん、アピールは忘れるなよ」

「なっ……!」

「てめぇ!」


 明らかに理不尽な要求にもかかわらず、ムリエを始め、連中は俺達とモンスターを交互に見て、迷いと焦りを抱いているのは手に取るように分かった。


「いつも裸になって盛り合ってるんだから、別にいいだろ? 弱者男性の俺にも拝ませてくれよ。男でも女でもいいからさぁ。早くしないとモンスターの餌になっちゃうぞ?」

「分かった! 変態く……あ、あなた様の言うことは何でも聞きますから! おっぱいもいくらでも、お好きなように吸ってください! ですから、どうかお助けください!」


 ムリエはそう言うと、少しだけ和らいだ痛みを我慢しながら、身に着けていた装備や服を脱ぎ始めた。

 そしてそれは、彼女だけでなく、女性陣全員だった。男達は誰も脱いでおらず、モンスターの方に剣を向けている。


「ムリエ、てめぇ……!」

「あーあ、こんなバカに付き合わなければ良かった……。はい、どうぞ! あなたのムリエです。ご賞味ください!」


 バイスンを一瞥したムリエを始め、女性陣全員が俺の前まで来て、一切の恥ずかしげもなく全裸になり、股と局部を開いた。

 ムリエには、俺が以前確認した悪魔のタトゥーも見えた。


「……。ちなみに、ムリエ。俺の名前を言ってみろ」

「え……? あ……あの……そ、そんな時間はありませんよ! モンスターはすぐそこまで来てるんですから!」

「か、神代様です! ずっと前からかっこいいお名前だと思っていました!」


 ムリエは答えられず、他の女が答えた。


「ファーストネームは?」

「え……? そ……それは……え、えー……て、てー……」


「もういい。バイスンは俺の名前、覚えてるか?」

「お、お待ちください! ここまで出かかって……」

「神代レツ……」


 バイスンは静かに答えた。


「そ、そうそう! そうだよ! 神代レツ様! どうか私だけでもお救いください! もう本当に何でもしますから! レツ様のうんちだって、むしゃむしゃと美味しく味わいながら食べますから! この通りです!」

「……」


 ムリエの必死の土下座を見ても、もう何も言わないバイスン。


「ムリエ、アンタ……! レツ様! ムリエなんかより私の方が気持ち良くできますよ!」

「何言ってんの、私よ! 全員嘘つきです! 私こそがレツ様に相応しい身体ですから! 見てください、このおっぱい! むしゃぶりつきたくなるでしょう?」


 女達は我先にと俺に懇願してきた。


「よし、決めた。じゃあ、バイスンとムリエだけは助けてやるよ」

「いらねぇよ……」

「ありがとうございます、レツ様! 一生、あなたに尽くします! いつでも私の穴をお使いください!」

「そ、そんな……! ま、待って……待てよ! このクズ野郎ぉぉぉぉ!」


 叫ぶ女は無視して、俺はミレイに合図を送って、時間を止めてもらった。


「予定通りで」

『了解!』


 俺とナツでバイスンを、ミレイとスイでムリエを担ぎ、モンスターの網をすり抜け、『ギアインフィニティ』方向に急いで駆け出した。

 少し振り返って元いた場所を見ると、今にもモンスターが襲いかかる瞬間の所もあった。

 アイツらを多少懲らしめたところで、面の皮が厚すぎて、反省したり、絶望したりもしないだろうから、これでいい。


 モンスターに食われながら、これまでの短い人生を後悔して、絶命してくれ。



 これにて、Aランククズパーティ『トップオブトップ』と他Bランククズパーティ二つの粛清が完了した。


 いや、まだ時間を動かしていないから、正確には『粛清が予約された』、か。

 まぁ、どうでもいいことだ。気にする価値もない。

 『こっち』が本命なんだから。


 俺は、担ぎ出したバイスンとムリエに、すでに興味が移っていた。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」


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ブックマークもよろしくお願いします!



最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


Xアカウント @tachizawalude

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