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第二十六話……後輩ママ

「あの、もう少しよろしいでしょうか」


 午前六時半を過ぎ、そろそろもう一パーティーが転移してくるのではないかと思ったところで、レナがさらに話しを続けたがった。


「ちょっと待ってくれるか? ミレイ、索敵を頼む」

「うん……転移口付近からこっち側に大所帯パーティーが向かって来てる。モンスターは、この辺にも他の六人の所にも来てないね」

「なるほど。そのスキルで私達の位置を……。それにしても、索敵距離が異常ですね……」


 索敵能力については、『プラチナセレピーズ』に秘密にする必要はない。索敵スキル自体は、それほど珍しくはなく、魔法でも可能と言えば可能だからだ。もちろん、距離は限られる。

 なぜ俺達がモンスターを気にせず、こんなにも悠長に話せているかと言うのも、各階の転移口から両端方向に向かえば向かうほど、比較的モンスターが少ない地帯になるからだ。ただし、それはずっと続くわけではなく、すぐにモンスターの密度が今まで以上に増してしまう。だから結局、来た道を戻ることになる。

 そのことを知っているのは、ダンジョン攻略を真面目にやってきたパーティーだけだ。


「俺達のスキルは他の奴らには話さないでほしい。今後の活動に支障が出るから」

「もちろんです。皆さんの足を引っ張るつもりはありませんから」

「ありがとう、レナちゃん!」


「じゃあ念のため、そのパーティーから離れながら話そうか。あの六人は無視していい。多分、そこまでは来ないし、来てもなんとかなる」

「承知しました。ただ、大して真面目な話ではないので恐縮ですが……」


 来たら来たで、幻がその場を離れるよう指示してくれることになっている。この事前の命令、言わば『プログラム幻影』がスイのスキルの真骨頂だろう。


「改めて、レ、レツ先輩……あの時の私の質問を覚えていますか? 今も答えてはいただけないのでしょうか……。その……今の私はもう、あなたがそうしてほしいと言えば、そうするつもりですから……。そうすれば、理由も教えていただけるのでしょうか……」

「覚えてるよ。もちろん、俺だってそうしたい。ただ、おっぱいを吸わせてもらうだけじゃなくて、ママになってもらう方が俺にとっては圧倒的に重要なんだ。レナにそれができるのかが分からない。たとえ、おっぱいを吸う時だけであっても」

「先輩への憧れをなくす覚悟が必要だってことだな」


 ナツの補足を聞いて、レナは納得した様子を見せた。


「『そもそも、あなたのママとは何ですか』と聞いたら、『無償の愛をくれる存在だ』とあの時に言っていましたね……。確かに、今の私では難しいような気がします……。先輩は先輩であってほしいですし、ママと両立できるとは思えませんから」

「ちなみに、どうしてレツにそれを聞いたの? すでに変態の名をほしいままにしてたでしょ?」


「それはもちろん、気になっていたからです……。異性として……。その時に納得できる理由を教えてもらえていたら、先輩の望みを叶えていたかもしれません」

『ええええ⁉️』


 ミレイ達だけでなく、俺も驚いた。


「今の話なら分かるけど、当時のレツのどこが良かったんだ?」

「顔……と自分が変態と呼ばれていることを一切気にしていない所です」

「意外に面食いなんだ……」

「レナ、ちょっと……」


 すると、『プラチナセレピーズ』の一人、『()(うら)チナミ』が手招きして、俺達に聞こえないように、声を潜めてメンバー全員で話し合いを始めた。


「……分かりました」

「何が分かったんだ?」


 ナツの質問に、レナは俺達の方を向き直った。


「その前に、顔はともかく、なぜ変態を気にしない先輩に惹かれたのかをお話ししたいと思います。私達四人は、欲望、とりわけ性欲に忠実な人が好きなのです」

「なんじゃそりゃあ!」

「……。『性欲四天王』か」


「流石レツ先輩、やはりご存知でしたか。『サウズ国』の伝説と『セントラル』の伝説に出てくる人物とモンスターは、実は同一の存在なのではないかという説があって、私達のパーティー名は、その人達の名前と私達の名前が似ていることから、それらを色々組み合わせたものなのです。

 そのセントラルの伝説の方の二つ名から取って、最初は『性欲四天王』にしようという案が出たり、『性欲モンスターズ』にしようという案が出たりしましたが、流石にそれはマズイだろうということで、今の『プラチナセレピーズ』になりました」

「まぁ、どう考えてもマズイだろうな」

「つまり、四人も性欲に忠実で、そのことを告白しようという話し合いをしていたのか」


「やはり、レツ先輩は推察力もすごいですね。私達四人は毎晩、その研究をしています。言ってしまえば、女の子同士でエッチなことをしています。流石に一線は越えていませんが」

「いや、越えてるだろ! 私達が言うのもなんだけど!」


「あ、『リトルヴィーナス』の皆さんも、やはり女の子同士で……イメージ通りで嬉しいです! 流石に昨日の今日で、レツ先輩を加えたばかりで大人の女性にはなっていませんよね?」

「なってないけどさぁ……。いや、成人ではあるけど……。それより、イメージ通りなのか……」

「でも、ママになってもらうのは、性欲とは関係ないぞ?」


「はい。ですが、自分の欲望を相手に正直に伝えていることに変わりはありません。かと言って、そういう人なら誰でもいいわけでもありません。好きになった人がそういう人なら嬉しいなという感じです。もちろん、乱暴とかは論外なので、お互いの愛を確かめられるような欲望に限定されます。

 レツ先輩なら、私達の告白に対して、真摯に受け止めてくださり、最大限に応えてくださると思いますし。

 あの時、私は無償の愛と聞いて、私の方は愛をもらえないのかと思い、先輩の元から立ち去ったのですが、『リトルヴィーナス』の信頼関係を目の当たりにした今考えてみると、栄養摂取が主な目的の赤ちゃんとは違って、ママへの愛があるからおっぱいを吸うのかもしれないと思い、先程の確認のような質問をしたというわけです」

「あー、言われてみれば、赤ちゃんとは違うか。赤ちゃんみたいに接してるけど」

「そうだな。今となっては、毎日吸わなければいけないものでもないし、お腹いっぱいになるものでもない。俺だって嫌いな人のおっぱいなんて吸いたくないよ。切羽詰まらない限り」


「だとしたら、私達の性欲を受け止めてもらえる安心もできるので、レツ先輩に遠慮なくおっぱいを差し上げたいと思います。『後輩ママ』としての意識改革は大変ですが」

「ん? 『私達』……? レナだけじゃなくて?」


「はい。私達四人がいつも一緒にいるには、レツ先輩のハーレムに入れてもらうしかありませんから。昔から、素敵な人が現れたらそうしようと話していました」

「レツと同じこと言ってる……」


 バアちゃんを含めた八人を相手に、しかも性欲四天王を自称する、夜はグイグイ来そうな女の子達を相手にか……。


 まずは、三人に意見を聞かなければいけない。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」


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星五つであれば、なおのこと!


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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


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