第二十三話……ダンジョンの裏歴史
「レツが立派な男の子に成長してくれて、ママ嬉しいよ。これなら、みんなを満足させられるね」
「どこを見て言ってるんだ……。三人も! そんなに顔を近づけてじっくり見るんじゃない! 流石の俺でも恥ずかしいぞ!」
キス合戦が終わると、お風呂に入ろうということになり、再び入浴することになったバアちゃんは俺の左腕にしがみ付き、他の三人は俺の前を囲むように、しゃがんで『おおー』と感心していた。
「レッくん、おちんちんまでイライラしちゃったね」
「いや、別に怒ってないけど……。また、ミレイの言いたかったセリフか……」
「じゃあ、緊張かなぁ? ガチガチになっちゃって」
「こういう時は体から力を抜かないとね。ママが特別なマッサージをしてあげるからね」
「みんな、良いママだぁ。レツ、良かったね。今日からは一切我慢せずに、いつでもスッキリ状態を保持できるね。いっぱい甘えていいからね」
俺を安心させようとしてくれるママ達には感謝だけど、男としての不安は拭い切れないんだよなぁ……。
男には限界があるから、血が出てしまうんだぞ。
まぁ俺の場合、おっぱいを吸えば大丈夫なんだけど……。それは言わないでおこう……。
それからみんなが、俺の体を綺麗にしてくれたり、ナツとスイがダンジョンで言っていた通り、ミレイも含めて三人で洗いっこしたり、懐かしさを覚えながら色々スッキリして……全員がジャグジー付きのどデカイ浴槽に入り、まったりする時間になった。
「今更だけど、ここの電気とかインフラってどうなってるの? バアちゃんに頼んで転移もよく分からなかったし」
バアちゃんから、『私のことは学園長じゃなく、レツと同じくバアちゃんでいいよ』と言われて、スイはそれに倣いつつ、質問を俺にしてきた。
「インフラは、ハッキリ言って謎だな。ゼロ階層はずっと前からあって、そのままだから。もちろん、バアちゃんのスキルで建築当初の状態に戻ったものの、その辺はノータッチで、故障もしない。転移は動作スキルによるものだけど、昔からある転移室とは、やっぱり別物。
ここの存在は代々の学園長とレジェンドランクパーティーしか知らない。『管理階層』よろしく、ここから全ての階層にクリスタルなしで行けるし、強制帰還の時間設定も任意」
「それができるようになったのは、先人達のおかげだけどね。授業にあった通り、大昔は斜め地下に進む洞窟と真上に進む塔とで分かれていたけど、ある時を境にそれらが消滅し、新たなダンジョンと入口が出来上がった。それがこの学園の地下に続く階層ダンジョン。
明らかに神様によって創造された代物だ。だからこの世界の人々は、一人残らず神様を信じている。ダンジョンが人を惹き付ける理由でもあるね。
でも、実は授業では教えられない秘密がそこにはあるんだ。その一つが、ゼロ階層の技術とインフラ、そしてここへの転移方法。最初のレジェンドは、その転移方法を解き明かした上で、ここをヒントに千階層の存在に辿り着いたとされている。もちろん、日系人。ただし知っての通り、名前は明かされていない」
「聞けば聞くほど面白いなぁ。私、大魔導士になるから、そういう裏の歴史も勉強したいんだよね。大魔導士って魔力だけじゃなくて、知識の宝庫みたいなイメージだから、知らなかったら恥ずかしいと思うし」
「そう言えば、スイの魔力を底上げする方法は? でも、今日はやめておいた方が良いか。明日の決戦に響くから」
「まだ知らない方が良いかもね。知ったら試したくなって、そわそわしちゃうからね」
話が一段落して、雰囲気的にもそろそろだろうと判断し、俺は立ち上がった。
「よし! 風呂から上がって、もう寝よう!」
「流石にレツも疲れたかな? みんな、マッサージ機を使っていいよ。アレのあとは、ぐっすり眠れるから」
「バアちゃんの部屋で寝ていいの?」
「だとしたら、五人がベッドに並ぶってことか?」
「並ぶ順番は、じゃんけんだね。勝った順に並べば、余計なこと考えずに済むでしょ。ミレイはどっちのスキルも禁止で」
スイの提案に乗っかることにして、全員でじゃんけんを始めた。
まぁ、バアちゃんが圧倒的に有利なんだけど……。今はもう、洞察力と反射神経が最高状態だからなぁ。俺に全部合わせれば、俺の隣を確実に確保でき、端も獲得しやすい。
そうでなくても、情報処理動作スキルで、相手の動きを入力情報として処理し、瞬時に自分の手を決めることができる。
いずれにしても同じ結果になるのだ。
三人がそのことに気付いたのは、ベッドで横になって、落ち着いて考えた時だった。
結局、取り返しが付かない教訓として異論は認められず、バアちゃん、俺、ミレイ、ナツ、スイの順番に並んで眠ることになった。
『裸族デー』なので、全員全裸で。
今日だけでも色々なことがあった。
いや、そんな簡単な言葉では表せないほど、俺の人生のターニングポイントとなった日だった。
俺の環境は目まぐるしく変わり、俺も含めて、この場の全員の感情が揺さぶられたことだろう。
明日も激動の一日になることは間違いない。
しかし、俺達の絆と愛情は決して揺るがない。
作戦も冷静に遂行できるし、必ず成功させる。
俺達は、こんなにもガッチリと腕を組み、安心して眠っているのだから……。
寝返りは打てたので安心してほしい。その後すぐに腕を掴まれたけど……。
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