第二十話……学園システムの真実
いつも通り、ノックなしでバアちゃんの一室に入ると、一見して中にバアちゃんの姿はなかった。
「誰もいないね。電気は付いてるけど」
「めっちゃ広いな……。スイートルームどころじゃないぞ? Aランク部屋より広いんじゃないか? 見たことないけど」
「ベッドも、とんでもなく広い上に三つもある……けど……なんかこの部屋、暑くない?」
『ああ、それは……』と言おうとした俺の言葉を遮るように、ガチャっと風呂場のドアが開く音がした。
「が、学園長⁉️ レツもいるんだから、タオルを巻くぐらいしてください!」
「いやぁ、今日は『裸族デー』だから。それに、レツは私の裸なんて見飽きてるよ。ああ、そこのベッドに座っていいよ。大丈夫、常に清潔状態を保ってるから」
スイの指摘もなんのその。バアちゃんは、全裸で俺達に近づき、そのまま通り過ぎて、別のベッドに勢い良く腰掛けた。
すでに髪は乾かし終わっているようだ。
「ぐ、具が見えちゃいますよ! 具が!」
「別に見せてもいいけど。ほら、ツルツルおばさんの超綺麗なピンク色。お尻の穴も」
「レツじゃなくても、生徒にそれを見せるのは流石にマズイだろ!」
「……。あの……学園長って、本当に三十三歳なんですか? 改めて見ると、芸術のように綺麗なスタイルと肌なんですけど……。全く衰えを感じないって言うか」
「確かに……。私の憧れには、その点もあったけど……。張りが美少女のそれだよね……。それこそ、おっぱいもお尻もそうだし、お風呂上がりですっぴんなのに、綺麗な白い肌」
「レツ、説明頼むよ。私はマッサージ機に座ってるから」
そう言ってバアちゃんは、部屋の隅にある座り心地の良いマッサージチェアに歩いて行った。
「あれでも少し衰えてるんだよな。この数年は俺がおっぱいを吸ってないから」
「ということは、学園長の潜在スキルに関係してるんだ?」
「すごいスキルもあるもんだなぁ」
「衰えないスキル……。もしかして、ベッドの話も……!」
「その通り。バアちゃんの潜在スキルは、時間停止能力の派生で、『最高状態保持スキル』。何を以て『最高状態』とするかも決められる。ただし、自分と物専用。冒険者としての実力をトップ維持できたのもスキルのおかげだと自分で言っていた」
「……。それって、『不老』になれるってことだよね? 病死もない……。健康体そのものを維持できる……」
「おいおい……。全人類の、究極の夢の一つじゃないか……」
「不死ではないにせよ、半分以上不老不死でしょ……。そうか……それも『特定の利益』を強く意識する要因の一つなんだ……。自身のメリットが大きすぎる」
「ああ。だからこればかりは仕方がない……と思っていたが、スイの『あの言葉』を聞いて考えが変わった。
その前に、バアちゃんの元来のスキルについて説明しようか。学園のシステムはほとんどが自動認識だ。その『自動認識』こそがスキル。俺がノックをしなくても、バアちゃんは全部分かってるんだよ。認識数に限界はあるから、本当に全部かって言うとそうじゃないけど」
「そうだったんだ……。でも、鍵が開いたのは?」
「バアちゃんは、認識結果を元に対象の動作を決めることもできる。ただし、それは『自動認識スキル』の範疇じゃない。バアちゃんは、もう一つスキルを持ってるんだ。それは、『情報処理動作スキル』。俺が『右のおっぱい』を吸ったことで発現したスキルだ」
『ええええ⁉️』
「俺がなぜみんなの『左のおっぱい』しか吸っていなかったかと言うと、『右のおっぱい』は元来のスキルか潜在スキルを補うためのスキルが発現する可能性が高く、早い段階で発現してしまうと、その補助が十分ではない場合があるから。
つまり、時期尚早。経験を積んで成長させる必要があるということだ。そのタイミングは、その時が来れば分かるから安心してくれ。基本的に、時間制限はないスキルになる」
「左は心臓に近くて、赤ちゃんが安心できるって聞いたことがあるから、それに倣ってるのかなって思ってたけど、そういう理由があったんだ……」
「なぁ、レツ。学園長が仮にいなくなったら、この学園はどうなるんだ? って言うか、それまではどうしてたんだ?」
「聞いたことあるかも。今の学園長になって、人員の削減に成功したってニュースがあった気がする。複数人のスキルで賄ってたんじゃない?」
「その通り。リストラにはなるけど、その人達は良い就職先を紹介されたらしいから、問題はない。バアちゃんが辞めたら、またそういう人材を採用するだけだ。すでに調べは付いていて、中央政府が把握してるしな」
「……」
「……。本当に問題はないのか?」
「当事者じゃないと分からないよね?」
「……。鋭いな……。明らかに成長してるよ、みんな。そう、分からない。だから、考えても仕方がない。やるべきことをやるだけ。ただし、その過程でのチャンスは決して逃さない。それが粛清中の拷問だよ。そこで繋がりが分かるかもしれない」
「流石、レッくんだね!」
「安心したよ」
「……。まだいい? その場合……人材流出と『イービル』との関係性の話だけど、誰の責任になるの?」
スイのさらに鋭い質問に、俺が答えようとしたその時、バアちゃんが戻ってきた。
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