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第十九話……ダンジョンゼロ階層

「みんなで寝るには狭すぎるよね……」

「三人だったらギリギリなんだけどなぁ」

「レツだけじゃなくて、久しぶりにみんなと一緒に寝たかったけど……」

「別に俺は床でいいよ。それか、諦めて俺だけ部屋に行くか」


 全員とキスし終わったあと、ミレイの部屋でみんな一緒に寝たいという希望が挙がったものの、狭いベッドを見て、三人は唸っていた。

 Dランクパーティーの部屋は一つのベッドしかなく、部屋自体もかなり狭いので、床で川の字になるのも無理だ。


「それは嫌だな……。それなら別の暖かい場所で……と言ってもそんな所ないか……」

「……。いや、ある……」


 スイの心から残念がるトーンを聞いて、俺は決心した。


「本当なの、レツ⁉️」

「ああ。実は三つの選択肢がある。とりあえず、学園長室に行こう。風呂に入るなら、着替えを持って行った方が良い。俺もそうする。明日はそのままダンジョンに向かうから」

「う、うん。分かった!」

「でも、学園長も部屋に戻るって言ってたよな? どうするんだよ、一体……。勝手に拝借するのか?」


 ナツの疑問には答えず、俺は元のAランク部屋の前まで急いで向かい、清掃員によってまとめられたドアの前の荷物を持って、またミレイの部屋に戻った。


 学園の寮は、男子寮女子寮などで分かれておらず、階でも分かれておらず、男女ごちゃ混ぜになっているが、ランク毎には分かれていて、その部屋のグレードも決まっている。もちろん、Aランク部屋はそれなりに広々としていて、誰でも満足できる作りになっている。


 Aランク区分からDランク区分までは、相当な距離があるため、それらのパーティーが寮内で邂逅することはない。ただし、意図があればその限りではなく、例えば女子を男子部屋まで攫い、性的暴行を加えることも可能だ。


 『だから、できるだけ集団で歩いた方が良い。今までは運が良かっただけ』とみんなには伝えて、『リトルヴィーナス』はこれまで同様、全員一緒に学園長室に向かった。


◆ ◇ ◇ ◇


 夜でも、『夜間入館届』に全員の名前、目的、場所をその場で書いて提出すれば、生徒は学園に入ることができる。

 今回の目的については、『学園長の特命。後日、確認してください』とだけ書き、特に問題なく入館できた。


 学園長室に着くと、俺は鍵穴を覗き込んだ。


「バアちゃん、鍵開けてー。悪いけど、部屋貸してー」


 俺のお願いに、ガチャっとすぐにドアの鍵が開いた。


「ありがとう、バアちゃん!」


 そして俺達は、外の明かりを頼りに、ほぼ暗闇の学園長室に入った。


「学園長……? どこにいるんですか? サプライズとか、いりませんよ!」


 スイの呼びかけに反応はなく、三人は戸惑っていた。

 俺は再び鍵をかけ、部屋の左、学園長専用応接室の方に進んだ。


「いや、バアちゃんはここにはいないよ。別の部屋にいるから。こっちだ」

「いや、じゃあなんで鍵が開いたんだよ! 怖すぎるだろ!」

「急いで隣の部屋に入ったにしては、静かすぎるよね……」

「もしかして、今のも学園のシステムなの? 合言葉で開く、みたいな。でも、アナログキーだったよね?」


「半分正解。バアちゃんのスキルだよ。セントマリー学園のシステムは全て、バアちゃんのスキルで成り立ってるんだ」

『ええええぇぇぇぇ⁉️』


 俺は、みんなの驚きを他所に応接室に入ると、部屋の右斜め奥を指差し、歩みを促した。


「え……そこには何もないけど……。ドアも何も……」

「みんな枠に入ったな。バアちゃん、頼む!」


 そして、俺達はダンジョンに転移した。


◆ ◇ ◇ ◇


「ど、どこ、ここ⁉️」

「部屋がいくつもあるぞ! 階段の上にも!」

「豪邸みたい……」

「こう見えてもダンジョンの中なんだ。『ゼロ階層』、『管理階層』、あるいは『バアちゃんの部屋』って、俺とバアちゃんは呼んでる。とりあえず、『バアちゃんの一室』に行こう」


「……。頭のパンクは大丈夫そう?」

「考えるのを半分やめた……」

「しかも、この先まだまだあるんでしょ……? 早く寝たくなってきた……。レツにエッチなことしちゃおうかな、とか思ってたけど」


 戸惑う三人が落ち着くのを待ちながら、俺達は改めてバアちゃんの元に向かった。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」


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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


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