第十七話……最強パーティーの誕生
「じゃあ次に、スイの『任意幻影』だが、触れた対象に幻を見せることができる。言葉にする必要はなく、念じるだけでいい。その間、あるいはその後、一瞬だけ触れるのではなく、一秒触れる必要がある。触れるのは肌でなければならない。
見せた幻は動けるし、音声も発することができる。対象の経験と想像力で作られる幻だからだ。それも任意の一部だが、対象が五秒間、目を瞑った場合、完全に任意の幻を見せることができる。解除も自由。
このスキルのすごい所は、幻の持続時間が九十分もあるということ。夢を見る『レム睡眠』の時間にも関係している。つまり、スイの性格に関わりがある『夢』『幻』『騙されたくない』と、やはり整合性との複合が、一部反転して現実になったものだ。
インターバルは同様に一分間。同じ対象に幻を見せるには、もう一度触れる必要がある。対象それぞれの時間だから、時間管理は激ムズだが、その持続時間の長さから、そもそも管理する必要が全くない。俺達の場合、それまでにやるべきことは終わっているからだ」
「わ、私にそんなスキルが……。じゃ、じゃあ、対象に触れなければいけない以外で、注意点やリスクは? ナツの壁の話みたいな」
「ない。強いて言うなら、目を瞑らせられない時は、存在するものをなかったようには見せられない。例えば、七百階層のジャングルを溶岩地帯には見せられないってことだな。目を瞑った場合は、夢や転移を装えるから、任意に見せられるんだ。
ただし、幻の温度は感じないし、触れない。同じ例で、ジャングルを岩場を歩いているように思わせることはできない。『催眠』ではなく、あくまで『幻』だから。それでも、音声が聞こえるように、一部は催眠に近い効果もある。なぜなら、『夢』も含んでいるから。
さらに無理に挙げるとしたら、時間切れになった時にどう整合性を取るか予め考えておく必要があることか。流石に、目の前の人が突然消えたら幻だと思うしかないし、なぜ幻を見たのか疑問に思うからな。警戒心が強まる。
しかし、いずれの場合でもミレイの時間停止と合わせれば、全く問題ない。時間停止して、手を使って目を直接瞑らせることができるし、その間に幻を解除した上で、停止も解除すれば、その時の整合性でどうにでもなる。
対象に触れなければいけないという制約から来る『ほぼ』ノーリスクと言ってもいい強力なスキルだが、それは単独行動をした場合だ。やはりミレイかナツのスキルがあれば、簡単に触れることができる。つまり、『ほぼ』から『完全』ノーリスクになる。当然、通常の『幻スキル』とは一線を画すスキルだ」
「……」
「すごいじゃん、スイ!」
ナツと同様、スイも自分の秘められた力が信じられないような表情で、言葉にならない様子だ。ナツに横から抱き付かれても呆然としていた。
「そして、スイの元来のスキル、『魔力上昇スキル』についてだが、俺にとっては、めちゃくちゃありがたい。なにせ、魔力ゼロの俺でも魔法が使えるようになるんだ。制約が一つ減るんだ。それでいて、俺のスキルの性能は一切落ちない。俺の方こそ信じられないよ……。
ありがとう、スイ。俺の『夢』を叶えてもらったな」
「レツ……。う……うわぁぁぁぁん! 私……私……一生、レツを愛してるから! ママとしても、恋人としても、妻としても! 絶対! 絶対だから!」
今度はスイに強く抱き締められた俺は、彼女の頭を撫でながら、話を続けた。
「『魔力上昇スキル』には、まだ能力があるんだ。他者に対しては、一分毎に魔力上昇量を積み重ねできる。これまでは一回上昇させたら、そこですぐに止めていたはずだ。これもダンジョンでは気が付かないな。スイの反応を見るに、きっと上昇量の小ささで悩んでいたと思う。
そして、自身についても同様だが、実は特定の訓練を行うことで、自身の魔力を普段から底上げできる。底上げできたら、余程魔法を使わない時間がない限り下がることはない。つまり、大魔導士になれる素質を秘めている。もちろん、生半可な訓練ではない。
でも、その名の通りだろ? 『魔力上昇』スキルは。分かりづらいなら、『半永続魔力成長多段階上昇促進』スキルとでも呼ぼうか。
他者の魔力上昇量は自身の魔力に依存するから……あとは分かるな?」
「う……嘘……? 私が……私達が……『大魔導士パーティー』に……『大魔導剣士パーティー』になれる……?」
「おいおい、どんだけ設定を盛ってんだよ、スイ! 羨ましいぞ!」
「スーちゃん、良かったね! もちろん、私達も!」
再び瞳を潤ませて、俺を見上げるスイに対して、『夢ではなく現実だよ』と示すために、俺は優しく微笑み返した。
「私……魔力も全然なくて……二人の魔力も全然上げられなくて……役に立たなくて……だから作戦を立ててたのに、それもダメで……。現実逃避してたのに……。
どうしてくれるの、レツ……。あなたのことが好きすぎて、頭がおかしくなりそう……。ママになれなくなったら、レツのせいだからね……!」
スイはかわいく怒るも、すぐに真剣な表情になった。
「私、絶対に大魔導士になる! レツは無理する必要はないって言うかもしれないし、レツが作戦を立てれば、実際に必要はないと思う。でも、これだけは成し遂げたい。私の我儘、自己満足。レツに相応しい人間でありたい。意識も実力も。
レツには頼るけど、『仮に頼らなくても、私達はすごいんだぞ! 効率重視で、常に無傷生還を果たしたいから、レツのかっこいいところを見たいから頼ってるんだぞ!』って、後ろじゃなくて横に並んで胸を張りたい!」
「ああ! 頼むぞ、スイ! ミレイ! ナツ! 手を繋いで一緒に進もう! 伝説への道を!」
『もちろん!』
そして、俺達は全員で抱き合った。
真の女神達が集うパーティーの誕生を祝って。
この手を決して離さないと誓って。
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