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第十三話……ランク判定の裏基準

「レ、レツ……ん……しっかり育ってね……」


 俺の頭を撫でながら子どもをあやすように言葉を紡ぐスイ。

 俺はそれに応えるように、しっかりおっぱいを吸った。


「ふ、二人共……よく耐えられるね……。レツの吸い方が気持ち良すぎて……邪念が入っちゃうよ……」

「でも、今みたいな感じでいいんじゃないか? 言動も重要だよ、やっぱり」

「うん、すぐに慣れるよ」


 俺がおっぱいを吸っている間、通常は俺とママ以外の時間が停止するが、同時におっぱいを与えようとしてくれるママがいた場合、その影響を受けない。

 今はミレイの部屋で、三人全員が胸をはだけている状態だ。


「よし。それじゃあ、完全防音の学園長室に行こう。そこでナツとスイに、俺がミレイに話したことを話す」


◆ ◇ ◇ ◇


「殺人……粛清……」

「これは確かに頭がパンクするね……」


 学園長室で俺から説明を受けたナツとスイは、戸惑いながらも、できるだけ受け入れようとしてくれているようだ。二人の潜在スキルについては、話の流れを考えてあとで話すことにした。


 そしてバアちゃんには、あれからの成り行きも説明した。午後七時でも、学園長室にいてくれて助かった。


「流石だね、レツ。まさか、今日中にママを三人にするなんて思わなかったけど、確かにそれが自然な流れか。それだけ『リトルヴィーナス』の絆は強いってことだ。素晴らしいことだよ。『メガミバースト』を彷彿とさせる。レツがいなかったら、私が師匠になって、プロデュースしたいぐらいだ」

「ああ。運命と言っていいと思う。そこで、バアちゃんに念のために聞いておきたい。ダブルAランクは確実ってことでいいよな?」


「もちろん。私が責任を持って絶対に通すよ。トリプルAはいつ頃になる? あまり早すぎると、学園外でも有名になりすぎちゃうからね」

「いや、トリプルAは飛ばして、そのまま千階層を目指す。粛清が全て終わる頃だから、一ヶ月後ぐらいかな。それならすぐに有名にならず、千階層と学園外で『イービル』の撲滅活動をしやすい」

「たった一ヶ月でレジェンドランク……。と言うか、そもそもそんなことできるの? 九百五十階層に行ったら、トリプルAランクでしょ? 認定を延長するにしても、最高難度五十階分はダテじゃないんじゃない? その前に延長限界が来るっていう意味で」


 頭の整理が少しできたのか、スイが当然の質問をしてきた。


「認定の話だから、私から説明しようか。まず、九百五十階層に行くだけでは、トリプルAランクに認定されない。レジェンドランクに間違いなく到達できると審議会で判断される場合のみなんだ。そうじゃないパーティーになんて多額の予算は使えないってことだね。

 歴代のトリプルAランクパーティーは、全てレジェンドランクに上がり、素晴らしい役割を果たしている。九百五十階時点での審議会の目に狂いはなかったという証左だ。当然、現時点の全てのAランクパーティーは、その器じゃない。そういう意味でも消えてほしいんだよ」

「学園の闇とも言えるし、合理的とも言えるし……」

「闇と言うと悪いイメージがあるから、裏基準と言うべきかもしれないな。超厳しい内申点と個人調査表みたいなものだよ。ちなみに、全てのAランクパーティーが『俺達はトリプルAランク確実だ』と大口を叩いている。滑稽を通り越して、『哀れだなぁ』と思うね」

「そうなんだ……。でも、九百五十階までは全然先だから、記録の大幅更新だけをみんな狙ってるってこと?

「それだと、全パーティーが同じ階に入り浸ることにならないか?」


 ミレイとナツの疑問も尤もだ。


「その通り。でもそうはなっていない。なぜかと言うと、その特権は一位のパーティーしか持ってないんだ。その座を争っていると言ってもいい。一番記録を狙いやすい階をいち早く探せるのが、そのパーティーだから。さらに、牽制し合ってるから、他のパーティーはそこに来ない。そして、そのパーティーがその階にいないってことは、記録を狙えない階なんだなと他のパーティーはすぐに分かる」

「うわぁ、論理的だぁ……」


「当事者になれば自然と分かるよ。Bランク以下は記録のことを考える余裕もないだろうし。例えば、トリプルBランクを狙うパーティーもいないからな。もったいないよなぁ」

「その言い方をしたってことは、私達が知らないメリットでもあるの?」

「学園長が答えてくれそう」

「ああ、もちろん。トリプルAランクに限らず、全てのトリプルランクは必ず審議会で判定される。その際、学園が全面バックアップするに値するかどうかも、全てのランク層で検討されるんだ。その基準は、トリプルAに比べて全然厳しくない。

 では、そのバックアップとは何か。『俺達はレジェンドランクに行きたいんです』と真剣に言えば、それに必要な情報や攻略アドバイスをいつでも得られる権利が与えられること。さっきの『九百五十階に行くだけではトリプルAランクになれない』って話ももちろん含まれる。生活態度や考え方を改め、罪も償わないと絶対に認められない、とかを早い内に知ることができる。

 つまり、一度でも、最底辺のGランクでも、トリプルランクにさえなれば、安心して最高効率でダンジョン攻略に挑めるわけだ。一度ランクが上がると後戻りできないのは、そこが大いに関係してるんだよ。

 言わば、一歩一歩着実にランクを上げていく慎重さと誠実さを持ち合わせたパーティーへのご褒美かな。この学園がプロセスや手続きを重視しているのは気付いていると思うけど、パーティーの性格やダンジョン攻略にも当てはまるってことだ」

「確かに、そこは私達も重視していましたけど……」


「『リトルヴィーナス』は、着実ではあったが、クリア時間に改善が見られなかったから、前に進んでいるとは判断されなかった。判断されていたら、学園側から声がかかることもある。もちろん、学園に相談すればアドバイスはもらえる。

 でも、そこには具体的な問題提起と論理的な説明が求められる。『ランクが上がらないんですけど、どうすればいいですか?』と聞いても、『自分達で考えてください』としか言われない。『このように考えて、問題はコレだと結論付けたんですけど、どう思いますか?』と聞いて、初めて『それは違います。なぜならこうだからです。そのために必要なことは……』というアドバイスが得られる」

「裏ルール多すぎません?」

「授業料を確保しながら、荒くれ者を炙り出すためだろうけどなぁ……」

「冒険者と言えど、成人であり社会人なわけだから、自由とか自己責任という言葉に甘えないでほしいんだよね。学園は機械じゃなくて、人間が運営してるんだから。事務の窓口だって、警備だって、一人の人間が仕事してるんだよ。その人達に悪態付いてる奴は当然報告されて、パーティーの評価にも繋がってる。

 その点、『リトルヴィーナス』の素行評価は高かった。ビジュアル人気もあるし。あとは、実力が伴ってくれればと学園側の誰もが思っていたことだよ。荒くれ者に散らされて堕天しないかとも。こっちからは絶対に言わないけど」

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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


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