第十一話……女神のイメージ
「なんなのアイツら! 下品すぎでしょ! 人種までバカにして!」
「うん……。良かったよ、ナッちゃんがちゃんと断ってくれて」
「行くわけないだろ、あんなところ!」
「……。だがもし、ナツの精神が不安定な時に、こう言われたらどうだったろう。『それは男女の自然な行為であり、人間の、全ての生物の本質だ。否定すること自体、間違ってるんだよ』と」
『……』
俺の言葉に、三人は黙ってしまった。
「レツは……どっちが私にとって幸せだと思う?」
「分からない。それは本人にしか分からないし、決められないことだ。ただ……」
「ただ?」
「少なくとも俺は……ナツがアイツらといるところを想像したら、心底嫌だなと思った。もちろん、ミレイもスイも……。俺のママも女神も、俺が知っている『そのまま』でいてほしいと」
「ああ。私もそれが『自然』だと思ってるよ。この『自然』は決して揺るがない。もし不安だって言うなら、私を『保護』してくれよ。愛を持って大切に。もちろん、そうでなくても、母なる大地はできる限り恵みを与えるけどさ。アイツらには、『自然の厳しさ』を教えてやりたいね」
「ふふっ、そうだな。ナツこそ、良い言葉のセンスだ」
「よし! じゃあ、いっぱいエッチしてくれるってことだな!」
「……。そう来るかぁ……。良い『外し』だ」
「ナッちゃん⁉️ レッくんも、なぜか感心してるけど!」
「ナツがビッチになった! 実は、『男女の自然』に興味津々だったんだ!」
スイがナツに指を差しながら、片足を引いて妙なポーズをしていた。
「スイだって興味津々だろ。昔からムッツリすけべなんだから。もう、レツは入っちゃたんだから、力を抜いて受け入れろよ。ママになる気が一切ないなら、そもそも流れで入れないだろ? それこそ、ビッチじゃん」
「まだだから! 夢かもしれないから! 酩酊状態かもしれないから!」
「まだ先っちょだけだもんな。これからどんどん激しく動いて行くんだもんな」
「また、レッくんが言ってみたかっただけのセリフを……」
「お、ミレイはそのネタ知ってるのか。意外だな。ミレイこそムッツリだったか」
「あ、それ私のせい。ミレイがかわいすぎて、お風呂場で後ろから抱き付きながら、耳元で囁いたことがあったから」
「……」
「め、女神らしくないよね?」
ミレイがモジモジしながら、俺に女神のイメージを確認してきた。
「いや、逆だよ。懐かしさを覚えた。ちょっとだけそれを想像できる記述が『メガファー』にあるからさ」
「レツの『メガファー』の解釈、聴いてみたい。メタファーの時みたいに、気が付かなかったことがあるかもしれないから」
スイの希望に、俺は遠慮なく応えることにした。
彼女には、いずれ全てを話すことになると確信しながら……。
「『彼女にしたい人類ランキング』一位のメイコに対して、二人が『自分も男だったら絶対にメイコを彼女にしたい』と言っていたことが『メガファー』には書いてある。それに対して、メイコは『私は欲張りだから、二人とも彼氏になってほしい』と言った。
一方、『メイコバーストの章』の全く別のページそれぞれに、『みんな仲良しなので、私を真ん中に川の字になって、喋りながら寝ることもあります』『二人は私が寝ている時にイタズラするのが好き』『モンスターが複数いると逆に燃えるんです』とある。
これらを全て繋げて、三人一緒に同じベッドで寝る時に、両端の二人が半分狼になり、自分に対して卑猥なセリフで口説いてきたり、性的なイタズラをしてきたりする行為が大好きと捉えられるから、メイコも強引に迫られたり、気持ち良くしてもらったりすることが好きと解釈できる。もちろん、男抜きの話。
そういうのが好きと言うファンも当然いるが、それでもイメージを一切壊さないように、しかし妄想もできるように、各ページの同じ位置に散りばめた」
「面白いけど、飛躍しすぎじゃない? そこまで考えて書くなんてあり得ないし、読者も絶対に気付かないし……。でも、その方が……」
「私達もミレイに似たようなことやってたから、その方が親近感が湧くって言うか、運命のフォロワーパーティーらしいって言うか」
「ふふふっ、そうだね。その方が素敵だね! 『メガミバースト』に益々近づきたくなった!」
三人はとても嬉しそうな表情をしている。話して良かった。
実は、俺も嬉しいんだ。俺が『リトルヴィーナス』に抱いていたイメージが『メガミバースト』だったから……。
でも、結果を急ぐ余り、声をかけるのを後回しにした。
いや……もう二度と同じように悲しみたくなかったから、か……。
しかし、今ではそう『させなければいい』と考えることができる。簡単なことだったんだ。
「よし。それじゃあ、事務処理センターに行くか!」
『了解!』
それから俺達は、事務処理センターに行き、『ランク認定保留希望届』を提出、明日の決戦に備えた支給品を事前申請した。
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