ep3
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「でも、ディアはシェリル様が使用人を意図せず無視してしまったこと、そしてひどく落ち込んでいたことも知っています。使用人に厳しいのも、いつか目上の人に使える時、我が家の使用人に恥をかかせないようにしているためなのも知っています。
ティアラ様は我々に甘いですから…今はいないシェリル様に使えていた使用人は、仕事ができること、マナーの良さを買われて上位貴族様や王族のお抱えにもなっています。
ですから、決してティンダルーク家に使えている者たち皆が
シェリル様を良く思っていないわけではありません」
ぽろぽろと涙が溢れた。
そうだ。そうだった。いつでもシェリル(わたし)はみんなを想っていた。
ゲーム上のストーリーだけでは分からなかったこと…。シェリルがこんなにも不器用で優しいなんて知らなかった。
「ディア……あなたは本当に私を想ってくれているのね…
本当に…ありがとう…愛しているわ」
これは、わたしの気持ちでもありシェリルの気持ちでもある。
シェリル自身になったからこそシェリルの気持ちがよくわかる。
(もうこれは この子だけの問題ではありませんねぇ…)
この子はただ不器用なだけなんだ。いろんな可能性を考えて、考えて…考え過ぎちゃってるんだ。まだ14歳の子供なのに。
(ゲームが始まるのは、高等部に入学するところからだから…あと1年ちょっとですか…。)
少しずつシェリルである私と記憶を合わせて、この状況に慣れないといけない。
元いた世界に未練がないわけじゃないけれど。でもここで元いた世界のことを考えても仕方がない。
今のことを考えなくては。私にとってシェリルが完全な悪役ではないことが分かった。
エンディングを迎えるのは高等部卒業のとき。それまでにバッドエンドのフラグは折っておきたい。
そして、私にとって幸せなエンド…ハッピーエンドにしたい。
(ゲームが始まるまではあと1年。エンディングを迎えるまではあと4年…
大丈夫…まだなんとかなります…!!
とりあえずの目標は、死刑回避!!リルくんとハッピーエンドです!!)