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No Where.


あなたはきっと

僕のことをわからないでしょう


道ですれちがっても

同じベンチに座っても

僕を僕だと判らないまま

通りすぎるだけでしょう

それでいいのです

あなたが僕を知らないように

僕もあなたを知らないのだから


これはそんな出会いです

ここはそんな場所なのです


白い画面のこちらがわで

僕は言葉をおくりだし

あなたがそれを受け取るのです

その逆もまたしかり

あなたが言葉をおくりだし

僕がそれを受け取るのです


これはそんなふれあいです

ここはそんな場所なのです


紡ぐ文字がすべてだから

存在さえも曖昧になる

無音声の世界だから

響く嘘が愛おしい


ありったけの嘘をおくりましょう

くもり一つない真実に見せかけて

ありったけの真実をおくりましょう

ごまかしだらけの嘘に見せかけて


これはそんな騙しあいです

ここはそんな場所なのです


そんな場所といいつづけるのも

そろそろ飽いてまいりました

ここはどこでもない場所です

ここはどこでもある場所です

そんな馬鹿なとお思いでしょう

納得なさらなくて結構です

どこにもなくてどこかにある

そんな場所だと思っていただければ

どこかにあってどこにもない

そんな場所だとあきらめてくだされば


ここはそんな場所なのです

特別なことなどひとつもなく

ありふれたことなどひとつもない

毒にも薬にもならないような言葉を

僕が紡いでいるだけの

在りながら無い場所なのです


一つだけ本当をさしあげましょう

僕はただ

できるかぎり誠実に

できるかぎり対等に

人を見つめてみたいのです

嘘を重ねてみたいのです


どこでもないここならば

それができようかと思うのです

どこにもないここだから

そうしてみようと思ったのです


あなたは僕をわからないでしょう

それはそれでかまいません

僕もあなたをわからないのですから

それはそれで公平というものです

ですがもう一つだけ

あなたにお伝えしたいことができました



ようこそおいでくださいました

どこでもないこの場所へ

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