いきなりはビビる
それは突然鳴り響く。
ダンダンダン!
激しく叩きつけられる音。
ノックにしては激しすぎる。
ダンダンダンダンダンダン!
元々、睡眠なんて必要ないから、
ぼーーーーーっと、システム画面を見ていた。
いきなりで少し、ほんの少しだけ、びっくりした。
驚いてイスから落っこちた、なんてことはない。
ないよ。
ダンダンダンダンダンダンダンダンダン!!
よいこら、とイスに座り直し、画面を操作。
騒ぎの原因を覗き見る。
画面に映る、いつもの顔。
ニカニカと朗らかな笑顔の人族の若い男。
大振りな両手剣を背負っている。
鎧の類いは着けていない。
片手には気を失ったであろう、ウチの門番が襟首掴まれている。
まるで、ゴミのようだ。
足元からは二本の線が延びている。
あー、そこまで引き摺られたか?
…まぁ、いつものことだ。
男は壁叩きを止めて、こちらに向く。
「おーい!オレオレ!ダンちゃんいるー!」
ため息を一つ。
コアに指示。
男が先程から殴り付けている付近に、いつものドアを設置。
それが完成する間に、とりあえず、ざっと片付けておく。
ちょこちょこと、普段から片付けているから、そんな手間じゃない。
イスに座り直した所で、ドアが完成。
直後、ガチャリとノブが回され、現れる先刻の男。
こちらを認識すると、よっ♪と片手を上げてニカリと笑う。
「よっ!ダンちゃん」
私は、ヨーコだ。