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6.薬草群生地

 すごい!すごいぜイムちゃん!!

 イムちゃんの案内に従って山の中を動き回ると、薬草の群生地に辿り着くことができた。野生の感が働いているのかと思ったが、どうやらイムちゃんは昔このあたりに住んでいたことがあるらしい。確かに俺がイムちゃんと出会った山からほとんど距離は離れていなかった。


『すごい?イムすごい?』

 ああ、すごいよイムちゃん!本当にありがとう!!

『えへへーあるじ様―もっと褒めてー』

 本当にいい子だ、ありがとうイムちゃん。よしよし。


 俺はイムちゃんを撫でると、イムちゃんは嬉しそうにぷるぷると震える。さあ、採集にとりかかるぞ!!

 

 夢中になって薬草を集めていると、いつの間にかイムちゃんとは違うスライムが数匹、俺の周りに来ていた。イムちゃんよりもちょっと色が薄く、白っぽい水色のスライムだ。大きさはイムちゃんとそんなに変わらず、危険な感じもない。


『人間さんだー』

『人間さんだねー』


 スライムたちが珍しそうにそんなことを思っている。

 やあ、スライムさんたち、こんにちは。

 俺が思念を送ると、スライムたちはそろって、びっくりしたように飛び跳ねた。


『わわわっ、考えてることがわかる!』

 そうなんだ、俺は人間の中でも特殊で、魔物の言葉がわかるんだよ。

『へぇー面白い人間さんだねー』

『イムのあるじ様なんだよ!!』


 俺の横で薬草取りを手伝っていたイムちゃんが得意げに言った。体が小刻みにぴょこぴょこと震えている。人間だったらドヤ顔をしているか、胸を張っているだろう雰囲気である。


『そうなんだー』

『それなら、僕たちのお願いも聞いてもらえるかなー』


 そう言って、スライムたちは俺に対して、困ったような思念を向けた。


『あのねー、ここからあんまり取らないでほしいのー』

『ちょっとくらいならいいんだけど、僕たちが怪我を治すことができなくなっちゃうのー』


 え、スライムも治療に薬草を使ってるの?


『そうだよー』


 そうか、それなら俺が薬草を取りつくしてしまっては大変だね。勝手に取ってしまって申し訳ない。


『いえいえーこれくらいなら、大丈夫だよー』

『優しい人間さんで、よかったー』


 せっかく魔物と話すスキルを手に入れたのに、敵対してしまってはありがたみも半減だ。まだ大した金額になりそうにないから、ちょっと残念だけど……

――そう思っていたら、一匹のスライムがこっちを向いた。


『その代わりねー他の群生地も教えてあげるからー少しずつなら取って行ってもいいよー』

 え?本当?

『確かにー、他の人間さんたちが知らないところ、いっぱいあるし、教えてあげるよー』


 今の量だと大した稼ぎにならなさそうだったので、とてもありがたい。しかし、このスライムたちは人がよすぎないだろうか。悪い人間に騙されないか、心配になってきた。


『あははー、僕たちだって、相手は選ぶよー』

『スライムのことを、ちゃんと認めてくれそうな人だから、教えてあげることにしたんだー』

 それは光栄だが、責任も重大だなあ。誰にもばれないようにしないと。


『さすがあるじ様だねっ!!』

 イムちゃんは嬉しそうに飛び跳ねた。


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