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ある星のうた  作者: 福田有希
第二部;学校生活
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第二部第十九話;美里の心

 今日、朝に学校行ってみると、

 クラスではテストの話題でざわついていた。


「一体何処からテスト勉強すればいいんだ・・・。」

「テスト教科がわからないと本当にテスト勉強ができないよね。」

「後二日しかないのにどうしたらいいんだ!」


 後2日・・・そう今日は9月13日

 テストまで後2日しかないのだ。美里は焦っていた。

(瑠奈ちゃんも有香ちゃんも一体何?、

 それにあの由真君も凄い集中して次々と問題を解いてた。)


 美里は昨日のテスト勉強の様子を思い出していた。

(ただの集中力じゃない。問題の解き方も、計算の速さも凄かった。

 それに暗記する科目もすらすらと解いていた。

 全部暗記してるって事?あの量の問題を?

 そんな馬鹿な。あんな広範囲にわたって覚えきれるわけがない。)

 美里の気持ちに焦りが見えていた。


「み~さとちゃん。」と声が聞こえて美里は、(はっ!)となった。

「どうしたの?なんか顔色悪いよ?」ルナが言った。

「ごめん大丈夫。ちょっと考え事してた。」

「テストのことが心配?」

「うん、やっぱり教科がわからないと不安しか出てこないよ。」

 美里は本音を漏らした。

「教科がわからないなら、

 何の教科が来てもいいように勉強すればいいと思う。」

 瑠奈の言葉に美里はいらつきを感じた。

(それができたら苦労なんてしないって言うのに。)


「ルナ。ここの問題って何でこうなるんだっけ?」と由真が言った。

 ルナは由真のところに行って、

「これって参考書の126ページに書いてあるよ。」と言った。

「参考書にこの問題って書いてあったっけ?」

 といって由真が参考書を開いて見ていた。

「これって公式が書いてあるだけじゃん。」


「何でこの公式が出来たかわかる? これはね・・・。」

 といって公式を解いていった。

「この公式を解くと、こういう意味があるの。それだから・・・。」

 と言って問題を解いていった。


「へぇなるほどね。瑠奈ちゃんの解き方って公式を使ってないことが多いけど、

 基本的に公式を使って解いていることになるのね。」と有香が言っていた。


「瑠奈ちゃんって、公式を使ってないの?」と美里は驚いてルナに言った。

「一応、公式は使ってるよ。

 でも公式を解いて必要なところを使って解いてるほうが多いかな。」

 美里はおどろいてルナの解いた問題を見ていた。

「なに?この解き方!こんなの習ってないよ?」美里は驚いていた。


「え?全部習っているはずだよ。

 公式を式として暗記してるから習っていないと思っちゃってるんだよ。」

 ルナは普通にそう答えた。

「瑠奈ちゃんの答えの解き方ってね。ちょっと変わってるんだよ。」

 と有香が言った。

「私はね。そこまでに至った経緯と言うものに興味があるの。」

 ルナが話し出した。

「経緯って?」美里はどういう意味かわからなかった。


「今、私たちが簡単に

 『この問題はこれを使えば簡単に解ける。』とか

 『この公式を使って解けばいい。』とか

 凄く簡単に言っているような気がするの。

 でもね、その公式が出来た経緯と言うものを大切にしたいの。


 歴史もそう、『こういう時代がありました。』とか

 『何年にこういう事件が起きました。』というもので終わりたくないの。

 そのときにこういう時代がありました、

 そこでこういう事件がありました。

 その事件が起きたのはこういうことが原因でした。


 そういう時代背景やその事件に至る問題とか

 そういうところまで覚えていきたいの。

 そうしていくとその時代のさまざまなことが見えてくる。

 その時代の生活、生き方、考え方そういうものが見えてくるの。

 そうするとね、なんか覚えるのが凄く楽しくなってくる。

 勉強って言うと嫌な気持ちになるけど、

 先人達の知恵、勇気、考え方、私はそういうものを覚えていくのが好き、

 そうしたら嫌いなものも好きになってきたの。」


「だからなんだよね。

 瑠奈ちゃんの部屋って凄い歴史書や凄い難しい数学書とか一杯あるんだよね。

 ぜんぶ図書館の本だけど。そんな学術書を借りてるのって

 瑠奈ちゃんくらいだよ。」有香がそう言った。


「暗記方法に頼らないっていうこと?」美里はどうしても知りたかった。

「暗記はするよ。絶対に暗記って必要だもの。

 だけどただ暗記すると言うだけだと無理があると思わない?」

「うん全部覚えるって言うことは絶対に不可能だと思う、忘れていくから。」

「そこを忘れないようにその時代とかこういう事件があったとか

 いろいろなものとくっつけて覚えているの。」

「どういうこと?」と美里は聞いた。


「どういったらいいのかな・・・。

 たとえば『オームの法則』ってもうとっくに習ってるから

 知ってると思うんだけど、

 『導電現象において、電気回路の部分に流れる電流と

 その両端の電位差の関係を主張する法則』でしょ?

 でも、もともとはヘンリー・キャヴェンディッシュと言う人が発見をして

 オームって言う人は再発見して発表した。

 

 ヘンリー・キャヴェンディッシュの発見を見ると

 クーロンの法則も発見しているし、

 水は化合物であるという実験も行って発見してる。

 水素の発見や、さまざまな気体の膨張率も発見している。

 後にシャルルの法則で発見されてるけど

 ヘンリー・キャヴェンディッシュは

 シャルルより7~8年前に独自で発見をしてる。

 たった一つオームの法則を調べただけで

 クーロンの法則やシャルルの法則にまで達することが出来るし、

 その法則を調べていくとさまざまな計算式とかが出てきて

 ベクトル解析とか法線ベクトルなどに行き着いたりする。

 

 一つの事柄から、さまざまな分野に無限大に知識が広がっていくの。


 そういうことをしていったら

 実は『問題から答えを導き出せばいい。』という単純なものではなくって、

 本当はその中間にある工程、やり方、解き方のほうが

 一番重要じゃないかって思ったの。」ルナが説明した。


「工程、解き方、やり方という中間肯定の重要性というのは

 僕も実は同じ考え方なんだ。」と僕は言った。


「私は逆でさっさと答えを出しちゃいたい派だから

 必要な公式を使って答えを出すから、

 根本的に由真や瑠奈ちゃんとは違うけどね。

 でも瑠奈ちゃんの言った

 『一つの事柄から無限大に知識が広がっていく。』

 という考え方には賛成なのかな。」と有香が言った。


(この人たちと私は根本的なものから違っている。)と美里はそう思った。


 私はただ親に喜んで欲しいから、

 それだけで私はいい点数を取ろうと考えていた。

 小学4年生のとき100点を取った。親は凄く喜んでくれた。

 でもいつからだろう。

 良い点数、良い成績をとっても親は全く喜んでくれなくなった。

 だから私はもっと頑張らなくちゃ。もっと勉強しなくては。

 って感じて頑張ろうと思ってた。

 でも私には親がいない。喜んでくれる親がもういない。


 私には由真君や瑠奈ちゃんや有香ちゃんがいるだけだ。

 でも私とは根本的に違っている。


(わたしは、いったいどうしたらいいのだろう。

 わからない。本当にわからないよ。)


『覚えていくだけじゃ駄目だよ。解いていくものだよ。』

 瑠奈の言葉が美里に聞こえてくる。

 解いていくもの。それはわかってる。

 問題を解いて答えを導き出す。それだけじゃ駄目なの?

 私はよくわからなかった。

 本当の意味での『解く』という意味が私には良くわからない。


「基本的にはテストって答えがちゃんと出ていればいいんだから、

 結局は中間工程というものは無視されちゃうんだけどね。」

 ルナがとても残念そうに答えた。


 学校が終わって私たちは放課後に家に帰って一緒に勉強をやった。

 昨日と同じように瑠奈、由真、有香は

 凄い集中力で次々と問題を解いていった。

 美里はこの3人の集中が途切れ無いことがとても不思議だった。

 三人をずっと見ていると有香がちょっと休憩に入った。

 美里は有香に聞いてみた。「なぜそんなに集中できるの?」

「集中が途切れたから今、休憩してるんだよ?」と有香が言った。

「でも今まですごい集中してて問題を解いていってたよ?」


「私は一時間が限度かな。でもあの2人を見てみなよ。」

 美里は由真と瑠奈を見た。

「たぶん由真はもうそろそろ途切れるころかな。

 でも瑠奈ちゃんは最後の最後まで集中は途切れないよ。」

 有香がそういったときに由真が休憩に入った。

「疲れた。紅茶を飲みたいよ。」といいながら台所に来た。


 1人ずっと問題を解いているルナを3人は見ていた。

「由真君、あのさ由真君ってそんなに集中できていたっけ?」と美里は聞いた。

「やっぱりルナが来てからかな。」紅茶を飲みながら由真が言った。

「ルナの集中力ってさ。もう別次元なんだよ。最初はびっくりしてた。

 でも集中してるルナを見てると

 時々微笑んだりしてるのに気がついたんだよ。」

「それ私も見たことある。時々笑顔になったりするんだよね。」

 と有香が言った。


「微笑んでるの? どうして?」

「たぶん本当に楽しんでいるんだと思うよ。

 その問題を読んで凄く楽しく問題と遊んでいる感覚なんだと思う。」

「問題と遊んでいるって?どういうこと?」

「つまりさ。楽しいときとか、

 遊んでいるときとかってものすごく早く時間が過ぎていくだろ?

 ルナにはテストをしている、勉強をしていると思ってないんだと思う。」


「勉強してる感覚じゃなくって

 今、瑠奈ちゃんは遊んでいるという感覚と同じなの?」

「遊んでいるというと語弊があるかな。

 楽しんでいると言ったほうがいいかもしれないな。

 新しいことを覚えていてとても楽しい。という感覚だよ。」

「勉強を勉強だと思ってない。って言えばわかるかな・・・。

 私も瑠奈ちゃんと勉強してて楽しいの。」有香が言った。


 由真と有香が勉強をしに机に向かった。

「よし始めますか。」「もうちょっとで終わるね。」

 といってお互いに笑顔になった。

 私はその笑顔が本当に楽しんでいるように思えた。


 勉強することがこの人たちには

 『楽しい、新しいことを覚えることが嬉しい。』

 とそう感じていたことに美里は驚いた。


 私はいままで楽しいとか、嬉しいとか感じたことがあったのかな。

(親が喜んで欲しい、親の喜ぶ顔がみたい。)

 と常に他人に喜んでもらうためだった。

 私自身が楽しい、面白い、嬉しいと感じたことが全くなかった。


「新しいことを覚えれることが楽しいってどんな感じなんだろう。」

 美里は感じてみたかった。

 新しい発見をするような感覚を私も感じてみたいと心から思った。

 そして勉強を始めた。

 美里はルナの言葉を思い出した。


『集中力って本当に続くものじゃないからすごく大変だけど、

 なにかをしようという気持ちが集中力を助けてくれるの。』

 私は覚えたい。勉強をもっと楽しくやってみたい。

 新しい発見を体験したい。と願った。


 美里はやっと今日の予定していた勉強のところまで一気にやってしまった。

 時計を見たらもう夜の9時を過ぎていた。

 はぁ・・・。本当に疲れた。頭が凄く重たい感じがする。

 でも、考えているとき頭の中がビリビリという感覚があって

 とても気持ちがよかった。

 美里は周りを見るともう誰もいなかった。


「え? あれ?」といって美里は急に立ち上がった。

 凄くふらふらして倒れそうになってしまった。

(危ない!)と思った瞬間、美里は由真に抱きかかえられていた。

「美里、急に立ったら危ないじゃんか!」由真は美里に怒っていた。


「美里ちゃん すっごい集中していたもんね。」ルナが言った。

(私が集中していた?この私が集中して問題を解いていた?)

「美里ちゃん、時々笑顔が見えてたよ。楽しかった?」有香がそう言っていた。


「えっとどうだろう・・・。なんか今は凄い達成感を感じる。

 一つ一つ問題を解いていくとなんか凄く気持ちよかったの。」

「楽しかったんだね。よかった。」

 ルナがそう言って美里を抱え椅子に座らせた。


「さてもうご飯が出来たから、一緒に食べよう。」


 美里はなんだか凄く嬉しかった。

 本当にどういっていいのかわからない喜びを感じた。

「みんな本当にありがとう。」


「私たちって美里ちゃんに何かしたっけ?」ルナがそういって頭を横にした。

「いいんだよ。美里には凄い体験をすることが出来たんだから。」

 僕は美里を見て言った。

 美里はすごい笑顔でうなずいた。


「明日はテスト勉強最終日だ! 明日も頑張ろう。」有香が言った。

「おぉ!!!」と元気にルナが答えた。

「でも夜11時には寝るようにしような。

 テスト中に寝てしまって惨敗となったら最悪だ。」と僕が言うと、

「あれ?もしかして由真君 経験ありって言う感じ?」と美里が聞いた。

「思いっきり経験者だよ。起きたときは青ざめてたよ・・・。」

 と僕が言うと、みんなで笑いあっていた。


 僕達は食事を食べ始めた。凄く楽しくて美味しい食事だった。



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