表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある星のうた  作者: 福田有希
第一部;出会い
3/61

第三話;奇妙なふたり

 火星大接近を見に行った僕、

 そして僕は急に目の前が暗くなり

 頭が痛くなりそこから記憶が消えた。

 そして朝に起きたら、

 赤茶色のロングの可愛らしい女性が僕の家にいた。

 その女の子の名前は「ルナ」といい、

 自分を火星人だと名乗った。


 ルナは火星で地球大接近をみていたら、

 急に地球に移動し僕とぶつかったと言う。

 そして僕の体を治し生き返らせたという。

 生き返らせるのに自分の細胞を僕に与えて、

「生のつなぎ合わせ」というものをしたそうだ。

 つまりルナと僕は、

 完全に心がつながった状態になったと言うことらしい。

 しかし問題はそこからはじまり、

 ルナは火星に戻る方法を知らない。

 そもそも火星に戻ることが出来るのか?


 火星から地球に来たときは、

 何も判らずに急に移動されたと言う。

 それならば逆も出来るんじゃないか?ということで、

 僕とルナは裏山に行き、

 2人で火星を見に行ったが何も起きなかった。


 何も起きないまま8月10日を迎えてしまう。

 そうあれから一週間が経ってしまったのだ。

 その一週間の間、ルナは落ち込みはせずとも

 悲しさがでてきたように思う。

 人間で言うとホームシックのような感覚だった。


 ルナと僕は、心がつながってしまっているので

 ルナの感情が流れてくる。

 とても寂しい感じだった、

 でも初めての地球を楽しむかのように、

 明るく振舞おうとして元気に見せようとしていた。

 僕にはそれがなんか辛く感じた。


 その僕が辛く感じていることを

 ルナは感じてしまっているようで、

 いつも「大丈夫だよ!」って逆に励まされている。


 心や感情が判ると言うのは本当に不便だ。

 僕にはそのように感じていた。

 ルナはどう思っているんだろう?

 僕の感情が心が入ってくる感覚は

 火星人には普通なのだろうか?

 ぼくにはよくわからない。

 人の気持ちが判るのは、

 地球人にはない感覚だからだ。


 でも、はっきりといえることがある。

 ルナは寂しくても今の状況に順応しているし、

 楽しく生きようとしている。

 僕に出来ることは、

 ルナを寂しくしないことなのかもしれない。

 僕たちの奇妙な生活がスタートした。


「あのさルナ、すごく不思議に思ってること聞いていい?」

 ルナはなんだろう?という不思議な表情をした。

「やっぱりルナにも両親とかいるんだよね?」

「もちろんいるけど、私の両親のことが聞きたいの?」

「聞きたいと言うのはもちろん聞きたいけどね。

 どういう人なのかとか、お仕事何してるのかな?とか

 いろいろと聞きたいことは沢山あるんだけど。」

「あるんだけど? なに?」


「名前って親から付けてもらったの?」

 僕の質問にルナは不思議そうな顔をした。

「親だったりいろいろな人がいるよ、

 私は親からつけてもらったかな。」

(ふーん・・・そうなんだ・・・。)

「あのさ。ちょっと聞いていい?

 ルナって言う名前のことなんだけど・・・。」


 火星人なのに月の女神の名前をつけるってありなのか?

 僕は今までの違和感をぶつけてみた。


「名前? ルナって言う名前って地球ではおかしいの?」

「ローマ神話にでてくる月の女神の名前だよ。

 ギリシャ神話だとアルテミスになるのかな。」


「神話っていうことは、地球の神々の名前ってこと?」

「うん。火星の人なのに、

 月の女神の名前って不思議だなぁっておもってさ。」

「由真って本当に不思議なこと考えるんだね♪」

 不思議なことを言っているんだろうか。

 なぜか腑に落ちない気分になったりする。


「名前なんて個人が考えているほど、

 意味があったり無かったりするものよ。」


 そう言うものなのかな?

 名前の由来って何も無いものが多いのかな?


「それなら由真の名前の由来って何?」

「僕の名前は母親が付けてくれたんだ。

 由が『よりどころ。人の上に立つ。』で、

 真が『真実』と言う意味で、

 そこで『ゆま』だと女の子みたいだから、

 『ゆうま』ってつけてくれたらしいよ。」


「ふーん・・・由真の名前の由来って

 そう言う意味があったんだね。

 でも、YUMAって英語にすると

 アメリカ先住民族のユーマ族になるらしいよ。

 そして『首長の息子』という意味になるから、

 先住民族が好んで

 Yuma(ユーマ)と名づけていたんですよ。」


「げ!!! マジ!!!」


「うん。だから名前なんて

 場所が変わっちゃったら意味が変わっちゃうんだから、

 すっごく無意味なことなんだと思わない?」


 たしかに名前なんてどうでもいいのかなって思った。

(僕は由真で、隣にいる女の子はルナだ。

 それでいいんだと思い始めた。)


「あのさルナ 料理をさ、

 いつも作ってくれて本当に嬉しいんだけど、

 地球の料理ってどうやって覚えたの?」

「え? 料理の本を読んだり、テレビで見たりして、

 地球の食べ物と言うものや作り方を覚えていったんだよ。」


「火星の食べ物ってどういうもの?地球の食材で再現できる?」

「それは無理かな・・・。だって地球の食材は火星に無いもん。」

 確かにそうだ、それより火星にある食材と言うものは、

 どういうものがあるのか?のほうがすごく気になる。


「基本的に火星ってなんにもないでしょ? 食べ物なんて無いよ。」

「え??? じゃあどうやって生きてるの???」


「それは秘密♪」

 何処で覚えたのか首をかしげて、

 人差し指を口元で持ってきてポーズをとった。


「ルナはちゃんと食事摂ってるよね?地球の食べ物って美味しい?」

「初めて食べる味だからどういう味かわからなかったけど、

 食べてみると美味しいね。」

 火星人も食べ物を食べるという習慣はあるらしい・・・。


「ルナに質問してばかりで本当にごめんな。

 火星人が家にいるっていう状況が初めてだから凄く興味があるんだよ。」

「それは私も同じかも、地球人の家にお邪魔するっていうことって、

 私にとって初めての経験だから、私も地球のことを

 いろいろと聞くことがあると思うからそのときはお願いね♪」


 ルナは順応性が凄く高いのが驚きだ。

 テレビと言うものをはじめてみて、もうテレビを使いこなし、

 パソコンを見てもうネットを使いこなしている。

 その前に僕が目覚めた時点では、

 もう日本語を完全にマスターしている。


「そういうことなら由真さんの影響が強いかな。心と体がつながってるでしょ?

 由真さんは日本語が出来るからそれがそのまま私も出来るっていうこと。」


「それなら僕にもルナのなにかの能力が使えるって事?」

「私に変わった能力ってあるのかなぁ?よくわからないけど

 地球人に無い能力で私に使えるなら由真さんにも使えると思うよ。」


「そっか、ルナの能力ってなんだろうね?」

「まぁそのうちに判るんじゃない?」

 ルナは簡単にそういった。


「もう一度、あの裏山に行ってルナが戻れるか試しに行ってみるか?」


 ルナはなんか黙って考え込んでしまった。


「ううん、やめておく。もうしばらくここに居させてもらっていい?」


「わかった ルナの好きなようにしていいよ。」

 なぜか僕もルナの気持ちが少しわかったような気がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ