第二部第七話;一人での登校
僕とルナの間にはどうしても切っても切れない関係がある。
それは心と体が繋がっていると言う点だ。
だけどルナは感情遮断をしていて僕にはルナの感情がわからない。
それともう一つわからないことがあった。
それはルナが体調が悪いのに僕にはわからなかったと言う点だ。
ルナの言う『心のつながり、体(肉体)のつながり』と言うものが、
僕にはさっぱりわからなくなっている。
『由真、私はいつもあなたのそばにいるよ。いつまでもずっと。忘れないで。』
この言葉の真の意味一体なんだろう。
僕のいるところにはルナはいつも居てくれていた。
でも今日はいつもと全く違う。
今日は1人で登校していて、
ルナと有香はお休み(病欠)となっている。
僕のそばには今日はルナが居ないのだ。
「でもルナも女の子の日じゃしょうがないか。
有香も付いていることだし問題ないな。」
いろいろと考えることはあるが、
今日はしっかりと授業を聞いてしっかりとノートをとろうと思った。
テストも近いことだし今日は僕は学校で頑張らないといけないのだ。
教室に行くとHR前なのに百合先生がもう教室に来ていた。
「おはようございます。百合先生。」
「おはよう由真。今日はルナも有香も休みだって?」
「はい。二人とも体の調子が悪いので今日はお休みになっています。」
「それでルナの体調のほうはどうだ。」
さすがに有香の事を聞かないということは、
気が付いているんじゃないかと思った。
「僕に女の子の日の体調を聞かれても、
僕にはどうなっているのかわかりませんよ。」
「確かに由真にはわかるわけが無いか。」
「それにしても今日は百合先生は、
いつもより早く来ていますけどどうしたんですか?」
「うん ちょっと気になることがあってな。」
「気になること?」
百合先生の気になることというのがよくわからん。
「由真、お前に聞きたい事がある。明日、放課後に残れるか?」
「明日の放課後ですか。いいと思いますけど・・・。」
(僕はルナのことが心配だっていうときに放課後に呼び出すのかよ!)
と思っていたが抑えた。
「たぶん由真にしかわからないことだと思う。
だから明日の放課後、面談室に来てくれ。」
面談室・・・完全防音の部屋で職員室の横にある。
そしてルナの編入試験が行われた部屋でもある。
「了解しました。明日、放課後に面談室に直接参ります。」
「うん 頼んだぞ由真。」
僕はそのまま自分の席に座ると、哉太が僕のところに来た。
「今日は妹さんとお友達は来てないのか?」
「今日は二人とも病欠。明日も二人ともお休みだよ。」
「俺さ、妹のほうをどこかで見たような感じがあるんだよ。」
僕はびっくりした。確かに会っている。
それもとても悲惨な状況で哉太はルナと出会っているのだ。
しかし僕は平常心を保って
「人違いじゃないのか?」
というのが精一杯だった。
「いや あの赤茶色の長い髪を、他で出会うとは思えないんだよ。」
「何処で出会ったんだ?」
僕はもしかして記憶の改ざんが、
うまくいかなかったのではないかと心配になった。
「それが思い出さないんだよ。
俺が行くところって限られているだろ?
学校、裏山・・・。」
僕は少しびくびくしてしまっていた。
「赤茶色の長い髪・・・学校の裏山・・・。
あの日、あそこに居たような気がする・・・。」
間違いない。記憶が戻ろうとしてる。
「あの日は僕と哉太の二人しか居なかったじゃないか?」
「そうなんだよな。俺は由真と火星を見に行ったんだよな。」
「そうだよ、あの場所に他の人が居たか?」
「いや誰も居なかった。俺と由真の二人しか居なかった。それは確実だ。」
「それならデパートとか買い物しているルナを見かけたんじゃないかな?」
「そうかもしれないな、俺もよくデパートに行くしさ。」
「そういえば哉太って親と住んでいるんだよな?」
「家か?俺の親は普通のサラリーマンだけどどうかしたのか?」
「どうかしたって言うほどでもないんだけどさ。
よく夜中の外出を許してるなと思っただけだよ。」
「僕は天文学を学びたいからだよ、天文学者になりたい。
親にそういっているんだ。」
「それだけでよく外出が許可されるものだな・・・。」
「いろいろとあるんだよ うちにもな それじゃな。」
そういう家庭もあるのが不思議なんだよな。普通・・・。
「由真君」と呼ばれたので見たらクラス委員の田辺美里が居た。
「おはよう田辺。今日は委員会に出れなくて本当にごめんな。」
「ううん、大丈夫。今日は委員会も挨拶と、
学級委員長を決めるだけだから大丈夫だと思う。」
学級委員長・・・クラス委員長の中からその学年の委員長になること。
クラス委員で選挙をして決まる。
僕らで言うと一年生のトップということになる。
「一学期は、田辺が学級委員長になったんだよな。すごいよな田辺って。」
「そんなこと無いよ。選挙で選ばれちゃったけど
結局、一学期はどうしていいのか助けてもらってばかりだったから。」
「1人で何でもすべてってできるような人は居ないよ。
だから副委員長や書記とか居るわけだしな。」
「うん、みんなに助けられてもらってばかりかな。」
「僕も今回は副クラス委員長だからできる限りサポートするよ。」
「ありがとうね由真君、それでね、妹さんは大丈夫?」
「今日と明日休みをもらっているから大丈夫になると思うよ。
心配してくれてありがとうな。」
「それでね・・・あの・・・由真君と妹さんって本当の兄妹なの?」
「いや、ルナは親戚の子で養子に来て妹になったんだよ。」
「そうなんだ。それなら有香さんとはどういうつながり?」
「有香は僕の中学のときの親友の親戚の子だよ。
だから有香とも仲良くなっているんだよ。」
「瑠奈さんと有香さんもすごく仲がよさそうだね。」
「まぁ確かにあの二人は本当に仲がいいな。
僕も有香にはいろいろと助けられているよ。」
田辺がちょっと寂しそうな顔をした。
「田辺、大丈夫か?顔色悪そうだぞ。」
「うん 大丈夫だよ。あのね由真君・・・。」
「どうした?田辺?」
「おーい お前ら早く席に着け!HR始めるぞ!」
田辺は何か言いたそうだったが、すぐにそのまま席に着いた。
「今日の議題って何だったか?」
新書記の佐々木由布子が手を上げた。
「佐々木。発言を許可する。」「はい。ありがとうございます。」
「新入生二人の歓迎会をいつ開くかの日程を、
決めたいと思っていたのですが・・・。」
「そうだったな 佐々木座ってよし。」
「由真、二人の体調はどうだ?」
「はい。今 二人とも体調が悪いのですが、
2~3日で回復すると予想します。
しかしながら来週末の15日にはテストがあると思いますので、
テスト終了後のほうがクラスの皆さんも安心して、
歓迎会に望めるものと思います。」
「確かにその通りだな。みんなの意見を求む。」
「私もテスト終了後に歓迎会を開いたほうが言いと思います。」田辺美里だ。
「テストを気にして歓迎会というのは難しいと思うので、
私も由真さんの意見に賛成します。」佐々木由布子だ。
「それなら全員賛成ということでいいか?」全員が賛成した。
僕が手を上げた。
「由真 発言を許可する、何だ?」「はい、ありがとうございます。」
「まず皆さんに賛同していただいてありがとうございます。
僕が気になっていることが一つあります。
テストが15日から始まるというのはわかるのですが、
何日間つまりテストの終了日はいつのなるのでしょうか?」
「由真 座ってよし。」
「テストは15日から。この日は何曜日かわかってると思うが土曜日だ。
次の日の日曜日も学校に来てテストをする。
終わるのは18日の火曜日の午前中で終了だ。
テストの日は午前中の4時間のみで終わる。
もちろんそこで帰るもよし。お昼を学校で食べるのもよし。自由だ。
そして日曜日に学校に来た代わりに、
テスト終了の次の日19日水曜日はお休みとする。」
僕はもう一度手を上げた。
「由真、発言を許可する。」「ありがとうございます。」
「それなら15日にこだわった理由がわかりません。
休み明けの17日の月曜日から始めればよかったのではないでしょうか?」
「由真座ってよし。」
「その件については意見が分かれていた。
月曜日から始まれば終わる日はいつになる?」
クラスの人がそれぞれに「木曜日」と言い合っていた。
「そうだ木曜日だ。次の日は金曜日から普通に7時間授業が始まる。
それなら日曜日に来てテストを受けて、日曜日に来たということで、
テストの後はお休みにしたほうがいいという意見に決まった。」
(日曜出勤して代休を取れ。って言う意味か・・・。)
佐々木由布子が手を上げた。
「佐々木 発言を許可する。」「ありがとうございます。」
「その休みの日19日の水曜日に歓迎会を開くというのは可能でしょうか?
HRの時間や放課後ではそんなに話す機会も少ないでしょう。
休みの日なら一日もしくは半日の時間が取れて、
歓迎会を開くことができます。」
「佐々木 座ってよし。」
百合先生は少し考えていた。
「私のほうから学校と掛け合ってみよう。今はそれしかいえない。
19日水曜日は一応みんな予定を空けておいてほしい。」
僕はクラスの人たちがこんなに歓迎会を望んでいたことに嬉しさを感じた。
「由真、瑠奈と有香にも伝えておいてくれ。」
「びっくりにさせたほうが面白くねえか?」とクラスの1人が言った。
「発言するときは手を上げて発言しろ!」と百合先生が戒いましめた。
「でも今の発言に賛成意見、反対意見はあるか?」
「先生!私は賛成します。」
「僕も賛成します。由真君が瑠奈さんと有香さんを、
休みの日に学校に連れてくる。
その間に僕らは先に来て準備をしておき、
『歓迎会です。』ということをする。
サプライズパーティのようでいいと思います。」
クラス全員がその意見に賛成した。
「それなら先生のほうもいろいろと考えておく。
許可してもらうことがたくさんあるんでな。
由真 そういうことだから瑠奈と有香には伝えるな。」
伝えろと言ったり伝えるなと言ったり忙しいな・・・。
「さて他に何かあるか? そして明日の議題のことでも良い。」
「先生発言します。」 風紀委員の安藤智也だ。
「安藤 発言を許可する。なんだ?」「ありがとうございます。」
「風紀委員からなのですが最近、
二年生らしき人が一号館に来ているという情報があり、
先生の耳に入れたいと思って発言しました。」
「二年らしい人とはどういうことだ?もっと詳しく教えてくれないか?」
「はい、一号館は一年生のみというのが決まりなのですが、
上級生らしい人が来て誰かを探しているようなのです。」
「誰を探しているのかわかるか?」
「実は・・・江崎有香さんを探しているようなのです。」
なんだって?有香を探しているってどういうことだ?
「なんか知り合いっぽいような感じで何処にいるのか?
と聞きまわっているという話を聞いています。」
「その件については学校で早急に対処をする!」
もしかして優を苛めていたやつらか。そう思ったら僕は怒りを覚えた。
絶対にそいつらを見つけてやる!
どういうつもりで有香を探しているのか突き止めてやる!
「由真、お前は何も動くな。この件は学校の問題だ。」
百合先生が由真をみてそういった。
「百合先生、わかりました。」
「みんなもその上級生らしい人を見つけたらすぐに私に知らせてほしい。
この件はクラスメートを守るために必要な措置と考えてくれ。」
クラス全員が「了解しました!」と同意した。
「今日はもう時間が無いので明日の議題については無しだ、明日に考えよう。
そして今日は各委員は委員会に忘れずに出席するように、
クラス委員会は田辺、佐々木の二人に行ってもらう。
由真は休んでいる二人の代わりに図書委員会のほうに参加をしてくれ。」
それでは今日のHRは終了する。
先生が教室から離れたらすぐに安藤のところに行って、
さっきのことを詳しく教えてもらいに言った。
「安藤、さっきの有香を探しているやつって何人だ?」
「たしか僕が聞いたのは3人くらいときいてるよ。」
「もっと詳しくわかる人はいるか?」
「僕がその情報を聞いたのはA組の水原から聞いたよ。」
「ありがとう ほんとにとても重要なことなんだ。
もっと情報があったら教えてくれないか?」
「生徒会でも問題になっているから、今日の風紀委員会で話されると思うよ。
なにか情報があったらすぐに教えるよ。」
「うん そうしてくれると本当に助かる。有香を守らないといけないんだ!」
「そんなに重要なこと何だね。」安藤が心配げに僕に聞いた。
「瑠奈と有香についてはすごく訳ありなんだ。だから絶対に僕は助けるんだ。」
「そういうことなら僕も協力するよ。」安藤は力強くそういってくれた。
「本当にありがとう安藤。」
休み時間にA組の水原という人に会わないといけないな。
午前中の授業が始まりしっかりとノートをとった。
瑠奈にも有香にもわかるようにしっかりと勉強をした。
一限目が終わりすぐにA組に行きそこの教室の人に、
「すいません D組の村山由真といいますけど、
水原さんという人はいますか?」と聞いたが、
「水原さん、えっと・・・今居ないみたい。」
二限目が終わった後も行ったが、
「今、先生に呼ばれて職員室で会議があるって当分帰って来れないみたい。」
と言われた。
お昼休みも行ってみたが「今日はなんか用事で午後はお休みみたいだよ。」
と言われてしまった。
「水原さんに伝えてもらいませんか?
D組の村山由真がぜひ聞きたいことがあると言っていたと。」
「わかった 伝えておくよ。でももし、
謎の上級生のことなら無理だと思うよ。」
「どうしてですか?」と僕は聞いてみた。
「今日のHRでそのことは誰にも言わないように、
学校で対応するって口止めされたから。」
学校の対応 早すぎだろ! すごくむかつく。
僕は百合先生に直接話しを聞くことにして職員室に向かうことにした。
「あれ? あなたは皆藤百合先生のところの由真君じゃない?」
声のした方向を見たら春日美奈先生だった。
「そんなに急いでどうしたの?」
「百合先生に話を聞きに行こうと思って職員室に行くところです。」
「もしかして有香さんを狙う上級生のことかな?」
「知っているんですか?」僕は情報の速さに驚いていた。
「もし知っているんなら教えてくれませんか? 僕は有香を守りたいんです!」
「それは無理ですね。もう学校内では情報統制が行われています。」
僕はがっくりとうなだれてしまった。
「この学校に居る以上はこの学校の生徒を絶対に守ります。
これは学校の問題ですから。安心していてください。」
「有香は今、この学校にいません。休みを取っているんです。」
「知っています。ですからあなたの家の周りも、
由香さんの前に住んでいた家もしっかりと警備しています。」
「なんで有香が僕の家に居ると?」
「この学校の生徒ですから。生徒は何があっても守る。
というのがこの学校のモットーです。」
この学校の校長先生の経歴は不明と言っていたけど、
本当にどんな人物なんだ?
「ですから由真君は安心して勉強していなさい。
もうすぐ授業が始まっちゃいますよ。」
「はい、ありがとうございました。」
僕はそう言うしかなかった。でも有香を探していたという人は見つけたい。
どういう意図があって探しているのかを。
午後の授業が終わり、僕は図書委員会に出席した。
図書委員会では各クラスの委員の挨拶をし、
図書委員長を決めることになった。
もちろん瑠奈も有香も図書委員長にはならず、
一安心して委員会も終わったので僕は急いで家に帰った。
僕があわてて家に帰ったので瑠奈も有香もびっくりしていた。
「由真 どうしたの?何があったの?」
「瑠奈 体の具合はどうだ?」僕は瑠奈に話をした。
「うん、だいぶよくなったよ、明日もお休みすれば大丈夫。」
「でも油断は禁物だから今日はまだ横になっていたほうがいいよ。」
そういって瑠奈を部屋に連れて行き横に寝かせた。
「ちょっと有香と話してくるからちゃんと寝てるんだぞ。」
有香、来て。そういって有香を居間に連れてきて、
有香を探している人が居るということを伝えた。
有香はすごくおびえだした。
「もしあの人たちだったら?」
学校はこの家も有香の家も警備すると言ってる。
そして学校も安全に対応するように厳重に注意を払うと約束してくれている。
「でもその人一号館に入ってきたんでしょ?」有香は震えた声で言った。
「大丈夫、絶対に守ると決めたんだ。だから絶対に守って見せるよ。」
「由真 本当にありがとう。」
『その人 絶対に学校の人じゃないよ。』ルナが立っていた。
「聞かれていたか・・・。」僕はもう仕方がないとおもってルナを呼んだ。
「でも学校は厳重にセキュリティを張り巡らしているんだよ?
それにその人の素性が全くわからないんだ。」
「セキュリティなんて常に穴があるものだよ。
それにその人は苛めた人じゃないよ。」とルナが言った。
「一体、それってどういうこと?」有香が瑠奈の言葉に疑問を投げかけた。
「有香ちゃん、家の人に黙って家を出て行ったでしょ?」
有香が驚いて黙ってしまった。
「有香は家の人から勘当されて、
あの家に住むようになったって言っていなかったか?」
僕は有香からそのように聞いている。
「瑠奈ちゃん、どうしてそのことを・・・。」




