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ある星のうた  作者: 福田有希
第二部;学校生活
22/61

第二部第四話;有香の真実

ちょっと強烈な内容になっていると想いますが、

自分で書いてみてこれは大丈夫かな。と本気で心配だったのですが。

由真・瑠奈・友香の三人の友情というところから

とても必要な部分だとおもい、掲載しました。

『由真は有香ちゃんの何を見てるの?有香ちゃんをちゃんと見てるの?』

『1人でいないほうがいいよ。特に有香ちゃんはね。

 私達を信じてほしいと思う。』


 いまだにルナの言っていることがよくわからなかった。

 江崎有香・・・元;江崎 すぐるは体が小さく

 女の子のようでよくいじめを受けていた。

 ある日、傷だらけで血だらけになった優を僕がみつけ、

 保健室に連れて行って暴力を振るわれていたと言う事実を

 学校に知られることになった。

 保健室では対応できず病院に行き、

 優の両親は刑事事件として告訴をした。


 学校側はイジメがあったことは知らずにいたことに、

 マスコミが聞きつけ殺到し、

 ニュースや新聞で大きく取り沙汰されてしまった。

 学校のイジメの特集まであの時は組まれるほどの大騒ぎになった。


 僕と優はその日から仲良くなり家族で遊園地などにも

 連れて行ってもらう仲になった。

 優のほうはいじめが無くなったと僕は本気で思っていたが、

 しかしイジメは無くなってはいなかった。

 無くなっているどころか先生にちくったと言う

 レッテルを貼られてイジメは加速していたのだった。

 そして、「由真くん 僕を助けてくれて本当にありがとう。」

 という言葉を最後に引越しをしていった。


 ある日、ルナと一緒に編入学試験を受けたという女の子がいた。

 それが江崎有香という女の子だった。

 僕は江崎有香が江崎 優と見抜き、江崎有香とも仲良くなっていった。


 僕が見ていない有香をルナは見ていた。ルナは有香の何を見てきたのだろう?


「由真、どうしたの?なんか怖い顔になってるよ?」有香が僕にそういった。

「いや ちょっと考え事をしててさ。」

 ルナはたぶん僕の心を読んだんだろう。

「そのうちに答えが見つかるよ。」ルナが僕にそう答えた。


 今、僕達は有香の家に向かっている。

 ルナの一言で有香も一緒に暮らすことになり、有香の荷物を運ぶためだった。

「わかった。百合先生にどう納得できるか考えていたんでしょ?」

 それも僕の悩みの種の一つでもあった。


 皆藤百合先生・・・僕の実の母親の妹

 ルナの一件もあり抜き打ちで家に来ては、僕達の生活ぶりを見に来る。

 今ではルナも百合お姉ちゃんと呼ぶくらいの仲良しになり、

 百合姉さんもルナのことを本当の僕の妹のように可愛がってくれている。


 ルナの編入学試験の時にはいろいろと手を尽くしてくれていた。

 しかし今回はルナの件とは勝手がまったく違う。

 ルナは僕の妹だ。実際には違うけど戸籍上では妹であって、

 僕と同じ村山家の娘(長女)となっている。

 でも有香は友人だ、僕の大切な友人ではあるが、

 一緒に暮らすというのは難しいところがあるように思えた。


「百合姉さんの件はどうしようと考えると難しいところがあるよ。」

「それなら由真のところに引っ越すのはやめにしようか?

 学校の規約こともあるし・・・」

 有香がそういったものの、

 僕にも有香が1人でいるのはだめなような気がしていた。

 しっかり者の有香なら絶対に1人暮らしは問題ないと思う。

 でもルナが言った言葉が、すごく気になってしまっているのだ。


『1人でいないほうがいいよ。特に有香ちゃんはね。

 私達を信じてほしいと思う。』

 ルナは一体なんでそんなことを言ったのだろう・・・?

 有香の秘密には、いったいなにがあるんだと言うんだろう・・・。


「着いた!今、ドア開けるね。」

 有香は家のドアを開けた。

 もう夕方だと言うのに家の中は薄暗く湿気と暑さが外に出た。

「ずっとドアも窓も締め切っていたから中はすごく暑くなってるね。」

 玄関の電気をつけて僕達は家の中に入った。


「荷物ってもうまとめてあるの?」ルナが有香に聞いた。

「荷物は引越ししてきたままになってるのがあるから、

 大体はダンボールに入ってると思うよ。」

「有香っていつこっちに引越ししてきたんだ?」

「うーんと編入学試験の2~3日前くらいかな。」

 それなら確かにそんなに日数は経っていない。

「それならほとんどダンボールに入ったままだね。」


「でも結構あるよ。引越し業者に頼んで持ってきてもらったから。」

「学校の教科書とか参考書は絶対に必要だから、

 それは今日中に運んじゃおうか。」

「衣類は数日分あればいいと思うから明日に持って行っても大丈夫だし。」

「衣類は大体まとめてあるんだけどねぇ・・・

 学校のものは逆にまとまってないかも。」


「とりあえずまとまってダンボールに入っているものは

 玄関のところに置いて持っていきやすくしておこうか。」

 僕はまとまってダンボールに入っているものを玄関に運ぶ作業をした。

「有香とルナはまとまっていないものを、

 ダンボールにつめる作業をしていてくれ。」

「はーい♪ 了解!」ルナは元気に言った。


「二人でつめればたしかに早いかもね。」有香がそういった。

「有香、二階にはもう何も無いのか?」

「二階には私の部屋があるけど、

 まとめてあるものとまとめてないものがあって、

 まとまってるものは廊下に置いてあるよ。」

「了解! 廊下にあるものを運んでいくよ。」

「うん、お願い。」

 僕は一つ一つ玄関にまとめてあるものを運んでいった。

 一階にあるものはほとんど玄関においてしまったので、

 二階のものを運ぶようにした。


 階段の電気をつけて二階に上がると、さらに暑くなっていた。

 廊下にあるものを次々と運んでいったそのとき、

 一つの部屋からなにか変な感じがした。

 二階は二部屋あり、その奥の部屋が変な雰囲気を漂わせていた。

 気のせいだろうと思ってさらに二階に上がり荷物を運んでいく。


 さて、手前の部屋はどうなっているのかな?

 手前の部屋に入ると凄くシンプルな部屋で、

 口をあけたダンボールがそのままに置かれていた。

「たぶんここが有香の部屋だな。それにしても何にもないな。」

 姿鏡が一つと小さいテーブルが一つ、

 鏡台があって化粧品がちょっとあり、

 髪をとくブラシが一つ置かれていた。

 僕は口の開いているダンボールを閉じてそれら全部を一階に運んだ。


 もう一つの部屋の前に行くとなにか変な感じを僕は感じた。

(この部屋は一体なんなんだ?)

 僕は扉を開けて中に入ろうと

 部屋の電気をつけた。

 そこで僕が目にしたものは、僕は目の前の光景に驚いた。


 天井からロープが釣り下がっていた。

 そして一回、解かれた後があり使われた形跡が見られた。

 そして壁には赤い文字で「呪ってやる」と書かれ、

 壁にはさまざまな怒りや憎しみが壁に一面に彫られていた。

 

 写真が貼り付けられ穴が空けられていたり、切られていたりした。

 床にも写真が切り刻まれていて、バラバラに散乱していた。

 カーテンは切り刻まれてボロボロになっていた。

 クローゼットの扉は蹴ったり殴った跡があり完全に壊されていた。

 僕はそのすさまじい光景を前にしてたじろいでいた。

 一体ここでは何が起きていたんだ・・・。何があったと言うんだ・・・。


「そこは すぐるの使っていた部屋だよ。」

 後ろから声がしてびっくりして振り向いた。

 有香がドアのところに立っていた。


「この部屋は優がね、僕が使っていた部屋なんだ。

 毎日毎日、僕は苛められ心が荒んでいた。

 怒りが収まることが無くここにね

 怒りや憎しみを一つ一つ刻んでいったんだよ。」

 有香が壁に刻み込まれた文字を指でなぞりながらそういった。


「ある日ね、私は憎しみが呪いに変わっていって、

 苛めたやつを呪うようになった。」

 赤で書かれた呪いの文字を指でなぞるようにそういった。


「でも呪いは通じることは無く僕は苛められ続けたんだよ。

 僕の怒りは頂点に達しようとして、

 クローゼットの扉を殴り!蹴り!僕はついに壊れちゃったんだよ。

 由真にはわかる?この僕のこの気持ち・・・」

 クローゼットの壊れたドアのところを歩いてそういった。


「そして僕は決意したんだ。

 もうこの世には優という存在はいらないんだ。

 優という人間はこの世に存在してはいけないんだ!

 淘汰されるべき人間なんだ!と思った。

 そして僕は決心したんだ。

 『この世から優は消えよう。この苦しみを消そう。』そう考えた。」

 優は天井から吊り下げられた一本のロープに

 救いを求めるように、両腕を上げた。


 優、お前はそこまで追い詰められていたのか。

「僕に何で言わなかったんだよ。」

 有香はものすごい形相に顔が変わり怒りを僕に向けた。

「お前に何ができるって言うんだ!

 何ができるんだよ!言ってみろよ!」


「話を聞くことしかできないけど、

 お前の気持ちがわかったと思うよ 優!」

「気持ちがわかるって?

 そんなのは僕には何にも意味が無いんだよ。

 僕には必要がないんだよ!」

「僕は、この僕はこの世に居てはいけない。

 淘汰されるべき存在の人間なんだよ。」


「この世にいてはいけない人間なんて、この世には存在しないよ。」

 後ろを振り向くとルナが立っていた。

「ルナお前いつからそこに!」

「最初から私は由真と一緒にいたよ。」

「苛められても何があっても、

 この世には存在してはいけない人間は絶対に存在しないよ。」


「苛められ、叩かれ、殴られ、蹴られ。

 もう僕には居場所というものが無かった。

 もう何処にも僕には居場所が無かったんだ。

 それで僕はこのロープを使って・・・」

「でも助けられたんでしょ。」


「そうだよ! あのくそババアが僕の行く道を!

 僕が行かなくてはいけない道を閉ざしたんだ!」

「それは違うぞ 優! 閉ざしたんじゃない。

 お前の行く道がまだあるから救ったんだ!」


「僕の行く道?そんなものあるわけ無いじゃんか!

 毎日苛められて毎日が死ぬ思いだった。

 この僕に・・・この居場所の無い僕に・・・

 どんな道があると言うんだよ!」


「その道を由真が一緒に探そうとしてくれていたんじゃないの?」

 ルナが強い口調でそう言い切った。


「由真の家はすごくうらやましかった。妬むくらいに暖かかった。

 僕の冷たくて冷えた心には、ものすごく熱すぎるくらいだった。」


「由真は本気で優さんを助けたいと心から願っていたんじゃなかったの?」

「そうだ。僕は本当に優のことを助けたい、

 守りたいって心から思っていたよ。

 優、僕は本当にお前のことを親友だと思ってた。

 一緒に遊び、一緒に笑いあって、

 僕は優が立ち直ったと本気で思ったんだよ。

 でも実際にはそれが違っていた。

 僕のしたことでさらに優を傷つけていた。

 優が引越しして僕は本当に寂しかった、悲しかった。

 本当に辛い気持ちになったんだ。

 もう会えないと思ったらとても苦しくなった。

 でも帰ってきてくれた僕のところに。」


「僕はね、あれから優を自分をこの世から消えることだけを考えていた。

 僕は由真、お前のことが好きだった。

 この気持ちがどういう気持ちだったのか。

 自分は一体何者なんだと本気で考えた。

 ちょうど精神科に行くことになって、

 僕は自分の気持ちを理解しようと先生と一緒に考えようと毎日が必死だった。

 そして僕は自分は女性だったと言うことに気がついた。」


「それはどういうこと?」

「憎しみ妬みがそういう心が僕を女性にしたのではない。

 お前は女性だと苛められたから女性だと思ったことは無い。

 僕は小さいときから女の子で居たかった。

 大きくなったら体は女性になると本気で信じていた。でもならなかった。

 男性のこの体が僕にはすごく苦痛だった。

 そして周りからもこの体を否定され、、

 女性としての僕の心をズタズタに切り裂いていった。

 

 男のくせに!男のくせに!男のくせに!僕は一体何なんだよ!

 男のくせに!そうだよ!僕の体は男だよ!だから何なんだよ!

 着たくも無い男の服装や制服全部が僕には苦痛でしかなかった。

 男のくせに、なんだこいつ女じゃねえの?

 服を全部脱がされそして屈辱を受けた。

 毎日毎日、僕はいじめや暴力や屈辱に耐えて生きてきたんだ!」


()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()

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 僕は優の本当の気持ちを今、初めて聞いたのかもしれない。

()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()

 この言葉は僕にとって一生忘れることの無い言葉になっていくと感じた。


「優、僕はさ。優の思ったとおりに生きてほしいと思ってる。

 その答えが『有香』なんだろ?僕は有香のことが好きだよ。

 もちろん僕には大好きな本当に大切なルナがいる。

 絶対に守っていかなくちゃいけない人が僕にはいるんだ。

 でも有香が僕への気持ちを本気で伝えてくれてありがとう。

 有香、これから僕たちと一緒に暮らすんだ。僕とルナとね。

 僕は有香のこともとても大切にする。だからもう1人にならなくていいんだ。

 もう有香は1人じゃないんだよ。それを有香もわかってほしい。」


「由真、こんな姿の私を見て、こんな心の私を見てなぜまだそう言えるの?

 なんで由真はそんなに強く生きていけるの?」

「僕はぜんぜん強くないよ。強くなりたいと思ってるけど、

 ぜんぜん強くない。」

「有香ちゃんの心の中に瑠奈もいてもいいかな?

 ずっと一緒にいてもいいかな?」

「うん、瑠奈ちゃん本当にありがとう。

 ずっと一緒に居てほしいよ。私からもおねがい。」

「有香、ありのままの自分の姿でこれから生きていこうな。」

「優になれっていうの?」

「違うよ、有香。お前の今の姿が自分の本当の姿じゃないのか?」


 有香は床に崩れ落ちるようにして座り込んだ。

 そして今までの辛さをすべて吐きだすように大きな声で泣き叫んだ。

 悲鳴にも聞こえるくらいの大きな声で泣き叫んでいた。


 僕とルナは有香に近づき、そして有香をやさしく抱きしめあった。


 有香は心のそこから僕への気持ちを僕に見せてくれた。

 そして有香の本当の姿を僕に見せてくれた。

 あの時の優がどういう気持ちでいたのかすべてを僕に教えてくれた。

 そして僕は有香の心の中にある本当の闇というものを肌で感じていた。

 優すぐるという存在がどれだけ、

 今でも有香の心を蝕むしばんでいっていたかわかった気がした。

 有香が肉体や戸籍を女性に変えても、

 (すぐる)は本当はこの世からは消えていなかったんだ。

 有香の心の中の闇としてずっと生き続けていたのだ。


『大切な友人とか、恋人とか、自分がその人のことを思い出さなくなったら、

 その人は完全にいなくなっちゃうよ。

 それって辛い出来事でも由真にとっては大切な人だったんでしょ?

 そう言う人の記憶は消えることが無く、

 その人の心の中でずっと生き続けるの。

 だから、由真の友人は由真の心の中で生きているんだから

 その記憶は大切にしていくべきものなんだよ。』


 有香にとって優は本人だ。有香自身だ。

 だけど自分でも自分の嫌な記憶と言うものは自然に消えていくものだ。

 しかし有香にとって優という存在は、

『消えてはいけない記憶』だったのだろうか?

 とても大切な存在だったというのだろうか。

 でも僕は優に言いたかった。有香をこれ以上に悲しませないでほしい。

 もう有香をこれ以上に苦しませないで欲しいと、心の奥から僕はそう願った。


 僕とルナは有香が泣き止むまで、心が落ち着くまでずっと抱きしめあった。


 ちなみに荷物はと言うと・・・。

 百合姉さんに電話をして有香の家に来てもらい、

 親戚の優の荒んだ部屋があるところをみせて、

 女子高校生が1人で住むってこれじゃ無理があるんじゃないか?と説得し、

 僕の家に引越しすることが条件付で決まることとなりました。

 ちなみに百合姉さんはというと。

「お前達は本当にまったく!有香も有香だ!どういう家庭に育ってんだ!」

 などと、たくさん愚痴と怒りを僕達にぶつけて荷物を全部 運んでくれました。


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