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ある星のうた  作者: 福田有希
第二部;学校生活
20/61

第二部第二話;初HR(ホームルーム;朝礼)

 ルナの一声で有香が僕の家に来て、

 三人生活がスタートしてしまった。

 ルナは大喜びなのだが僕は喜べる状況とはいえない。

 百合姉さんだ。

 このことは百合姉さんに内緒にしていかないといけない。

 しかしそれがうまくいくとも思ってはいない。

 なぜなら僕達の生活を見に来るために母の妹として、

 そして学校の担任として僕達の生活チェックが入るのである。


「なぁルナ 本当に大丈夫なのか?」

「なにが?」ルナは何のことと言う感じで言った。

「有香のことだよ。百合先生にどういうつもりだ?」

「普通に有香ちゃんもここで生活して、

 一緒に学校へ行くって言えばいいじゃん?」

「百合姉さんがそれでOKという返事を出すと思うか?」

「女子高校生が1人暮らしで生活するならそれで安心なの?」

「その言葉、まだ覚えていたのかよ・・・。」


 ルナと生活するときに僕が百合先生に言った一言だった。

 しかし今回の場合はそれが通用するとは思っていなかった。

「有香にはちゃんと自分の家があるんだよ。」

「一人ぼっちの寂しい冷たい家がね・・・。」

 ルナは何かを感じているようだった。

「有香から何か聞いたのか?」


「由真は有香ちゃんの何を見てるの? 有香ちゃんをちゃんと見てるの?」

 ルナの言葉が何を言っているのか僕にはわかっていなかった。


「由真!瑠奈ちゃん!朝ごはん作ったから早く着替えて降りてきて!」

 僕は自分の部屋に戻り着替えて下に下りて行った。

「あれ? 瑠奈ちゃんは?」

「もうすぐ降りてくると思うよ?」

 しばらくしてルナが着替えて下に下りてきた。

「はい 顔を洗って歯を磨いて、早く朝ごはん食べちゃおうよ。」

「有香って毎日何時に起きてるんだ? 今日もすごく早そうだったけど。」

「えっと・・・5時半ころかな。大体この時間にいつも起きてるから。」

「本当に早起きなんだな 有香は。」

 朝ごはんを食べていて僕は急に思い出した。


 そういえば渡すものがあったんだっけ・・・

「瑠奈、有香、1人で帰るときってないと思うんだけど、

 家の(スペア)渡しとく。」

「私はいいよ。1人で帰るときは向こうの家に行ってればいいとおもうから。」

 ルナが僕に訴えかけているような目をした。

「今は僕達三人が家族だから、有香にも持っているべきだと思う。

 だから有香にもちゃんと渡しておく。」


「1人でいないほうがいいよ。特に有香ちゃんはね。

 私達を本当に信じてほしいと思う。」


 今日のルナは何か変だ。有香について何かを感じたと言うのだろうか?

 有香は僕に(私のこと言った?)という顔をした。

 僕は小さく首を横に振った。

「ごちそうさま 教科書とか部屋に忘れてきたから取りに行って来る。」

 本当に今日のルナの様子がおかしい。

 有香も気が付いたようで、

「瑠奈ちゃん どうしたんだろう・・・。」と心配をしていた。


『由真は有香ちゃんの何を見てるの?有香ちゃんをちゃんと見てるの?』

『1人でいないほうがいいよ。特に有香ちゃんはね。

 私達を本当に信じてほしいと思う。』

 一体、瑠奈は何を感じたのだろう。


 僕達は三人で登校した。でもいつものルナではなかった。

「ねえ由真、瑠奈ちゃんと何かあったの?」

 まぁ今日の朝にあったといえばあった。

「家にさ、たまに百合先生が僕達がちゃんと生活しているか

 訪問しに来るんだよ。」

「それはやっぱり姉さんとして心配だからって言うこと?」

「それもあるしルナのことでいろいろとあったりするんだよ。」

「そこに私が一緒に暮らし始めました。

 ということでどうするのか話していたと。」

「うん その通りなんだけどね。

 そこでルナが言った言葉が気になっちゃってね。」


「なんていったの?」

「僕が有香の何を見てるのか?有香のことちゃんと見てるのか?ってね。」

 有香は考え込んでしまった。そしてこういった。

「もしかして私のこと気が付いているんじゃないの?」

「まさか、有香はもう有香だよ、

 僕はそのように思ってるしもう過去の有香じゃない。」

 ゲートを通り過ぎ自分達の教室に入った。

 でもルナは一言も話そうとはしなかった。


「有香 今日の帰りにまた荷物を全部うちに運び入れるぞ。」

「うん わかった ありがとう」有香も何か考え込んでいる様子だった。


「今日のHRは席替えをやるぞ!

 班長は順番に来い。新しい由真班は一番最後だ。」

「うわ・・・席替えで最後かよ。もう場所が決まった様なもんじゃんか!」

 教室中が笑いに包まれた。「由真くん お気の毒様」という声が聞こえた。

「由真、席換えって一人ひとりが順番に席番を引いてやるものじゃないの?」

「ここは班制度が優先されるんだよ。

 一人ひとりやったら班の人ががバラバラになるだろ。

 もしくは席で班が決まったら、班の人が入れ替わっちゃうことになるだろ。

 だから班の人は絶対に崩さないようにと、

 班毎で動くことが決まっているんだよ。

 よく見てみ、あそこの4人の班が窓際一番前に決まったから、

 班の人たちが全員移動し窓際の4つ、一列目と二列目の前後が決まる。」

「ずいぶんめんどくさいことをするんだね。」


「班制度はこの学校では絶対なんだ。

 だからどうしてもこの席替えになっちゃうんだよ。」

「由真の班こい!」

(っていうかもう席って決まってるんじゃないかよ。)

 くじを引くまでもなかったのだが、

 いつも最初に埋まるはずの窓際一番後ろが空いていた。


「ここの窓際一番後ろの3席に由真班入ります!」

 教室の中がざわついた、それはそうだ

 席替えで一番良いとされている席であって、

 ここはまず最初のほうで無くなるのが普通だからだ。

「あれ?窓際の一番前に何で選んだんだろう?」

「廊下側の席を選んじゃったよ。」

「わたしなんて真ん中の一番前よ。」

 生徒達がなぜそこを選んでしまったのかわからないと言う感じで

 話し合っていた。

「はい もう席替えは決まったな、さっさと自分の席に移動しろ!」

 自分達で選んだのになぜか腑に落ちないと言う感じで大移動が始まった。

 僕はルナを見てまたなにかをやったのか?という気持ちになった。


 席替えが終わって僕達はほとんど移動せずに、

 いつもの窓際一番後ろという席をものにした。

「由真、お前何かやったろ?」

「一番最後になって決めている僕が、何をどうやれって言うんだよ!」

 教室中がざわついて、

(確かにそうだ。一番最後に決めてどうのこうのできるわけが無い。)

 ということですぐに決着が付いた。


「ルナ お前何かしたか?」と聞いたが返事が無かった。

「次のHRは何かあるか?」と百合先生がみんなに言った。

 1人が手を上げた、学級委員長の田辺美里(みさと)だ。

「田辺、言ってみろ。」

「はい!発言させていただきます。」田辺が立ち上がり発言を始めた。

「学期が変わったのでクラス委員と各委員を決めなければいけません。

 そして15日からのテストの日程のことも、

 教えていただきたいと思っています。」

「ありがとう 田辺、座ってよし。」


「先ほど言われた15日からの理解度テストは、

 教科未発表で行うことが決まった。

 つまりいつ何の教科をやるのかは、

 その日そのときになってみないとわからない。」

 教室内が凄いざわめき始めた。あまりにもむちゃくちゃだ。

 何のテストがあるのかわからなければテスト勉強のしようが無い。

 つまり、どうすることもできないということになってしまう。


「新しく覚えるところがあるが新しく覚えなくてもいいところもある。

 いままで勉強してきたところはしっかりと覚えているはずだ。

 覚えていなくては困る。

 自分の選択していない教科のみを覚えれば言いだけのことだ。

 そこをしっかりと勉強して理解すればテストの点は取れる。

 そこで学校側は教科未発表としてぶっつけ本番で

 テストをすることと決まった。

 そして何の教科をいつ行なうのかは、

 先生にも聞かされていないのでわからない。

 だから先生もまったく知らないので先生に聞かれても困る。

 と言うのが本音だ。」


「もう一つあったな、

 『新学期になったからクラス委員と各委員を決める』これはいいと思う。

 意義のある人や他に意見がある人はいないか?」


「よし! 明日のHRはクラス委員と各委員を決めることにする。

 進行は田辺、一学期のクラス委員長として最後の務めを果たしてくれるか?」

 田辺は「はい!進行役を務めさせていただきます。」と元気に言った。


「由真 いつもHRってこんな感じの決め方するの?」

「まあね 今日は委員長のおかげでスムーズに事が運んだ感があるね。」

「そういう事を言ってるんじゃないの。

 もし学校の決定事項に不服があるときはどうするの?」

「生徒手帳読んだか?」

「まだ読んでないわよ・・・。」

「生徒会規約第2項『生徒に関する規約』第154条を読んでみな。」


 有香が生徒手帳を開き、言われたところの規約を読んでみた。

『生徒が学校の決定に意義を申し立てるときは異議申し立て書を提出のこと。』

「意義申立書と言うのはそこにあるだろ?」

 由真は一番後ろの棚の上を指差した。次も呼んでみな。」

『生徒会が意義申立書を受理し、学校に提出後10日以内に全校集会を開き、

 全校生徒の3分の2の合意を持って意義と認め、

 学校に改善要求をすること。』


(・・・・・・・・・・・)

 有香は言葉を失ってしまった。

「そしてよくみてみな。紙が次々と減っているだろ。

 異議申し立てはもう行われているって言うことさ」

「要するに近々に・・・」 

「全校集会が開かれる。」


 僕は有香のほうを見た。

 有香の表情がなぜか笑みを浮かべているように思えたのは気のせいだろうか?



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