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『咲いた花、そして空の鳥へ捧ぐ物語』   作者: 譚月遊生季
序章 その物語について
14/57

0-10. Phoenimeryl-Ⅱ

ハーリスは、国王と名のついた人形でしかない。彼自身の役目は、玉座に座って「王らしき雰囲気を醸し出す」……言ってしまえばこれだけだった。


「産まれた時から、僕の居場所は限られてた。……広い世界には、物語を読まなければ行くことも出来ない。……海すら、ほんとはどんなのか分かんないし」


古今東西の珍しいものが置かれる王の自室。混沌とした部屋の中、彼は窓の外を見ながら呟いた。


「スナルダ、一曲聞かせて。聞いたことなさそうなの」


スナルダは、手近にあった異国の楽器を手にし、手探りで弾き始めた。瞳を閉じ聞き惚れていた若き国王は、鼻唄のように歌詞にもならないでたらめな言葉を紡ぐ。


「君、異国から来たんだよね?」


王が側に置くものは、みな異国から訪れたものばかりだった。本来であれば信じられぬ振る舞いだが、実権なき王はその命の行く末さえ争いに利用される。

……彼は、「王」であれば大多数にとってはそれでいいのだ。生死は、問われない。


「また、仕事しないとなのかな?暗殺されるかもしれないのに」


少し、弱った声色。


「……側近がいる限り、あなたが殺されることはないでしょう」


スナルダの答えは、励ましにもならなかった。


「その代わり、ルマンダあたりがすぐ死にそう」


震えた涙声を、ノックの音がかき消す。立ち上がった彼の机に置いてあったのは、お伽噺。




・そして、王子様は、小鳥にしてもらうように願いました。

「そうしたら、ぼくは色んな世界を見ることができます。鳥のお友達もたくさんできますし、大空を自由に飛び回れます」

(童話の一場面より)

セルジュ?


……と、我が友が反応したね。

……そうだね。今度、語ってもらおうか。


ある意味で、「真実」に最も近い立場の存在を、ボクは知っている。

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