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序章 兄と双子
物心ついた頃から、俺の隣にはぬくい生き物が二人いた。
『けーいち』『けーいち』
一つしか違わないのに妙に手を焼かせる、よく似た顔立ちの姉弟。
『慧一君、いつもありがとな』
『慧一君、二人をよろしくね』
うちの親と仲の良い二人の両親は、いつも柔らかく笑ってそう言った。同時に頭に乗る重みからは信頼が伝わってきて、子ども心に誇らしく感じていたっけ。
『けーいち、あそぼぉ!』
『あそぼ!』
屈託のない、輝きに満ちた笑み。いつだってこの家族からは笑顔が溢れていた。
……今はもう見ることのできない、これは懐かしい記憶だ。