3 とても危険な状態です。
男の名前は香と言い、守護神だからとか言って、その人との同棲生活が始まった。
同棲生活を始めて何ヶ月かが経った。今のところ、何の変わりもない日常生活を過ごせている。
本当に狙われているのかしら? と思ってきたくらいだ。
中間テストもとっくに終了し、これから三年生は高校受験に向けてまっしぐら。大変な時期に差し掛かる。
そんなわけで、今日は友達と放課後に面接練習をした。
「付きあわせちゃってごめんね」
「いいよ、私の時も付き合ってもらったし」
今は二月。私立校の私は、既に合格報告が出ているので、公立に通う友達と面接練習をしていた。
二人は職員室に向かった。担任に「終わったら来なさい」と言われたからである。
職員室は自分のクラスと階段の隣にある。階段の前を通ると、丁度体の大きな男の人に会った。
「どうしたんだね、こんな時間まで」
「面接練習をしていたんです。あ、橋本先生に終わりましたって言っておいてくれませんか?」
「いいよ。そうか、君たちは三年生か。高校に受かるといいね」
「はい、ありがとうございます」
二人はバッグを持って下駄箱に向かった。
私は疑問に思った。
「さっきの人、教員の名札つけてた?」
「え、わかんない。どうして?」
「さっきの人、この学校で見たことなくない?」
私は三年間もこの学校に通っているのに、何だか初めて見る顔に思えたのだ。
「確かに。見たことないかも」
私は少し気になった。
「ねえ、ちょっと先生たちに言わない?」
「なんて言うの?」
「不審者がいるんですけどって」
下駄箱から職員室へ戻った。二回ノックをして職員室に入る。
「失礼します」
しかし中には人がいなかった。
「おかしいな。誰か一人いてもいい筈なんだけど。ねえ、小百合」
問いかけた筈なのに返事がない。振り返ると、小百合もいなくなっていた。
神隠しかよ。わーやべぇ。恐怖心倍増してきた。学校の怪談じゃないんだから、神隠しなんて起きないでよ。
そんなこと思いながら出入り口を確認していると、背後から口を押さえられ、薬を吸い込んだ。しまったと思った時にはもう遅く、私は意識を失った。