冤罪
プロローグ
「あなた今触ったでしょ!」
「はぁ?何言ってるの?」
「触ったじゃないの。この人痴漢です。私のお尻をずっと触ってました」
「ちょちょっと待って下さい・・・何ですかあなた、放しなさい。放せっ」
俺のオヤジはこうやって人生の幕を閉じた。
第一章
「もしもし、酒井さんのご自宅でしょうか?」
「はい、そうですけどもそちら様は?」
「突然お電話申し上げて失礼します。私、警視庁丸の内署刑事の近藤と申します。ご主人の件でお電話いたしました」
「えっ 主人が何かトラブルに?」
「奥様、落ち着いて聞いて下さい」
「ど、どういうことですか?」
「ご主人の道雄さんを今朝痴漢で逮捕しました。現在取り調べ中です」
「嘘でしょ?悪い冗談はやめてください。新手のオレオレ詐欺?」
「冗談と思われても構いませんが、暫くご主人は自宅に帰ることが難しい状況です」
「すみません、主人に代わって頂けますか?」
「それは出来ません。取り調べ中ですから」
「じゃぁ主人は本当にやったんですか?」
「私は直接担当していませんが、今朝からずっと否認しているようです」
次章へ続く